8 / 10
7話
しおりを挟む
「どきなさい!
どかないと殺すわよ!」
私は決断しました。
もう一度心の中で王太子の言葉を思いだして、どうしても許せないと思いました。
何より虫が好かないのです。
大嫌いなのです。
側に近寄られただけで虫唾が走るのです。
もう一度夜這いをかけられたら、叩きのめす程度ではすまさず、殺すでしょう。
それくらい大嫌いだと確信がもてたのです。
だから一気に王太子軍を突破する事にしました。
面倒無用で叩きのめすことにしたのです。
不可抗力で誰かを殺しても仕方ないと覚悟しました。
赤虎と蒼虎が先頭に立ってくれました。
その後を白王に乗った私とペリーヌが続きます。
最後尾を黒王が私たちを護って走っています。
いえ、違います。
犯罪者ギルドの刺客を撃退するたびに手に入れた、馬や驢馬が続いています。
私たちの前に立ちふさがらなければ、こちらから殺す気などなかったのです。
ですが、私を捕えて手柄を立てたかったのでしょう。
国王の目付に叱責されたのが悔しかったのでしょう。
さきほど私の事を罵ったバカ取り巻きが、行く手を防ごうとしました。
命知らずのバカとしか言いようがありません。
赤虎が前脚の一振りで首を刎ね飛ばしてくれました。
一面に血の雨が降りました。
私は赤虎の移動でこうなる事を察し、ペリーヌの眼をそって手でふさぎました。
父親を眼の前で殺されたペリーヌに、それを思いだすような惨劇を見せたくなかったのです。
その場が凍り付きました。
みなこのような状況になるとは思っていなかったようです。
自分たちは王太子の側近なので、逆らう人間はいないと思っていたのでしょう。
まして自分たちを傷つける者など、存在しないと思っていたのでしょう。
どんな無理難題を押し付けても、唯々諾々従う者ばかりだったのでしょう。
私はそんなプライドのない人間ではありません。
誇りのためなら命を捨てる覚悟はできているのです。
だから、ここで王太子との縁をすっぱりと断ち切ろうと思いました。
王太子の心を折り、国王にも諦めさせるつもりでした。
白王の手綱を操り、王太子の横に移動しました。
バッチーン
渾身の一撃でした!
一切の手加減をしませんでした。
王太子の顔に平手打ちを喰らわしてやりました。
その威力の強さは、王太子を落馬させるほどの破壊力でした。
「この蛆虫野郎!
今度近付いたら平手ではすまさないよ。
ケツに剣を喰らわしてやるからね。
その覚悟で追ってきな!」
私は意識して汚い言葉で罵りました。
その方が王太子との縁を断ち切れると思ったからです。
ですが……
どかないと殺すわよ!」
私は決断しました。
もう一度心の中で王太子の言葉を思いだして、どうしても許せないと思いました。
何より虫が好かないのです。
大嫌いなのです。
側に近寄られただけで虫唾が走るのです。
もう一度夜這いをかけられたら、叩きのめす程度ではすまさず、殺すでしょう。
それくらい大嫌いだと確信がもてたのです。
だから一気に王太子軍を突破する事にしました。
面倒無用で叩きのめすことにしたのです。
不可抗力で誰かを殺しても仕方ないと覚悟しました。
赤虎と蒼虎が先頭に立ってくれました。
その後を白王に乗った私とペリーヌが続きます。
最後尾を黒王が私たちを護って走っています。
いえ、違います。
犯罪者ギルドの刺客を撃退するたびに手に入れた、馬や驢馬が続いています。
私たちの前に立ちふさがらなければ、こちらから殺す気などなかったのです。
ですが、私を捕えて手柄を立てたかったのでしょう。
国王の目付に叱責されたのが悔しかったのでしょう。
さきほど私の事を罵ったバカ取り巻きが、行く手を防ごうとしました。
命知らずのバカとしか言いようがありません。
赤虎が前脚の一振りで首を刎ね飛ばしてくれました。
一面に血の雨が降りました。
私は赤虎の移動でこうなる事を察し、ペリーヌの眼をそって手でふさぎました。
父親を眼の前で殺されたペリーヌに、それを思いだすような惨劇を見せたくなかったのです。
その場が凍り付きました。
みなこのような状況になるとは思っていなかったようです。
自分たちは王太子の側近なので、逆らう人間はいないと思っていたのでしょう。
まして自分たちを傷つける者など、存在しないと思っていたのでしょう。
どんな無理難題を押し付けても、唯々諾々従う者ばかりだったのでしょう。
私はそんなプライドのない人間ではありません。
誇りのためなら命を捨てる覚悟はできているのです。
だから、ここで王太子との縁をすっぱりと断ち切ろうと思いました。
王太子の心を折り、国王にも諦めさせるつもりでした。
白王の手綱を操り、王太子の横に移動しました。
バッチーン
渾身の一撃でした!
一切の手加減をしませんでした。
王太子の顔に平手打ちを喰らわしてやりました。
その威力の強さは、王太子を落馬させるほどの破壊力でした。
「この蛆虫野郎!
今度近付いたら平手ではすまさないよ。
ケツに剣を喰らわしてやるからね。
その覚悟で追ってきな!」
私は意識して汚い言葉で罵りました。
その方が王太子との縁を断ち切れると思ったからです。
ですが……
0
お気に入りに追加
274
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約破棄されたので、契約不履行により、秘密を明かします
tartan321
恋愛
婚約はある種の口止めだった。
だが、その婚約が破棄されてしまった以上、効力はない。しかも、婚約者は、悪役令嬢のスーザンだったのだ。
「へへへ、全部話しちゃいますか!!!」
悪役令嬢っぷりを発揮します!!!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
王太子から逃げようとしましたが、しつこく追いかけてくるんです。途中で拾った幼女のお世話も大変です。
克全
恋愛
「かくよむ」と「小説家になろう」にも同時投稿しています。
天啓で悪役令嬢に陥れられ王太子アレハンドロに婚約破棄されることを知らされた公爵令嬢マリーアは、大して好きでもない王太子など捨てて逃げることにしたのだが、途中で薄幸の養女を助けることになり、悪役令嬢に籠絡されるはずの王太子が追いかけてきてしまう。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約破棄された悪役令嬢は聖女の力を解放して自由に生きます!
白雪みなと
恋愛
王子に婚約破棄され、没落してしまった元公爵令嬢のリタ・ホーリィ。
その瞬間、自分が乙女ゲームの世界にいて、なおかつ悪役令嬢であることを思い出すリタ。
でも、リタにはゲームにはないはずの聖女の能力を宿しており――?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約破棄された悪役令嬢は辺境で幸せに暮らす~辺境領主となった元悪役令嬢の楽しい日々~
六角
恋愛
公爵令嬢のエリザベスは、婚約者である王太子レオンから突然の婚約破棄を言い渡される。理由は王太子が聖女と恋に落ちたからだという。エリザベスは自分が前世で読んだ乙女ゲームの悪役令嬢だと気づくが、もう遅かった。王太子から追放されたエリザベスは、自分の領地である辺境の地へと向かう。そこで彼女は自分の才能や趣味を生かして領民や家臣たちと共に楽しく暮らし始める。しかし、王太子や聖女が放った陰謀がエリザベスに迫ってきて……。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
お約束の異世界転生。計画通りに婚約破棄されたので去ります──って、なぜ付いてくる!?
リオール
恋愛
ご都合主義設定。細かい事を気にしない方向けのお話です。
5話完結。
念押ししときますが、細かい事は気にしないで下さい。
リリィ=ブランシュはスローライフを満喫したい!~追放された悪役令嬢ですが、なぜか皇太子の胃袋をつかんでしまったようです~
汐埼ゆたか
恋愛
伯爵令嬢に転生したリリィ=ブランシュは第四王子の許嫁だったが、悪女の汚名を着せられて辺境へ追放された。
――というのは表向きの話。
婚約破棄大成功! 追放万歳!!
辺境の地で、前世からの夢だったスローライフに胸躍らせるリリィに、新たな出会いが待っていた。
▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃
リリィ=ブランシュ・ル・ベルナール(19)
第四王子の元許嫁で転生者。
悪女のうわさを流されて、王都から去る
×
アル(24)
街でリリィを助けてくれたなぞの剣士
三食おやつ付きで臨時護衛を引き受ける
▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃
「さすが稀代の悪女様だな」
「手玉に取ってもらおうか」
「お手並み拝見だな」
「あのうわさが本物だとしたら、アルはどうしますか?」
**********
※他サイトからの転載。
※表紙はイラストAC様からお借りした画像を加工しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
まったく心当たりのない理由で婚約破棄されるのはいいのですが、私は『精霊のいとし子』ですよ……?【カイン王子視点】
空月
恋愛
精霊信仰の盛んなクレセント王国。
身に覚えのない罪状をつらつらと挙げ連ねられて、第一王子に婚約破棄された『精霊のいとし子』アリシア・デ・メルシスは、第二王子であるカイン王子に求婚された。
そこに至るまでのカイン王子の話。
『まったく心当たりのない理由で婚約破棄されるのはいいのですが、私は『精霊のいとし子』ですよ……?』(https://www.alphapolis.co.jp/novel/368147631/886540222)のカイン王子視点です。
+ + + + + +
この話の本編と続編(書き下ろし)を収録予定(この別視点は入れるか迷い中)の同人誌(短編集)発行予定です。
購入希望アンケートをとっているので、ご興味ある方は回答してやってください。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScCXESJ67aAygKASKjiLIz3aEvXb0eN9FzwHQuxXavT6uiuwg/viewform?usp=sf_link
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
公爵家の赤髪の美姫は隣国王子に溺愛される
佐倉ミズキ
恋愛
レスカルト公爵家の愛人だった母が亡くなり、ミアは二年前にこの家に引き取られて令嬢として過ごすことに。
異母姉、サラサには毎日のように嫌味を言われ、義母には存在などしないかのように無視され過ごしていた。
誰にも愛されず、独りぼっちだったミアは学校の敷地にある湖で過ごすことが唯一の癒しだった。
ある日、その湖に一人の男性クラウが現れる。
隣にある男子学校から生垣を抜けてきたというクラウは隣国からの留学生だった。
初めは警戒していたミアだが、いつしかクラウと意気投合する。クラウはミアの事情を知っても優しかった。ミアもそんなクラウにほのかに思いを寄せる。
しかし、クラウは国へ帰る事となり…。
「学校を卒業したら、隣国の俺を頼ってきてほしい」
「わかりました」
けれど卒業後、ミアが向かったのは……。
※ベリーズカフェにも掲載中(こちらの加筆修正版)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる