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イスパニア本格開戦

攻防⑥

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1575年4月:ゴア要塞都市:第三者視点

 インドに上陸作戦を実施した武田諸王国軍は、謀叛を企む一門衆にゴア要塞都市の攻撃を命じた。
 彼らが犠牲を出して、要塞を攻撃している間に、総大将の武田義近はもちろん、山本勘助・黒田孝高・工藤祐長・春日虎綱他は、周辺の都市や街を制圧していった。
 領土を占領し、民を慰撫する事に努めたのだ。
 反乱を企んでいる者達を磨り潰すのはもちろんだが、ゴア要塞都市を攻略しても、兵糧や軍資金を周辺から得られないように、事前に手を打っていたのだ。
 周辺の都市や街に関しては、事前に影衆が調略を加えており、実際の戦闘は殆ど行われなかった。
 ポルトガルとヴィジャヤナガル王国、ムスリム五王国と呼ばれたアフマドナガル王国、ベラール王国、ビジャープル王国、ゴールコンダ王国、ビーダル王国の争いで、インドの民は疲弊していた。
 だが、一度は連合してヴィジャヤナガル王国を討ち破ったイスラム教を信じる国々も、互い争う状況になり、ベラール王国が滅亡していた。
 そこに調略と撫民に長けた影衆が、更に残った五王国を争うように仕向けた上に、内部でも王位争いや権力争いが起こるように謀略を仕掛けた。
 国家間では大きな戦争が連年に渡って行われ、国内でも謀殺や謀叛が頻発した。
 それがポルトガルのインド侵攻を支援することになったが、インド人の反ポルトガル反南蛮人の意識を育てることになった。
 影衆が全ての御膳立てをしていたところに、武田諸王国軍が長期の国造りの視点で侵攻してきたので、住民のは反発は少なかった。
 戦争と悪政によって、七割八割もの税を搾り取られていた民に対して、四公六民の税制が公布された事が理由だった。
 全く戦闘がなかったわけではないが、大砲を使ったり、大量虐殺が行われるようなことはなかった。
 元々インドにあった風俗や宗教は認められたが、同時に信仰の自由も保証された。
 信仰による差別や迫害が禁止された事で、イスラム教徒であろうとヒンドゥー教徒であろうと、自由に暮らす事が出来るようにしようとした。
 だが、イスラム教を国教としていたムスリム五王国の領域では、なかなか信仰の自由を根付かせるのは難しそうだった。
 仕方なく、差別を受けそうなヒンドゥー教徒や被差別民は、武田諸王国で兵士や労働者として召し抱え、安心して暮らせる土地に移住させることになった。
 長期の治水と開墾が必要だが、運河と用水路を整備し、荒地を開墾して耕作地にする計画が、何年も前から潜入していた影衆により提案されていたのだ。
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