悪役令嬢戦記:死ぬしかない悪役令嬢に転生したので、無双を目指す事にしました。

克全

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第一章

第74話:暗殺者

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「エセ教団が認定していた元勇者候補ガイ、入れ」

「はっ」

 勇者候補として好き勝手していたガイという男が入ってきました。
 前世から引き続いて私が大嫌いな、傲岸不遜な表情をしています。
 王女候補の公爵令嬢でなければ、絶対に会わない人間です。
 私になら教団の悪事を進んで自供すると言ってこなければ、家臣達も私に会わそうとはしなかったでしょう。

「エセ教団が認定していた元聖女候補イグレイン、入れ」

「はい」

 事前に教団幹部の娘と聞いていた女も、人を見下した目をしています。
 この目を見たただけで、本気で自供する気がないのが分かります。
 キツネとタヌキの化かし合いではありませんが、双方の想いがあります。
 勇者達は不意を突いて私を殺す気なのです。
 愚かなこの者達は、暗殺を企んでいる事を私達に知らえれている事を知りません。
 本当に愚かとしか言えない、自分達に都合がいい事しか見えない行動です。

「エセ教団が認定していた元勇者パーティーの者達、入れ」

「「「はい」」」

 二人の女と一人の男が入ってきました。
 その内に元伯爵令嬢と言う女が、嫌な目つきで私の事を見ています。
 元勇者候補と元聖女候補だけが一人ずつ呼ばれて、自分が名前も呼ばれず、他のパーティーメンバーと一緒に、十把一絡げに扱われるのが腹立たしいのでしょう。
 命を預けて助け合うはずのパーティーメンバーを下に見て、馬鹿にする性格。
 同じ部屋で同じ空気を吸うのも嫌な腐れ女です。

「王女候補、公爵令嬢、オードリー様への挨拶は不要です。
 今直ぐその場で教団の悪事を証言しなさい」

 クローディアが私の気持ちを慮って厳しく言い放ってくれます。
 こんな連中が大嫌いな私が、側によられるのも嫌なのを分かってくれています。
 本当なら、こいつらを近づかせて暴発させるべきなのです。
 暗殺の好機だと思わせて、攻撃させるべきなのですが、私の心の平穏を重視してくれて、とても襲撃する気にならない遠くに止めてくれました。

「非常に大切な事をお話させていただきたいので、王女殿下と二人きりでお話させていただきたいのですが、無理でしょうか」
 
 ガイと言う名の馬鹿が調子に乗って身勝手な事を口にします。
 私との謁見が許され、自分と元聖女候補だけが別に呼ばれた事で、自分には値打ちがあると思った、いえ、思いたいのでしょうね。
 それと、まだ幼い姿の私を見て、自分なら騙せると思ったようですね。
 幼い私を騙して寵臣になろうとしているのかもしれませんが、馬鹿ですね。
 そのような事を家臣達が許すと思っているのでしょうか。

「そのような必要は全くありません、愚かな者達よ。
 自分達が今までやってきた事を思い出せば、裏切られて当然だと言う事も分からない、救いようのない愚かな者達よ。
 お前達三人がオードリー様を殺そうとしている事は、そこにいる二人から報告を受けているのですよ、愚か者共!」

 クローディアの罵倒を受けて、ガイ、イグレイン、オーネリアが思わず振り向いて、今まで散々平民出身だと馬鹿にしてきた二人を見ています。
 見られた二人は、既に安全な間合いにまで下がっています。
 その目には、元パーティーメンバを裏切る罪の意識など全くありません。
 それどころか、清々したという気持ちが浮かんでいます。

「捕まえろ、卑怯下劣な皇帝の命令でオードリー様を殺そうとした、品性下劣な野蛮人共を捕まえるのだ」

「「「「「おう」」」」」
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