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第二章
第63話:和平交渉
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皇紀2222年・王歴224年・春・皇居・14歳
「ミア殿下、国王軍とカンリフ軍の勝敗が決しました」
「随分と早い決着ですね、どうなったのですか、シャーロット」
「表向きは引き分けですが、現実的には国王軍の負けでございます」
「以前わたくしに味方してくれた貴族や騎士は、それなりに戦える者達ですよね」
「はい、ミア殿下の御料地を間に挟んでいる事もあり、国王の勅命もあり、有利に戦いを運んでおりました」
「それなのに負けたという事ですか、何があったのです」
「カンリフは各戦線から兵力を引き抜き、皇都にいる国王を襲ったのです。
それだけではなく、皇居を囲む動きまで見せました」
「それを恐れた国王と皇帝が、負けを認めたという事ですか」
「はい、代々忠勤に励んできたハリー様を襲って領地を奪おうとした国王は信用を地に落としてしまい、もう皇都地方周辺に匿ってくれるような貴族や騎士いなくなってしまいました」
「当然の事ですわね」
「はい、更に、かつては強勢を誇っていたプランケット地方のエクセター王国侯爵家も、カンリフに目をつけられないように戦々恐々としている有様です。
自ら降伏を言い出す事もできず、僅かしかいない手勢を皇居に向かわせ、皇帝に和平交渉をしてくれるように脅迫まじりの懇願をしました」
「国王まで皇帝を脅迫したというのですか」
「はい」
国王は役立たずの腰抜けだし、皇帝は性根の腐った憶病者です。
国王には、もう少し根性があるかと思いましたが、とんだ期待外れです。
「それで、国王に味方してカンリフと戦った貴族や騎士に罰は与えられるのですか。
彼らが厳しい罰を与えられるようだと、わたくしが戦う事になった時に困ります」
「多少の賠償金や領地の割譲は行われると思われますが、まだ詳細は決まっておりません、ここがミア殿下の腕の見せ所でございます」
「私に間に入れという事ですか、シャーロット」
「国王に勅命を受けて戦った貴族や騎士には何の罪もありません。
むしろ忠義の貴族や騎士として褒美を与えなければいけないくらいです。
ここは彼らに恩を売っておく好機でございます。
それに、割譲される領地によっては、ミア殿下の御料地がカンリフの領地の中に孤立してしまうかもしれません。
武力を使ってでも介入しなければいけない時でございます」
「分かったわ、どれくらいの兵力が集められるの」
「最大の動員をされるのでしたら、よく訓練された専従の将兵が三千、実戦経験がある部民が一万二千、魔狼などの従魔が三百でございます」
「わたくしの表向きの領地が十一万人、実質は六万人ですわよね。
その程度の領地では、出せる兵力は千八百人が限界なのではなくて」
「確かに普通の貴族や騎士の領地ではそうですが、ミア殿下の御料地には魔境が含まれています。
それだけでなく、従魔軍団によって多くの魔獣を狩る事ができています。
行く当てのない、死ぬしかなかった流民を多数養っております。
その気になれば、これくらいの動員は可能でございます」
「そう、よく分かったわ、シャーロット。
ですが、戦いたくない者を無理矢理戦わせたくはないの。
カンリフに開戦を思い止まらせて、国王と皇帝を脅してわたくしの意を通させるのに必要な人数だけでいいわ、手配してくれるかしら」
「承りました、ミア殿下」
「ミア殿下、国王軍とカンリフ軍の勝敗が決しました」
「随分と早い決着ですね、どうなったのですか、シャーロット」
「表向きは引き分けですが、現実的には国王軍の負けでございます」
「以前わたくしに味方してくれた貴族や騎士は、それなりに戦える者達ですよね」
「はい、ミア殿下の御料地を間に挟んでいる事もあり、国王の勅命もあり、有利に戦いを運んでおりました」
「それなのに負けたという事ですか、何があったのです」
「カンリフは各戦線から兵力を引き抜き、皇都にいる国王を襲ったのです。
それだけではなく、皇居を囲む動きまで見せました」
「それを恐れた国王と皇帝が、負けを認めたという事ですか」
「はい、代々忠勤に励んできたハリー様を襲って領地を奪おうとした国王は信用を地に落としてしまい、もう皇都地方周辺に匿ってくれるような貴族や騎士いなくなってしまいました」
「当然の事ですわね」
「はい、更に、かつては強勢を誇っていたプランケット地方のエクセター王国侯爵家も、カンリフに目をつけられないように戦々恐々としている有様です。
自ら降伏を言い出す事もできず、僅かしかいない手勢を皇居に向かわせ、皇帝に和平交渉をしてくれるように脅迫まじりの懇願をしました」
「国王まで皇帝を脅迫したというのですか」
「はい」
国王は役立たずの腰抜けだし、皇帝は性根の腐った憶病者です。
国王には、もう少し根性があるかと思いましたが、とんだ期待外れです。
「それで、国王に味方してカンリフと戦った貴族や騎士に罰は与えられるのですか。
彼らが厳しい罰を与えられるようだと、わたくしが戦う事になった時に困ります」
「多少の賠償金や領地の割譲は行われると思われますが、まだ詳細は決まっておりません、ここがミア殿下の腕の見せ所でございます」
「私に間に入れという事ですか、シャーロット」
「国王に勅命を受けて戦った貴族や騎士には何の罪もありません。
むしろ忠義の貴族や騎士として褒美を与えなければいけないくらいです。
ここは彼らに恩を売っておく好機でございます。
それに、割譲される領地によっては、ミア殿下の御料地がカンリフの領地の中に孤立してしまうかもしれません。
武力を使ってでも介入しなければいけない時でございます」
「分かったわ、どれくらいの兵力が集められるの」
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その気になれば、これくらいの動員は可能でございます」
「そう、よく分かったわ、シャーロット。
ですが、戦いたくない者を無理矢理戦わせたくはないの。
カンリフに開戦を思い止まらせて、国王と皇帝を脅してわたくしの意を通させるのに必要な人数だけでいいわ、手配してくれるかしら」
「承りました、ミア殿下」
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