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第二章
第53話:二度目の凱旋
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皇紀2220年・王歴222年・春・皇居・12歳
「うわぁああああ、戻られたぞ、ミア殿下がお戻りになられたぞ」
「殿下だ、ミア皇女殿下がおられるぞ」
「米だ、麦だ、いったいどれだけの穀物を持ち帰られたのだ」
「行列が長すぎて、どれだけの穀物があるのか数えられないぞ」
「魔熊だ、魔熊や魔鹿もいるぞ、また薬を作ってくださるぞ」
「ベンジャミン皇子殿下とエドワード王子殿下もおられぞ」
「馬鹿野郎、押すんじゃねぇ、これ以上近づいたら護衛の方々に斬られるだろうが」
ハリー様の提案してくださった通り、ハリー様が交換してくださった穀物の俵を運んで首都に凱旋すると、多くの民が集まってきました。
どうやらシャーロットが配下の者を使って、首都の住民を集めてくれたようです。
シャーロットの事ですから、この後で炊き出しを行うとでも言ったのでしょう。
裕福な服装の民の後ろに、新しく首都に流れてきた貧しい者がいるようです。
定期的にヴィンセント子爵家が流民を集めてくれていますが、国中が戦で荒廃しているので、食べ物がある安全な場所を求めて首都にやってくるのです。
ハリー様の領地に行けばいいのですが、ハリー様の領地に行くと分かれば、敵対している周囲の貴族や騎士に殺されてしまうかもしれないのです。
ですが、首都に行くと言えば、流石に直ぐに殺される事は少ないそうです。
絶対にないとは言えませんが、万が一皇国の貴族や騎士の部民であった場合、無暗に殺すと面倒ごとが起こる可能性があるのです。
以前ならば鼻であしらわれるような存在であった皇家や皇国の貴族や騎士ですが、わたくしがドラゴンスレイヤーの栄誉を受けた事と、和平交渉でカンリフに勝利した事で、多少の配慮がされるようになったのです。
特に大小の飛び地を十もの地方で得てからは、その地方で戦乱に苦しむ人々が、わたくしの庇護を求めて逃げて来るようになったのです。
飛び地を治めている代官は、ハリー様の家臣ですから、当然匿ってくれますし、望めばハリー様の領地に送ってくれます。
ですが、腹立たしい事に、ハリー様の名声は田舎ではそれほど高くなく、それよりはわたくしの部民になりたいという者が遥かに多いのです。
哀しい事ですが、民は領主である貴族や騎士の奴隷同然なのです。
わたくしの飛び地に逃げて来て一時的に助かっても、元の領主に捕まればよくて領地に連れ戻され重労働刑にされ、悪くすれば見せしめのために殺されるのです。
ですが、わたくしが流民として保護するのではなく、勝手に領地に入ってきた罪で半奴隷である部民とすれば、もう元の領主が手出しできなくなるのです。
昔なら、わたくしが何を言っても無駄でしたが、今なら部民を護れるのです。
わたくしを褒め称えてくれている裕福な民の後ろにいる流民の中にも、首都に来るまではわたくしの部民を名乗っていた者がいるのかもしれません。
或いはそんな手段を使う事もできずに、困難な旅を続けて首都に辿り着いた流民なのかもしれません。
彼らを無差別に迎え入れたら、カンリフのような連中の手先が紛れ込むでしょう。
ですが、それを恐れていては、流民を助ける事などできないのです。
わたくしがハリー様に救われたように、今度はわたくしが流民を救わなければいけないのです。
そうしなければ、ハリー様の正室に成る事などできないのです。
シャーロットがそう教えてくれました。
「シャーロット、困っている民を全て離宮で雇います。
わたくしの庇護が必要な者は、部民として迎えます。
直ぐに手配してください」
「うわぁああああ、戻られたぞ、ミア殿下がお戻りになられたぞ」
「殿下だ、ミア皇女殿下がおられるぞ」
「米だ、麦だ、いったいどれだけの穀物を持ち帰られたのだ」
「行列が長すぎて、どれだけの穀物があるのか数えられないぞ」
「魔熊だ、魔熊や魔鹿もいるぞ、また薬を作ってくださるぞ」
「ベンジャミン皇子殿下とエドワード王子殿下もおられぞ」
「馬鹿野郎、押すんじゃねぇ、これ以上近づいたら護衛の方々に斬られるだろうが」
ハリー様の提案してくださった通り、ハリー様が交換してくださった穀物の俵を運んで首都に凱旋すると、多くの民が集まってきました。
どうやらシャーロットが配下の者を使って、首都の住民を集めてくれたようです。
シャーロットの事ですから、この後で炊き出しを行うとでも言ったのでしょう。
裕福な服装の民の後ろに、新しく首都に流れてきた貧しい者がいるようです。
定期的にヴィンセント子爵家が流民を集めてくれていますが、国中が戦で荒廃しているので、食べ物がある安全な場所を求めて首都にやってくるのです。
ハリー様の領地に行けばいいのですが、ハリー様の領地に行くと分かれば、敵対している周囲の貴族や騎士に殺されてしまうかもしれないのです。
ですが、首都に行くと言えば、流石に直ぐに殺される事は少ないそうです。
絶対にないとは言えませんが、万が一皇国の貴族や騎士の部民であった場合、無暗に殺すと面倒ごとが起こる可能性があるのです。
以前ならば鼻であしらわれるような存在であった皇家や皇国の貴族や騎士ですが、わたくしがドラゴンスレイヤーの栄誉を受けた事と、和平交渉でカンリフに勝利した事で、多少の配慮がされるようになったのです。
特に大小の飛び地を十もの地方で得てからは、その地方で戦乱に苦しむ人々が、わたくしの庇護を求めて逃げて来るようになったのです。
飛び地を治めている代官は、ハリー様の家臣ですから、当然匿ってくれますし、望めばハリー様の領地に送ってくれます。
ですが、腹立たしい事に、ハリー様の名声は田舎ではそれほど高くなく、それよりはわたくしの部民になりたいという者が遥かに多いのです。
哀しい事ですが、民は領主である貴族や騎士の奴隷同然なのです。
わたくしの飛び地に逃げて来て一時的に助かっても、元の領主に捕まればよくて領地に連れ戻され重労働刑にされ、悪くすれば見せしめのために殺されるのです。
ですが、わたくしが流民として保護するのではなく、勝手に領地に入ってきた罪で半奴隷である部民とすれば、もう元の領主が手出しできなくなるのです。
昔なら、わたくしが何を言っても無駄でしたが、今なら部民を護れるのです。
わたくしを褒め称えてくれている裕福な民の後ろにいる流民の中にも、首都に来るまではわたくしの部民を名乗っていた者がいるのかもしれません。
或いはそんな手段を使う事もできずに、困難な旅を続けて首都に辿り着いた流民なのかもしれません。
彼らを無差別に迎え入れたら、カンリフのような連中の手先が紛れ込むでしょう。
ですが、それを恐れていては、流民を助ける事などできないのです。
わたくしがハリー様に救われたように、今度はわたくしが流民を救わなければいけないのです。
そうしなければ、ハリー様の正室に成る事などできないのです。
シャーロットがそう教えてくれました。
「シャーロット、困っている民を全て離宮で雇います。
わたくしの庇護が必要な者は、部民として迎えます。
直ぐに手配してください」
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