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第一章
第4話:白魚と鮴と稲毛米
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翌日の昼時、新之丞は聖天長屋に戻ってきた。
何時もの新之丞の行動からは信じられない事だった。
普通なら一度長屋を出たら最短でも半月は戻らない新之丞だ。
長屋の誰もが昨日の御忍び駕籠が原因だと悟った。
新之丞は、二十軒棟割長屋の木戸通路側にある、左一番奥の部屋に住んでいる。
房と仙吉は同じ木戸通路側の左五軒目に住んでいる。
新之丞が何時ものように気配を隠して通路を歩き、何の音も立てずに戸を開ければ、房は新之丞が長屋に戻ってきた事を気づけない。
「房殿、新之丞です。
仙吉に丁度いい論語の写本が手に入ったので持ってきました」
「まあ、新之丞様。
半月は戻られないと思っておりましたのに、仙吉の為にわざわざ戻って来てくださったのですか?」
「いえ、いえ、剣術修行のついでですよ」
「……恐れ入ります。
直ぐに開けさせていただきます」
「新之丞様、家の仙吉の為に本当にありがとうございます」
「気にされる事ではありませんよ。
将来ある子に手を差し伸べるのは大人の務めです」
「……私が愚かだったばかりに、仙吉には辛い思いをさせてしまって……」
「房殿……私は幼い頃に母を亡くして父に育てられました。
父は、事情があって、生まれ落ちた時から母独り子独りで育ったそうです。
ですが、父も私も立派な武士になったと自負しております。
どのような事情があろうと、今を精一杯生きればいいのです。
微力ながら、私も手助けさせていただきます」
「ありがとうございます、ありがとうございます、ありがとうございます……」
「では、これを仙吉に渡してやってください」
「これは新之丞様から仙吉に渡してあげて欲しいのですが、お忙しい新之丞様の手を、これ以上煩わすわけにはまいりませんね。
話は変わりますが、昨日、新之丞様の留守の間に、一昨日新之丞様に助けられたと申される、身分ありげな姫君がここに訪ねて来られました。
新之丞様がお留守でしたので、手紙とこの小判を置いて行かれました。
手紙は伊之助さんが預かっておられます」
「ほう、そのような事があったのですね。
小判は房殿に手紙を預かってもらうお礼でしょうから、そのまま受け取られて、仙吉の為に使われるのが一番でしょう」
新之丞様はそう言って房が差し出す小判をそっと房の方に押し戻した。
その時新之丞は、若後家同然の房の手を触らないように、小判を手に取ったのだが、同じ小判を手に持つ事が恥ずかしかったのだろう。
房の顔が真っ赤になっていた。
「そんな、手紙は私ではなく伊之助さんが預かってくれています」
「どうせ伊之助が危険だからと手紙を取り上げたのでしょう。
それは伊之助が漢気を出してやった事なので、心からの礼を言えばいいのです。
小判を渡すような素振りを見せたら、江戸っ子の伊之助は旋毛を曲げますよ」
「あ、確かに、伊之助さんの漢気を無にするのは失礼ですね、ですが……」
「今回は伊之助の顔を立ててやりましょうよ。
私は手紙をもらいに伊之助之所に行きます」
「……はい……」
「仙吉は遊びに出ているのですか?」
「……はい……長屋の奥で素振りをしていると思います」
「伊之助が預かってくれている手紙を読んだら、ちゃんと素振りができているか見てみますね」
「……ありがとうございます」
「仙吉が戻るまで、しっかりと戸締りしていてください」
「はい、必ず」
房の部屋を出た新之丞は、心張棒がかけられるのを確かめてから、自分の部屋の方ではなく伊之助の部屋の方に向かった。
「伊之助、いるか?」
「はい、新之丞様」
新之丞は伊之助が戸を開けるのを待って部屋に入った。
九尺二間、四畳半の板の間に一畳半の土間しかない狭い棟割長屋だ。
土間に立って新之丞を迎える伊之助以外に二人の男がいた。
二人とも地回り風の服を着ている。
「こちらが報告させていただいた手紙でございます」
「うむ、里というのは松平侍従の隠し子のようだ。
侍従は正式に子供として幕府に届けたいようだが、里が拒んでいるそうだ」
「左様でございましたか。
追剥を装っていた連中は、どのような者たちなのですか?」
「そこまでは分からないそうだ。
下手に調べて松平侍従を処罰しなければならないようになったら、上様がお困りに成られるからな」
「では、もうこの件の手助けはしないと言う事でよろしいのですか?」
「そう言うわけにもいかない。
松平侍従が誰かに弱みを握られて上様の意に逆らうようになっては困る。
また、奸臣に踊らされるような事も避けねばならぬ。
上様や父上が直接手出しできなくても、牢人新之丞と修験者なら手出しできる」
「仰せのままに」
「ここに来るまでの大通りに、おかしな奴が四人ほどいた。
伊之助が確認している人数は何人だ?」
「配下の者共の報告では六人でございます。
ですが、襲撃の時にはもっと多くの者を集めると思われます」
「敵は先の襲撃で同藩の者を十一人も捕らえられた。
里姫の方は言い逃れようのない生き証人を確保した事になる。
密かに殺すか、奪い返すしかないが、殺すと多くの離反者が出る。
強襲して奪い返したくても、一番の使い手達が捕らえられたはずだ。
彼ら以上の使い手を探すとなると、外部に頼む事になる」
「心当たりの者がいなければ、一番に新之丞様が思い浮かぶでしょうな」
「金で里姫の戦力を奪って自分達の戦力にする手だな。
悪党共ならいとどは考えるだろうが、今回はどうだろう。
蛇の道は蛇という。
邪悪な企みをする者には同じような仲間がいると考えておいた方がいい。
味方になるかどうかも分からない者を誘って時間を無駄にするよりは、確実な見方を使って迅速に口封じをする方を選ぶだろう」
「確かに」
「しかも里姫が先に俺と接触している」
「敵は新之丞様が里姫の味方になったと考えて、殺そうとする。
御老中は、そう考えて里姫を新之丞様の元に送られたのですな」
「老中を任されるほどの方だ、権謀術数には長けておらっるのだろう」
「墓穴を掘っているとも知らずにですか?」
「いかに松平侍従が権謀術数に優れた男でも、私の正体までは調べられぬ」
「調べられては新之丞様がお困りになられます」
「ここは上様と父上の為にひと働きするとしよう。
但し、長屋の衆に迷惑をかける訳にはいかぬ。
長屋の衆がいささかの手傷も負わぬように、万全の手配りを頼む」
「……万全と申さられては、大岡越前守様の手をお借りせねばなりません」
「越前殿の手を借りるとなると、事が公になってしまうかもしれぬ。
我らの力だけでは無理なのか?」
「我らだけでも十中八九は大丈夫ですが、万全を期すには今少し手が足りません。
殿に御相談できればもっと手勢を集められるのですが……」
「上様と父上にご報告するのは、もう少し事がはっきりしてからだ。
多少の危険はしかたがない。
私が囮になって大通りの出れば、敵も裏長屋を出てくるだろう」
「本当はお止めすべきなのでしょうが、止めたらお独りでもやられるでしょう。
その方がよほど危険なので、全力で御守りさせていただきます」
そのようなやり取りがあってから、新之丞様は改めて伊之助に問うた。
「それで、例の物は手に入ったのか?」
「新之丞様も好きですね」
「滅多に屋敷を抜け出せないのだ。
抜け出せた時くらい、炊きたてのご飯を食べ、熱々の汁を啜りたいではないか」
「まあ、新之丞様の御身分では、冷めた料理を色々な制限付きでしか食べられませんから、そのお気持ちはよく分かります」
新之丞は用意しておいてもらった食材を伊之助に持たせて、再び房の家を訪ねた。
「房殿、度々すまぬ。
頼みたい事があるのだが、よいだろうか?」
「私ごときに頼みなど、何事でございますか?」
房の慌てる気配が外にまで伝わってくる。
全く待たされることなく戸が開き、上気した顔に房が現れた。
「伊之助が私のために食材を用意してくれていたのだが、残念ながら私は台所仕事ができぬ。
これを料理してくれないだろうか?」
「いえね、お房さん。
別に新之丞様のために用意したわけではないのだよ。
朝懇意の漁師が縁起物の春告げ魚が手に入ったと持って来てくれたんだ。
本当なら朝のうちにお房さんと仙坊に渡したかったんだが、ここ最近色々とあったから、俺独りで訪ねられなくてね。
朝一度米を炊いたのに申し訳ないんだが、新之丞様には炊き立てのご飯と熱々の汁を飲んでほしくてね」
「まあ、そのような事を気にしてくださっていたのですか?
お気を使わせてしまって申し訳ありませんでした。
新之丞様には本当にお世話になっております。
お食事の用意くらいよろこんでさせて頂きます」
「そう言ってもらえると助かるよ。
この鮴は煮付にすると美味しいと漁師が言っていた。
白魚の方はお吸い物と、この卵でとじてあげて欲しい。
この米は稲毛米と言う評判の米だ」
「稲毛米?!」
「ああ、ちょっとした伝手で手に入ったんだが、新之丞様がお房さんと仙坊にも食べさせてやりたいと言われてねぇ」
「伊之助、よけいな事を言うな!
房殿、伊之助の言う事は大袈裟なのだ、気にしないでくれ。
仙吉は育ち盛り、武士の身体を作る大切な時期だ。
食べさせられる時には遠慮せず、しっかり食べさせた方がいい。
まあ、子供の前で自分だけ美味しい物を食べても味がしないだけだ。
何より私では美味しく料理できないからな」
「……ありがとうございます、新之丞様。
遠慮する事なく、仙吉に食べさせてやります」
何時もの新之丞の行動からは信じられない事だった。
普通なら一度長屋を出たら最短でも半月は戻らない新之丞だ。
長屋の誰もが昨日の御忍び駕籠が原因だと悟った。
新之丞は、二十軒棟割長屋の木戸通路側にある、左一番奥の部屋に住んでいる。
房と仙吉は同じ木戸通路側の左五軒目に住んでいる。
新之丞が何時ものように気配を隠して通路を歩き、何の音も立てずに戸を開ければ、房は新之丞が長屋に戻ってきた事を気づけない。
「房殿、新之丞です。
仙吉に丁度いい論語の写本が手に入ったので持ってきました」
「まあ、新之丞様。
半月は戻られないと思っておりましたのに、仙吉の為にわざわざ戻って来てくださったのですか?」
「いえ、いえ、剣術修行のついでですよ」
「……恐れ入ります。
直ぐに開けさせていただきます」
「新之丞様、家の仙吉の為に本当にありがとうございます」
「気にされる事ではありませんよ。
将来ある子に手を差し伸べるのは大人の務めです」
「……私が愚かだったばかりに、仙吉には辛い思いをさせてしまって……」
「房殿……私は幼い頃に母を亡くして父に育てられました。
父は、事情があって、生まれ落ちた時から母独り子独りで育ったそうです。
ですが、父も私も立派な武士になったと自負しております。
どのような事情があろうと、今を精一杯生きればいいのです。
微力ながら、私も手助けさせていただきます」
「ありがとうございます、ありがとうございます、ありがとうございます……」
「では、これを仙吉に渡してやってください」
「これは新之丞様から仙吉に渡してあげて欲しいのですが、お忙しい新之丞様の手を、これ以上煩わすわけにはまいりませんね。
話は変わりますが、昨日、新之丞様の留守の間に、一昨日新之丞様に助けられたと申される、身分ありげな姫君がここに訪ねて来られました。
新之丞様がお留守でしたので、手紙とこの小判を置いて行かれました。
手紙は伊之助さんが預かっておられます」
「ほう、そのような事があったのですね。
小判は房殿に手紙を預かってもらうお礼でしょうから、そのまま受け取られて、仙吉の為に使われるのが一番でしょう」
新之丞様はそう言って房が差し出す小判をそっと房の方に押し戻した。
その時新之丞は、若後家同然の房の手を触らないように、小判を手に取ったのだが、同じ小判を手に持つ事が恥ずかしかったのだろう。
房の顔が真っ赤になっていた。
「そんな、手紙は私ではなく伊之助さんが預かってくれています」
「どうせ伊之助が危険だからと手紙を取り上げたのでしょう。
それは伊之助が漢気を出してやった事なので、心からの礼を言えばいいのです。
小判を渡すような素振りを見せたら、江戸っ子の伊之助は旋毛を曲げますよ」
「あ、確かに、伊之助さんの漢気を無にするのは失礼ですね、ですが……」
「今回は伊之助の顔を立ててやりましょうよ。
私は手紙をもらいに伊之助之所に行きます」
「……はい……」
「仙吉は遊びに出ているのですか?」
「……はい……長屋の奥で素振りをしていると思います」
「伊之助が預かってくれている手紙を読んだら、ちゃんと素振りができているか見てみますね」
「……ありがとうございます」
「仙吉が戻るまで、しっかりと戸締りしていてください」
「はい、必ず」
房の部屋を出た新之丞は、心張棒がかけられるのを確かめてから、自分の部屋の方ではなく伊之助の部屋の方に向かった。
「伊之助、いるか?」
「はい、新之丞様」
新之丞は伊之助が戸を開けるのを待って部屋に入った。
九尺二間、四畳半の板の間に一畳半の土間しかない狭い棟割長屋だ。
土間に立って新之丞を迎える伊之助以外に二人の男がいた。
二人とも地回り風の服を着ている。
「こちらが報告させていただいた手紙でございます」
「うむ、里というのは松平侍従の隠し子のようだ。
侍従は正式に子供として幕府に届けたいようだが、里が拒んでいるそうだ」
「左様でございましたか。
追剥を装っていた連中は、どのような者たちなのですか?」
「そこまでは分からないそうだ。
下手に調べて松平侍従を処罰しなければならないようになったら、上様がお困りに成られるからな」
「では、もうこの件の手助けはしないと言う事でよろしいのですか?」
「そう言うわけにもいかない。
松平侍従が誰かに弱みを握られて上様の意に逆らうようになっては困る。
また、奸臣に踊らされるような事も避けねばならぬ。
上様や父上が直接手出しできなくても、牢人新之丞と修験者なら手出しできる」
「仰せのままに」
「ここに来るまでの大通りに、おかしな奴が四人ほどいた。
伊之助が確認している人数は何人だ?」
「配下の者共の報告では六人でございます。
ですが、襲撃の時にはもっと多くの者を集めると思われます」
「敵は先の襲撃で同藩の者を十一人も捕らえられた。
里姫の方は言い逃れようのない生き証人を確保した事になる。
密かに殺すか、奪い返すしかないが、殺すと多くの離反者が出る。
強襲して奪い返したくても、一番の使い手達が捕らえられたはずだ。
彼ら以上の使い手を探すとなると、外部に頼む事になる」
「心当たりの者がいなければ、一番に新之丞様が思い浮かぶでしょうな」
「金で里姫の戦力を奪って自分達の戦力にする手だな。
悪党共ならいとどは考えるだろうが、今回はどうだろう。
蛇の道は蛇という。
邪悪な企みをする者には同じような仲間がいると考えておいた方がいい。
味方になるかどうかも分からない者を誘って時間を無駄にするよりは、確実な見方を使って迅速に口封じをする方を選ぶだろう」
「確かに」
「しかも里姫が先に俺と接触している」
「敵は新之丞様が里姫の味方になったと考えて、殺そうとする。
御老中は、そう考えて里姫を新之丞様の元に送られたのですな」
「老中を任されるほどの方だ、権謀術数には長けておらっるのだろう」
「墓穴を掘っているとも知らずにですか?」
「いかに松平侍従が権謀術数に優れた男でも、私の正体までは調べられぬ」
「調べられては新之丞様がお困りになられます」
「ここは上様と父上の為にひと働きするとしよう。
但し、長屋の衆に迷惑をかける訳にはいかぬ。
長屋の衆がいささかの手傷も負わぬように、万全の手配りを頼む」
「……万全と申さられては、大岡越前守様の手をお借りせねばなりません」
「越前殿の手を借りるとなると、事が公になってしまうかもしれぬ。
我らの力だけでは無理なのか?」
「我らだけでも十中八九は大丈夫ですが、万全を期すには今少し手が足りません。
殿に御相談できればもっと手勢を集められるのですが……」
「上様と父上にご報告するのは、もう少し事がはっきりしてからだ。
多少の危険はしかたがない。
私が囮になって大通りの出れば、敵も裏長屋を出てくるだろう」
「本当はお止めすべきなのでしょうが、止めたらお独りでもやられるでしょう。
その方がよほど危険なので、全力で御守りさせていただきます」
そのようなやり取りがあってから、新之丞様は改めて伊之助に問うた。
「それで、例の物は手に入ったのか?」
「新之丞様も好きですね」
「滅多に屋敷を抜け出せないのだ。
抜け出せた時くらい、炊きたてのご飯を食べ、熱々の汁を啜りたいではないか」
「まあ、新之丞様の御身分では、冷めた料理を色々な制限付きでしか食べられませんから、そのお気持ちはよく分かります」
新之丞は用意しておいてもらった食材を伊之助に持たせて、再び房の家を訪ねた。
「房殿、度々すまぬ。
頼みたい事があるのだが、よいだろうか?」
「私ごときに頼みなど、何事でございますか?」
房の慌てる気配が外にまで伝わってくる。
全く待たされることなく戸が開き、上気した顔に房が現れた。
「伊之助が私のために食材を用意してくれていたのだが、残念ながら私は台所仕事ができぬ。
これを料理してくれないだろうか?」
「いえね、お房さん。
別に新之丞様のために用意したわけではないのだよ。
朝懇意の漁師が縁起物の春告げ魚が手に入ったと持って来てくれたんだ。
本当なら朝のうちにお房さんと仙坊に渡したかったんだが、ここ最近色々とあったから、俺独りで訪ねられなくてね。
朝一度米を炊いたのに申し訳ないんだが、新之丞様には炊き立てのご飯と熱々の汁を飲んでほしくてね」
「まあ、そのような事を気にしてくださっていたのですか?
お気を使わせてしまって申し訳ありませんでした。
新之丞様には本当にお世話になっております。
お食事の用意くらいよろこんでさせて頂きます」
「そう言ってもらえると助かるよ。
この鮴は煮付にすると美味しいと漁師が言っていた。
白魚の方はお吸い物と、この卵でとじてあげて欲しい。
この米は稲毛米と言う評判の米だ」
「稲毛米?!」
「ああ、ちょっとした伝手で手に入ったんだが、新之丞様がお房さんと仙坊にも食べさせてやりたいと言われてねぇ」
「伊之助、よけいな事を言うな!
房殿、伊之助の言う事は大袈裟なのだ、気にしないでくれ。
仙吉は育ち盛り、武士の身体を作る大切な時期だ。
食べさせられる時には遠慮せず、しっかり食べさせた方がいい。
まあ、子供の前で自分だけ美味しい物を食べても味がしないだけだ。
何より私では美味しく料理できないからな」
「……ありがとうございます、新之丞様。
遠慮する事なく、仙吉に食べさせてやります」
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