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第一章
第53話:叩き合い
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通常槍隊同士が戦う事になった場合、叩き合いか突き合いになります。
三間槍のようなとても長い槍の場合は、槍先で傷つけるのではなく、柄のしなりを利用した変幻自在の動きと打撃力で、敵を叩き伏せます。
ですが私の傭兵団が使っている槍は、それぞれが上手く取り回しのできる長さにしていますから、突く事も叩く事もできます。
そして今回の戦いでは、突き主体で戦ってもらっています。
亜竜の牙で作った槍を使って、敵の鎧を無効化するのです。
それに加えて、私が大規模範囲補助魔術を事前にかけました。
素早さを強化すると逆に戦い難いのは大魔境で経験済みですから、腕力と防御力と快復力を強化しています。
「「「「「ギャアアアアア」」」」」
傭兵団の攻撃する間合いに入ってきた皇国兵が、一突きで殺されました。
最前列で戦う槍兵は、亜竜の牙で作った槍を持っています。
魔獣の革で作られた鎧も、魔蟲の外骨格で作られた鎧も、紙のように突き破られてしまい、中の兵士は即死しています。
一撃で千人の皇国兵が死ぬか重傷を負いましたが、皇国軍にも勇者はいます。
代々騎士を輩出するような家の者と、元貧民では基本の戦闘力が違います。
「回復薬を惜しまずに使いなさい」
皇国騎士の激しい突きや打撃に傭兵が吹き飛ばされています。
強固な鎧のお陰で致命傷にはなっていませんが、骨折した傭兵や内臓を損傷した傭兵もいるようで、同じ伍や什の戦友が助けています。
皇国軍に押されている所も多少はありますが、ほとんどの場所では押しています。
槍を敵に身体に深く突き入れすぎた傭兵は、剣で戦っています。
一太刀で敵を斬り捨てる事もあれば、吹き飛ばすだけの時もあります。
「二列目前に出なさい」
一列目の傭兵達が苦戦するようになりましたので、二列目を前に出しました。
五倍の敵を相手にするのは厳しいですね。
しかも兵士個々の戦闘力は、五倍の敵の方が優秀なのです。
こちらが勝っているのは武器と防具だけですから。
私が直接人を殺せれば簡単に勝敗がつくのですが、まだやれそうにありません。
味方がもっと不利になって、死人が出るようになったらやれるのでしょうか。
「三列目前にでなさい、弓隊は後方に矢を射かけなさい。
一列目は次の戦闘に備えて回復薬を飲みなさい」
敵には多くの死傷者がでているようですね。
もう二万人以上の敵が死ぬか戦闘不能になっているようです。
探知魔術では、一万人以上の命が失われています。
まだ味方からは一人の死者も出ていませんが、これからは分かりません。
回復薬を多く配りましたから、どれだけ戦っても純粋な体力は続くでしょう。
問題は殺し合いで消耗した精神力ですね。
「二列目も回復薬を飲みなさい。
回復薬が半分になったら補給しに戻りなさい。
決して無理をしてはいけません、いいですね」
傭兵達の回復薬はどれくらい残っているのでしょうか。
伍や什ごとに百人隊を抜けて補給する訓練はやっています。
相手が魔獣なら十分落ち着いて訓練通りやれていました。
大魔境での経験で少々の事には動じないようになったと思います。
ですが、今回は初めての対人戦です。
人殺しの最中に冷静な行動がとれるかどうか……
三間槍のようなとても長い槍の場合は、槍先で傷つけるのではなく、柄のしなりを利用した変幻自在の動きと打撃力で、敵を叩き伏せます。
ですが私の傭兵団が使っている槍は、それぞれが上手く取り回しのできる長さにしていますから、突く事も叩く事もできます。
そして今回の戦いでは、突き主体で戦ってもらっています。
亜竜の牙で作った槍を使って、敵の鎧を無効化するのです。
それに加えて、私が大規模範囲補助魔術を事前にかけました。
素早さを強化すると逆に戦い難いのは大魔境で経験済みですから、腕力と防御力と快復力を強化しています。
「「「「「ギャアアアアア」」」」」
傭兵団の攻撃する間合いに入ってきた皇国兵が、一突きで殺されました。
最前列で戦う槍兵は、亜竜の牙で作った槍を持っています。
魔獣の革で作られた鎧も、魔蟲の外骨格で作られた鎧も、紙のように突き破られてしまい、中の兵士は即死しています。
一撃で千人の皇国兵が死ぬか重傷を負いましたが、皇国軍にも勇者はいます。
代々騎士を輩出するような家の者と、元貧民では基本の戦闘力が違います。
「回復薬を惜しまずに使いなさい」
皇国騎士の激しい突きや打撃に傭兵が吹き飛ばされています。
強固な鎧のお陰で致命傷にはなっていませんが、骨折した傭兵や内臓を損傷した傭兵もいるようで、同じ伍や什の戦友が助けています。
皇国軍に押されている所も多少はありますが、ほとんどの場所では押しています。
槍を敵に身体に深く突き入れすぎた傭兵は、剣で戦っています。
一太刀で敵を斬り捨てる事もあれば、吹き飛ばすだけの時もあります。
「二列目前に出なさい」
一列目の傭兵達が苦戦するようになりましたので、二列目を前に出しました。
五倍の敵を相手にするのは厳しいですね。
しかも兵士個々の戦闘力は、五倍の敵の方が優秀なのです。
こちらが勝っているのは武器と防具だけですから。
私が直接人を殺せれば簡単に勝敗がつくのですが、まだやれそうにありません。
味方がもっと不利になって、死人が出るようになったらやれるのでしょうか。
「三列目前にでなさい、弓隊は後方に矢を射かけなさい。
一列目は次の戦闘に備えて回復薬を飲みなさい」
敵には多くの死傷者がでているようですね。
もう二万人以上の敵が死ぬか戦闘不能になっているようです。
探知魔術では、一万人以上の命が失われています。
まだ味方からは一人の死者も出ていませんが、これからは分かりません。
回復薬を多く配りましたから、どれだけ戦っても純粋な体力は続くでしょう。
問題は殺し合いで消耗した精神力ですね。
「二列目も回復薬を飲みなさい。
回復薬が半分になったら補給しに戻りなさい。
決して無理をしてはいけません、いいですね」
傭兵達の回復薬はどれくらい残っているのでしょうか。
伍や什ごとに百人隊を抜けて補給する訓練はやっています。
相手が魔獣なら十分落ち着いて訓練通りやれていました。
大魔境での経験で少々の事には動じないようになったと思います。
ですが、今回は初めての対人戦です。
人殺しの最中に冷静な行動がとれるかどうか……
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