持参金が用意できない貧乏士族令嬢は、幼馴染に婚約解消を申し込み、家族のために冒険者になる。

克全

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第二章貴族偏

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 私は急いで魔笛を吹きました。
 属性竜を斃した合図です。
 せっかく斃した属性竜を、他の属性竜や亜竜に喰われるわけにはいきません。
 私の持っている汎用魔法袋の容量では、属性竜を保管する事などできません。
 巨大な属性竜を保管するためには、エマかニカの魔法袋が必要なのです。
 二人が駆けつけてきてくれるまでは、私が確保しなければいけません。

 しかし、属性竜を食べたいのは人間だけではないようです。
 人間が属性竜の肉を食べると身体強化されるように、魔獣や竜も、属性竜を食べたら強くなれるのでしょう。
 私が気配を隠さずにいるのに、恐れずに群れ集まってきました。
 貴重な素材である属性竜を喰われるわけにはいかないので、私は全力で迎え討ちましたが、信じられないくらい簡単に亜竜を狩ることができています。

 私が斃した属性竜の周囲には、死屍累々と魔獣や亜竜の死体が転がっています。
 そのすべてを無事に回収することができれば、戦国時代の列強国の年収に匹敵するような収入になるでしょう。
 まだまだ集まって来ていますが、そのすべてを簡単に斃すことができています。
 速さも力も持久力も、また段違いの強さになっています。
 属性竜を最初から最後まで単独で斃すことが、これほど身体強化させるのかと、改めて驚いています。

「「「「「ラナ」」」」」

 それほど待つこともなく、仲間が駆けつけてきてくれました。
 魔笛で呼ぶこともなく、支援に来てくれていたのです。
 私自身も信じられない話ですが、私が強化された身体能力で先行したわずかな時間で、属性竜を斃せたという事です。
 仲間達も驚いていますが、それで隙を見せるほど素人ではありません。

「次を迎え討つ」

 ですが、その短い時間が、新たな属性竜を呼び寄せるには十分だったのです。
 私はひと言叫んで迎撃に行きます。
 家族か仲間を殺された怒りで現れたのか、それとも私が斃した属性竜を喰らって更に強くなりたいのか、理由は分かりませんが属性竜との連戦です。

 危険ではありますが、自信も少し出てきています。
 単独で二頭もの属性竜を狩った自信です。
 少々の事で揺らぐような実績ではありませんが、思い上がってはいません。
 実際に命懸けの狩りを続けていれば、思い上がる事などできません。
 まして相手は属性竜なのです。
 一瞬の遅れがあったら死んでいた、それを骨身に染みて分かっているのです。

 直ぐに次の属性竜と出会いました。
 怒り狂っているのが分かります。
 私が斃したのは家族か仲間なのでしょう。
 家族や仲間を殺されたら、どれだけ腹が立つかは理解できます。
 理解はできますが、それで手を抜くことはありません。
 三頭目の属性竜が近づいてきている事が、気配で分かるからです。
 焦りはしませんが、斃せるのなら速攻で斃します!
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