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第一章
5話
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私は断固とした態度を取ることにしました。
貴族の建前など糞くらえです。
だからハワード侯爵にマイケルとの婚約を認めさせたのです。
祖父も母も妹もとても喜んでくれました。
ですが自分達だけが知っているのでは不十分です。
アバコーン王国の全貴族士族に知らしめる必要があります。
思い知らせてやるのです。
これからのハワード侯爵家は、貴族の建前など認めないことを。
実力こそ全てだと言う事を。
それには、アバコーン王国の全貴族士族を招いて、披露宴を開催しなければなりません。
私がハワード侯爵家に女当主である事と、マイケルが夫である事を、全貴族士族に納得させなければなりません。
ですがそれには、莫大な費用と物資が必要になります。
ですが、だからといって、領民に負担をかける訳にはいきません。
生産力が十分の一以下に激減したこの世界では、普通は不可能な事です。
しかし私には助けてくれる家族と戦友がいます。
命懸けの戦いで、肩を並べて戦った戦友がいるのです。
彼らが狩った魔獣の魔石と素材があれば、費用も物資も十分です。
ですが、何の見返りもなく助けてもらう心算はありません。
次代のハワード侯爵として、現当主のウィリアムに交渉しました。
魔石と素材を融通してくれる傭兵仲間達を、騎士に叙勲してくれと交渉しました。
最初ウィリアムは難色を示していました。
ですが領地には、跡継ぎのいなくなった陪臣騎士領が沢山あるのです。
中には領民が死に絶えた領地もありますが、領民が激減した上に領主もいなくなり、統治のままならない領地が多いのです。
そんな領地を再建するには、これも多くの費用と物資が必要になります。
私の戦友を騎士に叙勲すれば、費用も物資も自前で集めて来ます。
そして何よりも、私への忠誠心が高いのです。
急遽外から連れてきた血の薄い後継者の私です。
男死病から生き延びた譜代の陪臣騎士が、忠誠を尽すとは限らないのです。
ウィリアムもこの混乱する末世で、領内で内紛など起こしたくないはずです。
ですがそれでも、ウィリアムは中々承諾しませんでした。
しかし、ついに、祖父からの手紙を読んだウィリアムは、マイケルを私の婚約者として披露する事を認めました。
しかも大々的に披露宴を開くことも、傭兵達を騎士に叙勲する事も認めたのです。
祖父の手紙の内容は、私にも分かりません。
ですが何か大切な事が書かれていたのは確かです。
それからのウィリアムは、私を養女に迎えた頃とは比較にならないくらい積極的に動き出したのですから。
貴族の建前など糞くらえです。
だからハワード侯爵にマイケルとの婚約を認めさせたのです。
祖父も母も妹もとても喜んでくれました。
ですが自分達だけが知っているのでは不十分です。
アバコーン王国の全貴族士族に知らしめる必要があります。
思い知らせてやるのです。
これからのハワード侯爵家は、貴族の建前など認めないことを。
実力こそ全てだと言う事を。
それには、アバコーン王国の全貴族士族を招いて、披露宴を開催しなければなりません。
私がハワード侯爵家に女当主である事と、マイケルが夫である事を、全貴族士族に納得させなければなりません。
ですがそれには、莫大な費用と物資が必要になります。
ですが、だからといって、領民に負担をかける訳にはいきません。
生産力が十分の一以下に激減したこの世界では、普通は不可能な事です。
しかし私には助けてくれる家族と戦友がいます。
命懸けの戦いで、肩を並べて戦った戦友がいるのです。
彼らが狩った魔獣の魔石と素材があれば、費用も物資も十分です。
ですが、何の見返りもなく助けてもらう心算はありません。
次代のハワード侯爵として、現当主のウィリアムに交渉しました。
魔石と素材を融通してくれる傭兵仲間達を、騎士に叙勲してくれと交渉しました。
最初ウィリアムは難色を示していました。
ですが領地には、跡継ぎのいなくなった陪臣騎士領が沢山あるのです。
中には領民が死に絶えた領地もありますが、領民が激減した上に領主もいなくなり、統治のままならない領地が多いのです。
そんな領地を再建するには、これも多くの費用と物資が必要になります。
私の戦友を騎士に叙勲すれば、費用も物資も自前で集めて来ます。
そして何よりも、私への忠誠心が高いのです。
急遽外から連れてきた血の薄い後継者の私です。
男死病から生き延びた譜代の陪臣騎士が、忠誠を尽すとは限らないのです。
ウィリアムもこの混乱する末世で、領内で内紛など起こしたくないはずです。
ですがそれでも、ウィリアムは中々承諾しませんでした。
しかし、ついに、祖父からの手紙を読んだウィリアムは、マイケルを私の婚約者として披露する事を認めました。
しかも大々的に披露宴を開くことも、傭兵達を騎士に叙勲する事も認めたのです。
祖父の手紙の内容は、私にも分かりません。
ですが何か大切な事が書かれていたのは確かです。
それからのウィリアムは、私を養女に迎えた頃とは比較にならないくらい積極的に動き出したのですから。
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