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武田義信
古河公方
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5月『下総・古河城』
「公方様、ここは鷹司義信卿と誼を通じておかれませ。」
「晴助はいったい何を言っているのだ? 今我らは佐竹・上杉と手を結び北条を攻めておるところでは無いか、武田は一向宗・織田・今川と争い我らと手を結ぶ余裕など有るまい。」
「公方様は鷹司卿が今川どもに負けるとお考えですか?」
「ふむ、難しい所よの。今川だけならあれほど勢力を広げた武田の圧勝だろうが、一向宗が加わってはどちらが勝つか容易に判断できぬ。」
「今川が勝った場合に、鷹司卿が容易に滅びると思われますか?」
「それは有るまい、駿河・遠江・三河・尾張で武田が負けようとも、今川は国境を越えて甲斐・信濃に攻め込む事は出来まいな。」
「ならば鷹司卿が勝たれた場合はどうなると御考えですか?」
「勝つ? 容易く勝つ事などできまい、義元は海道一の弓取と言われる男ぞ、早々に決着などつくまい。」
「鷹司卿は一旦攻め込めば神速でございますぞ、美濃の斎藤、出羽の最上、越後の長尾など瞬く間に攻め滅ぼしておりますぞ。」
「だが今度の戦は晴信が指揮しておると言うではないか、義信の反対を押し切って始めたのではないか? ならば早々に決着はつかないのではないか?」
「今度の戦の発端は、昨年今川が伊那に攻め込もうとしたことの復仇でございましょう、あの折不利となった今川は朝廷を動かして和睦を成功させました。義信卿は鷹司家の名跡を継いでおり、帝を憚って指揮を取っていないだけでございましょう、今川の命運は最早尽きたと考えるべきかと思われます。」
「ふむ、そうだとしてそれが武田と誼を通じる必要に成るのか?」
「公方様、武田では無く鷹司卿と御考え為されませ! 駿河・遠江・三河・尾張を加えた卿は、上洛を目指されましょう、その折は北条と手を組むと考えられます。卿と手を組んだ北条は当然上総武田を味方としますぞ、北条はその心算で上総には一切手を出しておりません。いや上総武田だけではありませんぞ、美濃土岐家には武田から養嗣子が入っております、常陸・土岐家も北条に組すると考えねばなりませんぞ、そうなってからでは遅いのでございます。」
「晴助、一つ教えて欲しいのだが、我らが武田を鷹司と考える事で、それほど大きく違いが出てくるのか?」
「藤氏様、とても大きく違ってまいります。鷹司家は五摂家の1つであり、義信卿の義父上は同じく五摂家の九条稙通卿でございます。叔母の椿姫様は方仁親王に入内されておられ、覚恕様を還俗させ覚院宮を創設し、叔母の菖蒲姫を正室としておられます。その全てを信濃にいて、武力を用いず成し遂げられておられると言う事は、余程に帝の信頼を得ておられ朝廷にも影響力が有るのでございます。」
「それならば何故朝廷は昨年和睦をさせたのじゃ、鷹司卿の邪魔をしたことになるではないか?」
「朝廷内にも派閥が有るのでございましょう、あの折は今川の下にも多くの公家が逃げ込んでおりましたから。ですが今は今川派の公家も駿河を逃げだしております。和睦が結ばれてから内々に、佐竹にも下向したいと公家から話があったそうでございます。」
「ならば公家衆も今川が負けるとみており、今川派の公家も力を無くしているのだな。」
「左様でございます、ですから我らは北条より先に鷹司卿と誼を結び、上総武田・常陸土岐を味方に加えねばなりません。更に申せば小弓公方家の足利頼純(あしかがよりずみ)よりも、我らが正当な関東公方と認めて頂かねばなりません。」
「馬鹿な事を申すな! 武田になどが認めずとも我が正当な関東公方じゃ。」
「公方様、先ずは晴助の申す事を最後まで聞きましょう。」
「ふん!」
「藤氏様、ありがとうございます。今京では将軍家不在の異常事態が続いております。亡き義藤様の弟・義秋様と、平島公方・足利義維様が争っておられますが、鷹司卿は何方にも加担されておられません。恐らく将軍家になど興味は無いのでございましょう、幕府の役職は全て返上し朝廷の官位官職のみを受けておられます。義元殿が戦に踏み切ったのもそれが原因の1つでありましょう。」
「なればこそ誼など通じても無駄じゃ!」
「公方様、最後まで聞きましょう、晴助つづけよ。」
「鷹司卿が建武の新政のように、帝を中心にした政を目指しておられるのか、己が幕府を開かんと欲しておられるのかは分かりませんが、公方様には力を蓄えて頂かねばなりません。鷹司卿が上洛を目指されるのなら、その間に北条を討ち滅ぼし関東を纏めねば何も成す事が出来ません。」
「鷹司卿が帝を中心にした政を目指していたら、どうするつもりなのだ?」
「関東公方として、関東の静謐を整え朝廷に忠誠を誓えば宜しいと考えております。恐らく鷹司卿は摂関として京に留まり、西国征伐に専念されましょう。」
「鷹司卿が幕府を開いた場合はどうするのだ?」
「その時には、義秋様も義維様も滅ぼされておられましょう。公方様には将軍家として鷹司卿と雌雄を決して貰わねばなりません。」
「公方様、ここは晴助の申す通り一時的に鷹司卿と誼を通じられては如何ですか?」
「く! 家臣筋に頭を下げよと申すか。では具体的にどう誼を結ぶのじゃ。」
「恐れながら、春姫様に鷹司卿の側室に輿入れして頂きます。」
「なに! 武田如きに輿入れせよと申すか! しかも側室じゃと、余を侮っておるのか!」
「公方様御待ち下さい、晴助もよくよく考えての事でしょう。それに春は北条の血筋でも有ります。」
「藤氏様有難うございます。確かに武田に側室を送るなど考えられぬ事ではございますが、鷹司家となれば恥ではございません。それに人質同然ではございますが、春姫様が男子を産んで下されたら、後々鷹司家・武田家の家督を狙えるかもしれません。それと随行に梅千代王丸様を伴って頂きましょう。」
「晴助!」
「公方様! これも全て公方様と藤氏の御命を大切に思っての事でございます。梅千代王丸様がおられては、何時氏康めは公方様と藤氏を暗殺するか判りませんぞ。春姫様も同じでございます、氏政の正室に迎え出来た子を公方にせんとするかもしれません。ここは御2人を鷹司卿に御預け為されませ。」
「公方様、私も晴助の申す通りと考えます。弟妹を人質として送るのは悔しい事でございますが、彼らが北条の血を引いていることに違いは御座いません。今度の戦で負ければ、北条が公方様と私の命を狙うのは間違いありません。上総武田・常陸土岐の援軍を得る為にも、ここは晴助の献策通りに致しましょう。」
「口惜しいのう、全ては北条の所為じゃ! 忌々しい氏康めが! だが晴信との交渉は認めん、全て鷹司卿と交渉いたせ。それに此方からだけ人質を出すなど我慢できん、鷹司家の娘を藤氏の妻に迎えよ。」
「しかし公方様、鷹司卿は御若く年頃の娘などおられません。どうしても晴信の娘と成ってしまいます。そうなれば鷹司卿では無く、晴信殿と交渉する事に成りましょう。」
「だめじゃ、鷹司卿と交渉して人質を差し出させよ! この話はここまでじゃ、氏康との戦の話を致せ。
足利晴氏 4代古河公方
足利藤氏 晴氏嫡男
簗田晴助 古河公方家の筆頭重臣・藤氏の叔父・公方奏者・関宿城主
「承りました。」
(仕方あるまい、鷹司卿と今川の戦の決着が付くまでに話を進めておかねばならん、今川が滅べば公方様も現実を受け入れて下さるかもしれん。)
「小笠原義時殿に預けた我が騎馬武者は、北条領内を縦横に駆け回っております。迎え撃って来た北条勢を騎射と鉄砲で散々に討ち破り、仕方なく北条に降っていた者たちを味方に組み込んでおります。」
「うむ流石に我が武者共は強者よ! 騎射の出来る強者どもを選りすぐって送り込んだのだ、最早二度と北条などに後れを取る事は無い。早う農閑期にならぬかのう、小田原で氏康の首を見るのが楽しみじゃ。」
「しかし公方様、矢玉の補給が遅れております。折角の騎馬隊も矢玉が尽きては力が発揮できません。」
「左様で有ったな、我が名で再び関東諸将に矢玉の供出を命ぜよ。」
「承りました。集まった矢玉は直朝と助実に分けて運ばせます。」
「長時殿は軍を2つに分けておるのであったな、一方の将は神田将監であったか?」
「は! 長時殿も将監も信濃で鷹司卿と長らく戦っておられました、鷹司卿の戦振りをよく知っておられ、よき所を取り入れてもおられます。我らも後々の為に学んでおかねばなりません。」
一色直朝 古河公方家の重臣・一色城主
簗田助実 水海城主・水海簗田
5月『信濃・諏訪城』
九条が少し早産となった、しかし少し小柄では有るが五体満足な男の子を産んでくれた。産後の栄養補給の為に料理男子となったのはいいが、茜ちゃんたちの子供が欲しい要求に少し疲れ気味である。3人に加えて受胎日の娘子軍奥女中衆も攻め寄せて来た。
嬢子軍・元々くノ一にされるはずだった難民出身の女の子たち
奥女中・嬢子軍に中で未婚の者達(乳母以外)
確かに子供は多い方がいい、養子を送り込むにしても娘を嫁がせるにしても、武田の弟妹よりも鷹司家当主の実子の方が有り難がるだろう。しかしものには限度と言うものがある、いい加減奥女中衆の縁組を進めなければならない。例え家臣に嫁いだとしても、鍛え抜いた武芸が衰える訳も無し、家臣屋敷の奥を預かる様になっても、非常時は十分役立ってくれるだろう。
九条と自分の為に日々メニューを考え、奥女中衆を差配して料理を作らせた。亜鉛と鉄分補給にレバーの生姜焼、鉄分と亜鉛以外は具体的な精力剤に成る栄養の知識は無い。だが一般常識として知ってる範囲で作ったのが、山芋と麦のとろろ飯・鰻の蒲焼き・バターピーナッツ・ひじきの煮物だ。
前世から大好きだったバーターピーナッツは勿論、山芋・レバー・鰻は毎食何らかの料理にして食べた。
亜鉛 牡蠣、うなぎ、猪レバー
アルギニン 山芋、レンコン
鉄分 牛や豚のレバー、あさり、ひじき
ビタミンE うなぎ、落花生、大豆、アーモンド
セレン いわし・帆立
ビタミンC アセロラ、いちご、みかん
「公方様、ここは鷹司義信卿と誼を通じておかれませ。」
「晴助はいったい何を言っているのだ? 今我らは佐竹・上杉と手を結び北条を攻めておるところでは無いか、武田は一向宗・織田・今川と争い我らと手を結ぶ余裕など有るまい。」
「公方様は鷹司卿が今川どもに負けるとお考えですか?」
「ふむ、難しい所よの。今川だけならあれほど勢力を広げた武田の圧勝だろうが、一向宗が加わってはどちらが勝つか容易に判断できぬ。」
「今川が勝った場合に、鷹司卿が容易に滅びると思われますか?」
「それは有るまい、駿河・遠江・三河・尾張で武田が負けようとも、今川は国境を越えて甲斐・信濃に攻め込む事は出来まいな。」
「ならば鷹司卿が勝たれた場合はどうなると御考えですか?」
「勝つ? 容易く勝つ事などできまい、義元は海道一の弓取と言われる男ぞ、早々に決着などつくまい。」
「鷹司卿は一旦攻め込めば神速でございますぞ、美濃の斎藤、出羽の最上、越後の長尾など瞬く間に攻め滅ぼしておりますぞ。」
「だが今度の戦は晴信が指揮しておると言うではないか、義信の反対を押し切って始めたのではないか? ならば早々に決着はつかないのではないか?」
「今度の戦の発端は、昨年今川が伊那に攻め込もうとしたことの復仇でございましょう、あの折不利となった今川は朝廷を動かして和睦を成功させました。義信卿は鷹司家の名跡を継いでおり、帝を憚って指揮を取っていないだけでございましょう、今川の命運は最早尽きたと考えるべきかと思われます。」
「ふむ、そうだとしてそれが武田と誼を通じる必要に成るのか?」
「公方様、武田では無く鷹司卿と御考え為されませ! 駿河・遠江・三河・尾張を加えた卿は、上洛を目指されましょう、その折は北条と手を組むと考えられます。卿と手を組んだ北条は当然上総武田を味方としますぞ、北条はその心算で上総には一切手を出しておりません。いや上総武田だけではありませんぞ、美濃土岐家には武田から養嗣子が入っております、常陸・土岐家も北条に組すると考えねばなりませんぞ、そうなってからでは遅いのでございます。」
「晴助、一つ教えて欲しいのだが、我らが武田を鷹司と考える事で、それほど大きく違いが出てくるのか?」
「藤氏様、とても大きく違ってまいります。鷹司家は五摂家の1つであり、義信卿の義父上は同じく五摂家の九条稙通卿でございます。叔母の椿姫様は方仁親王に入内されておられ、覚恕様を還俗させ覚院宮を創設し、叔母の菖蒲姫を正室としておられます。その全てを信濃にいて、武力を用いず成し遂げられておられると言う事は、余程に帝の信頼を得ておられ朝廷にも影響力が有るのでございます。」
「それならば何故朝廷は昨年和睦をさせたのじゃ、鷹司卿の邪魔をしたことになるではないか?」
「朝廷内にも派閥が有るのでございましょう、あの折は今川の下にも多くの公家が逃げ込んでおりましたから。ですが今は今川派の公家も駿河を逃げだしております。和睦が結ばれてから内々に、佐竹にも下向したいと公家から話があったそうでございます。」
「ならば公家衆も今川が負けるとみており、今川派の公家も力を無くしているのだな。」
「左様でございます、ですから我らは北条より先に鷹司卿と誼を結び、上総武田・常陸土岐を味方に加えねばなりません。更に申せば小弓公方家の足利頼純(あしかがよりずみ)よりも、我らが正当な関東公方と認めて頂かねばなりません。」
「馬鹿な事を申すな! 武田になどが認めずとも我が正当な関東公方じゃ。」
「公方様、先ずは晴助の申す事を最後まで聞きましょう。」
「ふん!」
「藤氏様、ありがとうございます。今京では将軍家不在の異常事態が続いております。亡き義藤様の弟・義秋様と、平島公方・足利義維様が争っておられますが、鷹司卿は何方にも加担されておられません。恐らく将軍家になど興味は無いのでございましょう、幕府の役職は全て返上し朝廷の官位官職のみを受けておられます。義元殿が戦に踏み切ったのもそれが原因の1つでありましょう。」
「なればこそ誼など通じても無駄じゃ!」
「公方様、最後まで聞きましょう、晴助つづけよ。」
「鷹司卿が建武の新政のように、帝を中心にした政を目指しておられるのか、己が幕府を開かんと欲しておられるのかは分かりませんが、公方様には力を蓄えて頂かねばなりません。鷹司卿が上洛を目指されるのなら、その間に北条を討ち滅ぼし関東を纏めねば何も成す事が出来ません。」
「鷹司卿が帝を中心にした政を目指していたら、どうするつもりなのだ?」
「関東公方として、関東の静謐を整え朝廷に忠誠を誓えば宜しいと考えております。恐らく鷹司卿は摂関として京に留まり、西国征伐に専念されましょう。」
「鷹司卿が幕府を開いた場合はどうするのだ?」
「その時には、義秋様も義維様も滅ぼされておられましょう。公方様には将軍家として鷹司卿と雌雄を決して貰わねばなりません。」
「公方様、ここは晴助の申す通り一時的に鷹司卿と誼を通じられては如何ですか?」
「く! 家臣筋に頭を下げよと申すか。では具体的にどう誼を結ぶのじゃ。」
「恐れながら、春姫様に鷹司卿の側室に輿入れして頂きます。」
「なに! 武田如きに輿入れせよと申すか! しかも側室じゃと、余を侮っておるのか!」
「公方様御待ち下さい、晴助もよくよく考えての事でしょう。それに春は北条の血筋でも有ります。」
「藤氏様有難うございます。確かに武田に側室を送るなど考えられぬ事ではございますが、鷹司家となれば恥ではございません。それに人質同然ではございますが、春姫様が男子を産んで下されたら、後々鷹司家・武田家の家督を狙えるかもしれません。それと随行に梅千代王丸様を伴って頂きましょう。」
「晴助!」
「公方様! これも全て公方様と藤氏の御命を大切に思っての事でございます。梅千代王丸様がおられては、何時氏康めは公方様と藤氏を暗殺するか判りませんぞ。春姫様も同じでございます、氏政の正室に迎え出来た子を公方にせんとするかもしれません。ここは御2人を鷹司卿に御預け為されませ。」
「公方様、私も晴助の申す通りと考えます。弟妹を人質として送るのは悔しい事でございますが、彼らが北条の血を引いていることに違いは御座いません。今度の戦で負ければ、北条が公方様と私の命を狙うのは間違いありません。上総武田・常陸土岐の援軍を得る為にも、ここは晴助の献策通りに致しましょう。」
「口惜しいのう、全ては北条の所為じゃ! 忌々しい氏康めが! だが晴信との交渉は認めん、全て鷹司卿と交渉いたせ。それに此方からだけ人質を出すなど我慢できん、鷹司家の娘を藤氏の妻に迎えよ。」
「しかし公方様、鷹司卿は御若く年頃の娘などおられません。どうしても晴信の娘と成ってしまいます。そうなれば鷹司卿では無く、晴信殿と交渉する事に成りましょう。」
「だめじゃ、鷹司卿と交渉して人質を差し出させよ! この話はここまでじゃ、氏康との戦の話を致せ。
足利晴氏 4代古河公方
足利藤氏 晴氏嫡男
簗田晴助 古河公方家の筆頭重臣・藤氏の叔父・公方奏者・関宿城主
「承りました。」
(仕方あるまい、鷹司卿と今川の戦の決着が付くまでに話を進めておかねばならん、今川が滅べば公方様も現実を受け入れて下さるかもしれん。)
「小笠原義時殿に預けた我が騎馬武者は、北条領内を縦横に駆け回っております。迎え撃って来た北条勢を騎射と鉄砲で散々に討ち破り、仕方なく北条に降っていた者たちを味方に組み込んでおります。」
「うむ流石に我が武者共は強者よ! 騎射の出来る強者どもを選りすぐって送り込んだのだ、最早二度と北条などに後れを取る事は無い。早う農閑期にならぬかのう、小田原で氏康の首を見るのが楽しみじゃ。」
「しかし公方様、矢玉の補給が遅れております。折角の騎馬隊も矢玉が尽きては力が発揮できません。」
「左様で有ったな、我が名で再び関東諸将に矢玉の供出を命ぜよ。」
「承りました。集まった矢玉は直朝と助実に分けて運ばせます。」
「長時殿は軍を2つに分けておるのであったな、一方の将は神田将監であったか?」
「は! 長時殿も将監も信濃で鷹司卿と長らく戦っておられました、鷹司卿の戦振りをよく知っておられ、よき所を取り入れてもおられます。我らも後々の為に学んでおかねばなりません。」
一色直朝 古河公方家の重臣・一色城主
簗田助実 水海城主・水海簗田
5月『信濃・諏訪城』
九条が少し早産となった、しかし少し小柄では有るが五体満足な男の子を産んでくれた。産後の栄養補給の為に料理男子となったのはいいが、茜ちゃんたちの子供が欲しい要求に少し疲れ気味である。3人に加えて受胎日の娘子軍奥女中衆も攻め寄せて来た。
嬢子軍・元々くノ一にされるはずだった難民出身の女の子たち
奥女中・嬢子軍に中で未婚の者達(乳母以外)
確かに子供は多い方がいい、養子を送り込むにしても娘を嫁がせるにしても、武田の弟妹よりも鷹司家当主の実子の方が有り難がるだろう。しかしものには限度と言うものがある、いい加減奥女中衆の縁組を進めなければならない。例え家臣に嫁いだとしても、鍛え抜いた武芸が衰える訳も無し、家臣屋敷の奥を預かる様になっても、非常時は十分役立ってくれるだろう。
九条と自分の為に日々メニューを考え、奥女中衆を差配して料理を作らせた。亜鉛と鉄分補給にレバーの生姜焼、鉄分と亜鉛以外は具体的な精力剤に成る栄養の知識は無い。だが一般常識として知ってる範囲で作ったのが、山芋と麦のとろろ飯・鰻の蒲焼き・バターピーナッツ・ひじきの煮物だ。
前世から大好きだったバーターピーナッツは勿論、山芋・レバー・鰻は毎食何らかの料理にして食べた。
亜鉛 牡蠣、うなぎ、猪レバー
アルギニン 山芋、レンコン
鉄分 牛や豚のレバー、あさり、ひじき
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