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第一章
第13話:軍隊蟻3
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「これを、本当に、全部、一人で、お嬢様が狩ったと言うのか?」
冒険者ギルドのマスターが猜疑心丸出しでクローディアに確認します。
かなり無礼な態度ですが、クローディアは咎めません。
私に忠誠を尽くしてくれるクローディアから見ても、この場合はしかたがないと思って、大きな気持ちで許しているのでしょう。
まあ、それも当然だと私も思います。
奇形種と言うべきか、それとも進化種や巨大種と言うべきかは知りません。
私が創った設定にはなかった事ですから。
通常よりも二回りも三回りも大きな軍隊蟻が、一〇〇〇頭以上も並べられ、それを七歳の幼女が一人で狩ったと言われているのです。
信じられずに聞き返すのは当然の事です。
「目の前にこうして並べているのだから間違いないだろう」
クローディアが眉一つ動かす事なく冷静に言葉を返しています。
思わず吹き出しそうになって、必死でこらえました。
私が襲いかかってくる軍隊蟻を次々と斃しているのに、非常用に装備している魔宝石の輝きが一向に失われない事に、クローディアはとても驚いていました。
他の護衛の手前、必死で動揺を隠していましたが、生まれた時から仕えてくれているクローディアの気持ちは、私には手に取るように分かるのです。
「ブルーデネル公爵家のご令嬢に対して、失礼極まりない確認なのは分かっている。
だが、冒険者ギルドのマスターとしては、確認させてもらうしかない。
ブルーデネル公爵家の軍勢や私兵を使ったわけではないのだな」
「目立つ軍隊や私設傭兵団を魔境に入れたら、他の冒険者が必ず気がつく。
それくらいの事はマスターでもわかるだろう」
クローディアが冷たく言い放ちました。
私の力を疑われて、かなり腹を立てているようです。
その事はギルドマスターも分かっているようです。
「ああ、分かっているとも。
だが、俺が確認したくなる気持ちも分かってくれるだろ。
この報告は担当役人を通じて王家にも伝わるんだぞ。
俺の耳にも、王家と公爵家の事は、色々な噂が入っている。
失礼を承知で確認しておかないと、二カ所から命を狙われかねない。
本当にお嬢様単独で狩ったと報告していいんだな」
ギルドマスターも覚悟を決めたようです。
クローディアだけに視線を向けて、マスターとして冒険者に対する言葉遣いです。
確かに、この報告書を受けた王家が私を恐れて刺客を送れば、下手をすれば我が家との全面戦争になりかねません。
万が一私の暗殺が成功してしまったら、逆恨みした父上が、ギルドマスターに刺客を放つ可能性すらあるのです。
「かまわない、嘘偽る事なく報告書を上げてくれ。
お嬢様がすでに成人王族級の魔力があると知られたら、我が家の評判が高くなる。
妬んだ貴族家から刺客が送られてくるかもしれないが、それでもかまわない。
必ず生きて捕らえて証人にする。
刺客を送った貴族家を滅ぼしてやる」
クローディアの宣戦布告ですね。
今回は、私の安全よりもブルーデネル公爵家の繁栄を優先したようです。
クローディアからすれば、魔力が高い者が王家を継ぐのが当然だという想いがあるのでしょう。
「クローディア、マスターに売りに出す素材と持ち帰る素材を伝えてください」
冒険者ギルドのマスターが猜疑心丸出しでクローディアに確認します。
かなり無礼な態度ですが、クローディアは咎めません。
私に忠誠を尽くしてくれるクローディアから見ても、この場合はしかたがないと思って、大きな気持ちで許しているのでしょう。
まあ、それも当然だと私も思います。
奇形種と言うべきか、それとも進化種や巨大種と言うべきかは知りません。
私が創った設定にはなかった事ですから。
通常よりも二回りも三回りも大きな軍隊蟻が、一〇〇〇頭以上も並べられ、それを七歳の幼女が一人で狩ったと言われているのです。
信じられずに聞き返すのは当然の事です。
「目の前にこうして並べているのだから間違いないだろう」
クローディアが眉一つ動かす事なく冷静に言葉を返しています。
思わず吹き出しそうになって、必死でこらえました。
私が襲いかかってくる軍隊蟻を次々と斃しているのに、非常用に装備している魔宝石の輝きが一向に失われない事に、クローディアはとても驚いていました。
他の護衛の手前、必死で動揺を隠していましたが、生まれた時から仕えてくれているクローディアの気持ちは、私には手に取るように分かるのです。
「ブルーデネル公爵家のご令嬢に対して、失礼極まりない確認なのは分かっている。
だが、冒険者ギルドのマスターとしては、確認させてもらうしかない。
ブルーデネル公爵家の軍勢や私兵を使ったわけではないのだな」
「目立つ軍隊や私設傭兵団を魔境に入れたら、他の冒険者が必ず気がつく。
それくらいの事はマスターでもわかるだろう」
クローディアが冷たく言い放ちました。
私の力を疑われて、かなり腹を立てているようです。
その事はギルドマスターも分かっているようです。
「ああ、分かっているとも。
だが、俺が確認したくなる気持ちも分かってくれるだろ。
この報告は担当役人を通じて王家にも伝わるんだぞ。
俺の耳にも、王家と公爵家の事は、色々な噂が入っている。
失礼を承知で確認しておかないと、二カ所から命を狙われかねない。
本当にお嬢様単独で狩ったと報告していいんだな」
ギルドマスターも覚悟を決めたようです。
クローディアだけに視線を向けて、マスターとして冒険者に対する言葉遣いです。
確かに、この報告書を受けた王家が私を恐れて刺客を送れば、下手をすれば我が家との全面戦争になりかねません。
万が一私の暗殺が成功してしまったら、逆恨みした父上が、ギルドマスターに刺客を放つ可能性すらあるのです。
「かまわない、嘘偽る事なく報告書を上げてくれ。
お嬢様がすでに成人王族級の魔力があると知られたら、我が家の評判が高くなる。
妬んだ貴族家から刺客が送られてくるかもしれないが、それでもかまわない。
必ず生きて捕らえて証人にする。
刺客を送った貴族家を滅ぼしてやる」
クローディアの宣戦布告ですね。
今回は、私の安全よりもブルーデネル公爵家の繁栄を優先したようです。
クローディアからすれば、魔力が高い者が王家を継ぐのが当然だという想いがあるのでしょう。
「クローディア、マスターに売りに出す素材と持ち帰る素材を伝えてください」
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