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5話第三者視点

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「そうかい、教えてくれてありがとう。
 そうだね、全員引き上げてくれるかい。
 もうハロウデン王家を護らなくていいよ。
 王族を守る守役も、災厄を知らせるお告げ役も、悪魔の囁きや誘惑から守る守護役も、近づいてくる悪魔を滅する撃退役も、全員アメリアを護ってくれ」

 イライジャはジャクソン王太子を、いや、ハロウデン王家を見捨てる決断をした。
 慈愛の神とまで言われたイライジャだったが、人間を愛しすぎてしまって、どうしても人間と一緒に暮らしたくなり、天界から降りてきてしまってた。
 
 丁度いいことに、三十年も神に子供を願う夫婦がいた。
 神々も忙しいし、時間基準が人間とは違い過ぎるので、三十年くらいは平気で見落としてしまう。

 それをいいことに、イライジャは他の神々の隙を盗んで地上に降りた。
 最初は両親の溢れんばかりの愛情に包まれて幸せだった。
 だが、直ぐに人間に幻滅することになってしまった。
 神々に祈りを届ける人間は美しかった。
 中には身勝手な願いをする者もいたが、そんな者は直ぐにいなくなっていた。
 
 イライジャはそれを、人間が悔い改めることのできる魂を持っていると、大きな勘違いしてしまっていた。
 だが今ならその真の理由が分かる。
 神々に仕える神使が、悪人に神罰を加えて処分していたのだ。
 だがその処分も、天に座す神々の時間基準で行われるので遅れがちになり、善良な人間が長く苦しんでいた。

 初めてその事を知ったイライジャはショックを受けた。
 天から見ていた人間と、地上に降りて実際に接する人間が違い過ぎた。
 特にショックだったのが、魂が美しいはずの子供がとても醜く、人間の姿をしたイライジャを容赦せずに酷く虐めるのだ。
 イライジャは思わず人類を滅亡させるほどの天罰をくだしそうになったいた。

 だがその時に、魂の清らからアメリアが助けてくれた。
 とっさに天罰を思いとどまった。
 アメリアと仲良くなって、もう少し人間を詳細にみることにした。
 そこで愕然としたのが、神々が神使を使わして人間を指導させているはずの王族や神職ほど、魂が汚れていることだった。

 平民は無学でガサツではあるが、王族や貴族に比べれば魂の奇麗な者が多かった。
 原始の欲望に忠実すぎるが、堕落してはいなかった。
 一瞬人間から知識を奪ってしまおうかとも考えたが、アメリアを接するとそんな事はできなくなった。
 そんな事をすれば、アメリアのような存在が生まれてこなくなってしまうからだ。

 アメリアを幸せにしたかったし、ずっと側にいたかった。
 アメリアを傷つけるモノを排除したかった。
 アメリアに好かれたいと思ってしまった。
 最初は人間が好きで天界から降りてきたが、今は人間自体には特に思い入れがなくなり、アメリアを幸せにする道具として人間を扱う気になっていた。
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