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武田義信

天文21年(1552年)14歳・朝廷工作・美濃援軍・佐渡侵攻

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 天文21年(1552年)1月10日『信濃・諏訪城・北二之丸』

 朝廷と幕府に工作していた官位官職が認められた、信玄が朝廷では、従四位上・大膳大夫のままだが甲斐国司を降りた、一方幕府では准三管領・甲斐・信濃・飛騨・越中・越後の五カ国守護となった。俺は朝廷では正二位に昇叙、権大納言・左近衛大将・甲斐・信濃国司となり、越中・越後の守護職は辞することになった。鷹司実信は正四位下・参議・左近衛権中将・越中国司となり普光内親王の降嫁を待つことになった。三条公之は従四位上・参議・右近衛権中将・越後国司となり永高内親王の降嫁を待つことになった。

 史実で大聖寺門跡となられた永高女王は1551年に亡くなられているのだが、武田家からの贈り物攻勢と侍女を送り込んでお守したためであろうか? 無事に1552年を御迎えになり降嫁に備えられている。

 一番大きかったのは、武田家からの入内工作が成功しそうなことだ。史実では伊那の下条信氏に嫁いだ信虎6女と、禰津神平に嫁いだ信虎7女を入内させようとずっと工作して来た。俺が三条家の嗣養子に成る話が出始めた頃からだが、本命は三条家の血が流れる信玄と母上の娘である妹たちだったのだが、如何せん幼過ぎた、だがここで方仁親王の典侍・藤原房子様が御懐妊された。そこでもし皇子が御生まれになった場合、叔母たちとの間に皇子が産まれても皇位は望まず、宮家の創設と言う約束の元で入内が認められそうだ。同時に失敗した場合に年頃の叔母たちの婚期を逃すわけにもいかない。だがら御生まれになられるのが女王で有った場合の保険として、誠仁親王の弟宮で後奈良天皇・第三皇子・比叡山延暦寺曼殊院門跡・覚恕法親王に還俗してもらい、宮家創設の上で輿入れすること話が付いた。全ての儀式費用を鷹司家(武田家)で持つことが条件であったが、これで武田の血を引く宮家創設がほぼ確定した。

 史実で覚恕法親王は、織田信長による比叡山焼討ちの際には比叡山延暦寺曼殊院におられす、難を逃れられたものの、信長に比叡山抵抗の責任を追及され、甲斐の武田信玄を頼り亡命された。この後、信玄が権僧正の僧位を得るために尽力されているが、その後も京に戻ることはなく天正2年(1574年)に甲斐で亡くなられている。我が武田家とは縁が深いのであろう。

 昨年から支援要請が来ている上総武田家の真里谷一族が問題だ。一族内の内紛と北条・里見家の外圧で滅亡寸前なのだが、北条の支援を受けている椎津城主・真里谷信政(まりやつのぶまさ)と、里見の支援を受けている真里谷信応(まりやつのぶまさ)・真里谷信高親子がいる。今回は北条家との同盟の兼ね合いもあり、真里谷信政に軍資金を支援すべきだろう、上総に武田の勢力を残して置くことで後で何かの役に立つかもしれない。

 同時に上総武田家の本家で庁南城・勝見城・池和田城に勢力をもつ武田清信への軍資金提供を打診してみよう。近くの万喜城主・土岐為頼は、美濃で支援している土岐頼芸の一族でもある。同盟して当たれば、北条や里見からの影響を排除して上総を取り戻すことも可能かもしれない。

 後は日本海航路の安全確保の為に交流を始めた因幡武田家への対応だ、鵯尾城主・武田高信は因幡守護・山名家からの独立を目論み、父・武田国信が主君で因幡守護・山名誠通に願い出て城代となっていた鳥取城を、山名誠通が亡くなった後で支配下に置いている。適度に軍資金を提供して因幡を俺の影響下に置ければ儲けものだろう。


 4月10日『信濃・諏訪城・北二之丸』

 俺は臨月の九条を残して佐渡遠征をする事に躊躇いが有った、だがら鷹司実信を名目上の大将とし、実際に差配する陣代に飯富虎昌を任命して佐渡侵攻を開始した。俺も出産後に騎馬隊を率いて駆け付ける心算だが、どうせ信濃からの歩兵部隊の移動には時間が掛かる。だから取りあえず越中・越後の国衆・地侍で参陣希望者を先に佐渡に上陸させた。

 ここで大問題が出た、美濃の土岐頼芸が斎藤道三の圧力に抗しきれず、直接援軍を願ってきたのだ。もし援軍を出さなければ史実の様に、常陸江戸崎城主・土岐原景成の養女を娶って婿養子に入った、弟の土岐原治頼の下に逃亡するだろう。だが俺も佐渡攻略は鉱山収入の確保もあり、早急に成し遂げなければならない。だから出せる戦力も制限がある、よって本気で美濃制圧するのではなく、大桑城に籠城して守り切れるだけの戦力を援軍に送る事にした。

 だがタダで援軍を出すほど俺も御人好しでは無い、土岐一族の姫に武田一門を婿養子に入れ、土岐頼芸の養嗣子とする事を条件とした。この条件を頼芸が受け入れたので、養嗣子として信虎の8男・一条信龍に寄騎併せて子飼いの220騎1100兵に、弓足軽1000兵・槍足軽2000兵を付けて大桑城に送り込んだ。

 これでようやく佐渡侵攻に本腰を入れられるのだが、俺の直属戦力も可也各地に分派されており、全力を持って佐渡侵攻とはいかなかった。美濃土岐への援軍以外にも、陸奥会津の山之内一族への援軍に曽根昌世と足軽3000兵、出羽・小野寺家への目付として漆戸虎光と足軽3000兵、越中の抑えに武田信繁以下5400兵・越後の抑えに武田信廉以下5400兵を置かざる得なかった。結局掻き集めた2万5000弱の雑多な将兵で佐渡侵攻が始まった。

 佐渡には200弱の城砦群があるが、2万を超える軍勢に抗し得るほどの城も、統一された勢力も存在しない、本間一族が互いに覇権を得ようと同族で相争っている。だが国外から攻め入られた場合は共同して抵抗するだろう。今回は制圧後の鉱山経営も考えて、本間一族の根切りか島外強制移住を絶対条件としての侵攻だった。

 最初に佐渡に上陸したのは、猿渡飛影に指揮された越後勢4000兵だった。彼らは小木湊にジャンク船団を付けて上陸、蓮華峰寺の南側の比高50m程度の所に有る、羽茂本間家の属城・小比叡城を一気に攻め落とした。その折に降伏して来た佐渡兵を軍に加えて侵攻を続けた。

 羽茂本間家の本拠地・羽茂城は佐渡では最大級の城では有るが、武田の基準では中規模城、しかしそれでも4000兵で落とすのは無理が有るので支城群から攻略することになった。次に攻略したのは大橋村に有る清士岡城を我攻めで落城させた。そして小比叡城・清士岡城を修築し、佐渡攻略の拠点とした上で休息して後続の部隊を待った。

 攻略予定の支城の1つ目は須川城で、大蓮寺の西800m・羽茂城の西1・5kmの平野部に北から突き出した比高20mほどの台地上にある。前面に小川が流れており、先端の主郭部は50m×70mほどで、主郭の両脇には腰曲輪が設けてあり。この北側に一段高く100×150mほどの広い郭があり、その背後には空堀があり、その奥の平坦地にも郭がある。

 2つ目は村山城で、羽茂城の西2kmで須川城と西に向いあっており、さらにすぐ西側に西方城がある。比高40mほどの台地上の先端部を利用しており、小規模の郭が3つ有り、その間に空堀が設置されている。

 3つ目は西方城で、羽茂城の西1・6km・村山城のすぐ南側の比高40mの北に向かって2本の台地上にある。

 猿渡飛影はジャンク船で第2陣の越中勢4000兵が加わるのを待って一気に西方城・村山城・須川城に我攻めを仕掛けた。一応弓を使える兵を集めて集中運用し、その援護弓射の下で竹製盾で防御した兵が攻勢を掛けたが、常に合同訓練している俺子飼いの足軽兵団ほどの連携は出来なかった。それでも佐渡で8000兵による城攻めは効果が有り、3日で3城を攻め落とすことが出来た。

 ここでまた休息を取りつつ、飯岡城・合沢城・大川城・国分城・雑田山城・雑田城・渋手城・滝脇城・竹田城・椿尾城・中沢田城・浜中城・吉岡城・腰細城・上川茂城に降伏の使者を送った。だが条件は厳しく武士を続けたい者は、扶持武士として信濃に移住すること。佐渡に残りたい者は武器を捨て百姓になることであった。

 そんな中で、佐渡第一宮の渡津神社の南1kmほどの所に有る飯岡城主・風間家は扶持武士としての移住を認め降伏してきた。その噂を聞いた腰細城の村殿本間家、上川茂城の池野家、大川城の大川家、国分城の鶴間家、渋手城の足立家、滝脇城の臼杵家、椿尾城の安藤家、中沢田城の小田家が次々と降伏し城を明け渡した。

『佐渡侵攻軍編成』

総大将 鷹司義信
大将  鷹司実信
陣代  飯富虎昌・猿渡飛影
副将  三条公之
軍師  鮎川善繁・曽根昌世
侍大将 於曾信安 板垣信憲 曽根昌世 滝川一益 相良友和 今田家盛 加津野昌世 米倉重継  
足軽大将 狗賓善狼 市川昌房  田上善親 田村善忠
武将 酒依昌光 板垣信廣 有賀善内 武居善政 武居堯存 金刺善悦 金刺晴長 矢崎善且 小坂善蔵 守矢頼真 松岡頼貞 座光寺為清 知久頼元 山村良利 山村良候 贄川重有 大祝豊保 沢房重 鵜飼忠和 両角重政 山中幸利 小原広勝 小原忠国 武居善種 花岡善秋 大祝右馬助勢 諏訪満隆 座光寺頼近 千野光弘 千野昌房 千野靭負尉

『佐渡攻略軍兵数』
飛騨・木曽・諏訪衆 2200兵
甲斐衆   1000兵
信濃衆   3000兵
越中衆   4000兵
越後衆   4000兵
扶持武士  1100兵
足軽弓隊  1000兵
足軽槍隊  2500兵
黒鍬輜重  6000兵
総計   2万4800兵

『佐渡侵攻時の部隊配置』

「美濃」
土岐頼芸援軍    一条信龍
子飼い兵      220騎1100兵
槍足軽       3000兵 
弓足軽       1000兵

「出羽」
小野寺家目付    漆戸虎光
槍足軽       2000兵 
弓足軽       1000兵

「陸奥」
山之内一族援軍   曽根昌世
槍足軽       2000兵 
弓足軽       1000兵

「越後」
総大将       武田信廉
扶持武士団     2400兵
槍足軽       3000兵
越後国衆      4000兵

「越中国」
総大将       武田信繁
扶持武士団     2400兵
槍足軽       3000兵
越中国衆      4000兵

「信濃国」
諏訪城   鷹司義信 騎馬隊   6000騎
妻籠城   甘利信忠 扶持武士団 1000兵
青崩城砦群 楠浦虎常 扶持武士団 1000兵 

横谷入城 浅間孫太郎
三才山城 赤羽大膳
北条城等 三村勢
福応館 福山善沖勢
丸山館 丸山善知勢
村井城 諏訪満隣勢
殿館 殿勢
荒井城 島立貞知
櫛木城 櫛置当主
波多山城 櫛置勢城代
淡路城 櫛置勢城代

伊深城主 後庁重常

花岡城  元難民が統治
金子城  元難民が統治
その他統治地域の城砦は元難民が統治
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