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1章

2話カミラ王女視点

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 私も女なのです。
 怪物のように醜くても、女なのです。
 男性の叔父達では教えきれない事、助けられない事があるのです。
 容姿は醜くても、私も淑女です。
 私から男性には聞けない事があるのです。

 最初は母の侍女たちがいました。
 母は慈愛に満ちた方だったそうで、侍女たちに慕われていたそうです。
 だからその恩と王家への忠誠心で、幼い私の世話をしてくれていたそうです。
 ですが、徐々に身体的精神的不調を訴えて、辞めていったそうです。
 私の醜さは、幼い頃からどうしようもなかったのです。

 母が王家に輿入れしたから仕えた侍女は、二年で全員辞めてしまったそうです。
 ブルックス侯爵家から付き従って来た侍女も、五年で全員辞めてしまいました。
 その後は、専従の侍女はいなくなりました。
 最初は週一度の交代制で、私の最低限の世話をする侍女が来ることになりました。
 陰で罰ゲームだと言っているのを聞いたことがあります。

 それでも、週一度最低限の世話をするだけで、精神を病む侍女が現れたそうです。
 それを幸いに、義母は私の世話をする侍女を廃止しようにしたそうです。
 表向きは侍女を守るために。
 本心は、第一王女の私を貶め、自分の娘を女王にする為でした。
 私はそれでも構わないと思っていました。

 仕方がない事です。
 私が醜すぎるので、家臣が私の顔を見れないのです。
 実の父が直視できないほど醜い容姿をしているのです!
 ですがジョンとルイスが許してくれませんでした。

 祖父の国王が亡くなり、王子から王弟になったジョン叔父は、王子時代から文武両道の名将と言う評判を得ておられました。
 武闘派の貴族には、ジョン叔父こそ王に相応しいと公言する者がいたくらい、貴族にも士族にも支持されておられました。

 そんなジョン叔父は、義母の母国ミルズ王国を警戒されていて、半妹のハンナが女王に成る事を強烈に反対されていました。
 私を嫌ってる父も、武断派貴族と軍を掌握しているジョン叔父の諫言は無視できなかったようで、私が廃嫡されることはありませんでした。

 ルイス叔父も同じでした。
 武闘派貴族の代表であり、反ミルズ王国派の代表でもあるルイス叔父は、ブルックス侯爵家の当主としてジョン公爵と共闘され、父と義母の陰謀を防がれました。
 でも私は別に廃嫡でもよかったのです。
 修道院で一人静かに暮らせればよかったのです。

 もうこれ以上、私の容姿を見て狂乱する者を見たくないのです。
 諦めている事とは言え、その度に辛く哀しくなります。
 でも、実の父にさえ見捨てられた私を、ずっと愛してくれる二人を裏切る事などできませでした。
 
 王家が私の世話を放棄した七歳から、離宮に住む私の為に、侍女を送り続けてくれたルイス叔父を裏切る事はできませんでした。
 でもそれが、最悪の結果を生んでしまいました。
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