公爵令嬢は夜這いをかけてきた王太子を叩きのめして父親から勘当追放されてしましました。途中で助けた美少女はいわくがあるようです。

克全

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6話

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「ブリジット。
 余は誰よりも寛大な人間だから、そなたの無礼は許してやる。
 婚約者の地位に戻してやる
 だからこれ以上面倒をかけずに戻ってこい」

 馬鹿が何か言っています。
 よほど国王にこっぴどく叱責されたのでしょう。
 嫌々なのは隠していませんが、言葉だけは許すと言っています。
 王家の財政が火の車だというのは事実のようです。
 ですが、持参金目当ての決婚など真っ平ごめんです!

「嫌だね!
 あんたのような出来の悪い人間を夫にする気はないね!
 王太子妃の地位欲しさに尻を差し出す令嬢など、掃いて捨てるほどいるだろう。
 ずっとその手で令嬢を弄んできていたじゃないか。
 これからもそうすればいいのさ。
 あんたは私に振られたんだよ。
 とっとと尻まくって逃げ帰りな!」

 言葉が悪くなりましたが、偽らざる本心です。
 少々無理して、鬼子という陰口に合わせた乱暴な口調にしたのです。
 ペリーヌが普段と違う私を見て驚いています。
 ちょっと恥ずかしいですが、王太子を追い返すためなら仕方ありません。
 現に王太子は眼を白黒させています。
 顔色も一度赤くなったかと思ったら、今は真っ青になっています。

「おのれ、恐れ多くも王太子殿下に対し奉り悪口雑言の数々!
 王太子殿下がお許しになっても私が許さん!
 みなのもの、この慮外者を取り押さえ、王太子殿下の前で裸にひん剥いてやれ」

 なんと下品な奴でしょう。
 馬鹿の王太子の取り巻きにふさわしい、低能低俗な奴です。
 この国と決別する覚悟で、蒼虎と赤虎に殺すように指示してしまいましょうか?

「馬鹿者!
 国王陛下の勅命をなんと心得ているのだ!
 お前のような馬鹿が王太子殿下の側にいるから、殿下が道を踏み外されるのだ!
 殿下、もう二度とこのような馬鹿を側に置かれてはなりませんぞ!
 今度同じ失敗されたら、廃嫡になってしまうのですぞ!」

「分かった、分かった、分かった。
 そう何度も廃嫡、廃嫡と言葉にするな。
 頭が痛くなるわ!」

 なるほどね。
 馬鹿王太子がこんな僻地まで私を追いかけてきたのは、なんとしても持参金と台所領を確保したい、国王の厳命だったのですね。

 しかし国王も腹をくくったものです。
 あれほど溺愛していた王太子に、口先だけでも廃嫡すると言ったのですから。
 それだけ王家の財政が苦しいという事でしょう。
 いえ、苦しいという表現を超えているのかもしれません。

 このままいけば、王家は王権を他国や商人に奪われてしまうかもしれませんね。
 戦って何とかしたくても、将兵を集めたり兵糧を集めたるするための軍資金すら、遊興費で散在してしまっているのでしょう。
 ここは家に戻って、父上にたつよう進言すべきでしょうか?
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