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第9話古代神の巫女視点

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「アメリ、あの魔獣は頬肉が美味しいのよ。
 手持ちの野菜と煮込んだら、絶品のシチューになるわ」

「それはいいわね。
 なにがなんでも狩らないといけないわね。
 カイ、コナー、ソニー。
 牽制は任せたわよ」

「「「おう」」」

 私達の行動方針は固まってきました。
 美味しい魔獣を狩る。
 ただそれ一点だけです。
 最初はコシンを疑い戸惑っていたカイ、コナー、ソニーも、コシンが作る美味しい食事に魅了されてしまったようです。
 まあ、それは私もですが。

 でもしかたないのです。
 コシンの創る料理が美味しい過ぎるのです。
 本来なら硬くて食べられないように魔獣の肉も、包丁で細かい切り込みを入れる事や、長く煮込むことで、丁度美味しい歯応えに変えてくれるのです。
 本来なら灰汁が強くてとても食べられない魔獣肉も、私には分からない野菜や素材で下茹ですることで、魅力のある風味に変えて美味しく食べさせてくれるのです。

 すでに莫大な量の魔獣を狩ったはずですが、コシンはそれを持って逃げる訳でもなく、最下層の薬にこだわるわけでもなく、悠々と狩りを勧めてくれます。
 私が狩りを愉しんでいる事が分かっているのでしょうか?
 それとも、コシンが狩りを愉しんでいるのでしょうか?
 まあ、私にはどちらでも構わない事です。

 ダンジョンに潜ってすでに三十日です。
 普通なら何度も地上に戻って狩りの成果を売り払っています。
 たぶん冒険者ギルドでは、私達は既に死んだことになっているでしょう。
 それくらい非常識なダンジョン突入だと、コシンが笑いながら話してくれました。
 普通なら、だったら一度地上に戻ろうかと口にする者が現れるのでしょうが、私達の中からは一人も現れませんでした。

 その理由は、もし地上の出てコシンと分かれることになったら、もう二度とコシンが作る料理を食べられないかもしれないと、恐れたからです。
 それくらいコシンの料理に魅了されているのです。
 他の三人は分かりませんが、私はそういう気持ちです。

 それと、私達全員が生活魔法を使えるというのも大きい理由です。
 生活魔法で身体を清潔にできますから、返り血を浴びても、汗をかいても、埃にまみれても平気なのです。
 生活魔法のなかでも、ウォッシュドの効果は絶大です。
 他の生活魔法クリーンでは、清潔にはなりますが爽快感がありません。
 女性に関しては、ウォッシュドが使えるどうかは、冒険を続けるか撤退するかの重大な境界線となります。

「アメリ。
 今度は香辛料を創り出す生活魔法を教えてあげるわ」

「ほんとう?!
 そんな都合のいい魔法なんてあるの?!」

「特別な魔法よ。
 他の誰でもない、アメリだから教えるのよ」
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