持参金が用意できない貧乏士族令嬢は、幼馴染に婚約解消を申し込み、家族のために冒険者になる。

克全

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第二章貴族偏

肉食亜竜種狩り

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「まだだ、まだやれる!
 差し出がましいことは言うな!
 お前は側近から外す。
 皇族の一人は厄竜に立つ向かわなければならんのだ!
 それを邪魔する者は、譜代功臣家であろうと断じて許さん!
 皇室の名誉を穢す家を、譜代功臣家とは言わん」

 そういう事でしたか。
 それならば協力しなければいけません。
 皇国の民のため、皇族が最前線で戦う覚悟をしているのなら、それに応えるのが家臣の務めです。
 城伯家ではなくても、元の徒士家の娘の時だろうと、できる限りの役目に励んだことでしょう。

「ヨジップ殿下!
 大物喰いすればいいというモノではありません。
 確実に手早く適度な強さの亜竜を狩るのです。
 今は巨竜を手早く狩ってください」

「おお!
 分かった。
 助言感謝するぞ、ラナ」

 巨竜とは言っても二トンクラスの肉食亜竜です。
 初期に発見命名されたので、その時は最も大きく強いと思われていたのです。
 ですが次々ともっと巨大で強い肉食亜竜が発見され、名前と実態が一致しなくなっているのです。
 ですが巨竜を狩れるくらい強い冒険者なら、名前と実態の違いなど関係ないです。

 最初は命懸けで必死で狩るだけです。
 実力がついてきたら、収入のために狩ります。
 いえ、亜竜種が狩れるくらいの実力者なら、目先の収入ではなく、狩った亜竜からどのような薬作られ、どんな病気に効くのかが気になります。
 自分の家族や友人知人を助けられるのか、それが一番気になるのです。

「ヨジップ殿下!
 すみません。
 次は瑪格竜です。
 私が斃しましょうか?」

「かまわん!
 次の巨竜が来るまで瑪格竜を削る。
 巨竜が来たら止めを頼む」

「分かりました」

 マルティン様がヨジップ殿下に謝っています。
 上手く巨竜を誘い出せなかったのでしょう。
 それも仕方りません。
 大魔境で早々都合よく、自分が狩りたい亜竜だけを見つける事などできません。
 それに、止めがさせなくても、削るだけでもよい経験になりますから。

「ヨジップ殿下!
 次の巨竜が来ましたが、そのまま最後まで斃してください。
 巨竜はイヴァンに相手させておきます。
 今の殿下なら、最初から最後まで一人で瑪格竜を斃せますぞ」

「おお!
 そうか、そうしてくれるか。
 俺もこのまま斃せそうな気がしていたのだ。
 そうか、俺は瑪格竜を斃せるようになったか」

「殿下!
 油断されてはいけませんぞ。
 今は我々が間引いているから安全なのです。
 肉食亜竜の群れに囲まれたら、今の殿下でも命の保証はありませんぞ!」

 ジョージ様が、ほめた直後に厳しくたしなめておられます。
 それがいいですね。
 大事な方です。
 厄竜に立ち向かう覚悟を決められた皇子です。
 犬死になど絶対にさせられません!
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