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第一章

第1話:神に復讐を誓う

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 俺、真田羅王は自分を男の中の男だと自負していた。
 嘘か本当か、先祖は真田幸村だと曽祖父は自慢していた。
 曽祖父は近衛兵で、祖父は近衛騎兵だった。
 仕官ではなく一兵卒だったが……
 その影響か、俺も迷うことなく陸上自衛隊少年工科学校から防衛大学に入学した。
 そして身長一九〇センチの身体も、幼い頃から自主的に鍛えてきた。

「オンギャア、オンギャア、オンギャア、オンギャア」

 それが、これは、何という事だ。
 俺は、俺は国民を護るため災害救助中に殉職したのだ!
 戦前ならば、二階級特進ものの名誉ある死なのだぞ。
 それが、前世の記憶を残したまま、女に転生させるとは、どんな罰だ!
 善行を積んだから記憶を残して転生させるというのなら分かる。
 だが女に生まれ変わらせるのなら、記憶を消しておけ!

「まあ、まあ、まあ、まあ、オムツを交換しましょうね、お嬢様」

 これは、これは屈辱以外の何物でもない!
 神によるご褒美などではなく、天罰としか言えない仕打ちだ。
 同期に比べれば、あまり頭がよくなくて二佐までしか昇任できなかったが、災害派遣などの現場では率先垂範で任務に励んでいた。
 今頃前世では、普段は自衛隊を叩く反日テロマス塵も、今回の殉職だけは一面に美談で書かなければいけないだろう。
 いや、あいつらの事だ、過失による無能で愚かな死だと捏造しているかも……

「あら、あら、今日は体調が宜しいようで、大きなうんこですよ、お嬢様」

 ああ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、何もかも嫌になってしまう。
 お願いだ、頼む、乳母よ、情けなくて涙が出てしまうではないか。
 何が哀しいかと言えば、五十五歳の記憶を持ったまま、オムツに垂れ流さなければいけない事だ。
 最初はそれを受け入れられなくて、我慢して体調を崩してしまった。
 ようやく最近諦観できるようになったが、口に出されると情けなさに襲われる。

「オンギャア、オンギャア、オンギャア、オンギャア」

 ほら、みろ、この身体はこらえ性がないからすぐ泣いてしまうのだ。
 五十男がワンワン泣くなど情けなさすぎるではないか。
 くっ、この恨み、必ず晴らして見せるぞ、神め!
 こう見えて甥っ子と姪っ子を応援するために、ファンタジー小説や乙女小説はたくさん買って読んできたのだ。
 直接お金を援助するのは失礼だから、全ての著作を買って読んだのだ。

 その創作知識と、俺が自衛隊で学び会得した現実の知識と技と経験を融合させて、すでに魔力を増大させる方法を発見している。
 東洋医学の経絡と、インド医学のアーユルヴェーダに、西洋医学の解剖学を参考として、魔力を身体に流して完全無欠の身体を創り出す。
 何よりも魔力を蓄える三焦経を鍛え、神にも匹敵する魔力を得て、必ず神に復讐してやる!
 
「オンギャア、オンギャア、オンギャア、オンギャア」
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