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神隠し

撮影会

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 俺の命令を受けて、最初の獣人娘が前に出た。その子は犬人族の中でも混血で、権力者が愛玩用に創り出した犬人族が逃げ出し、保護した戦闘種の犬人族とに間に出来た子供の子孫だ。残念なことだが、戦闘種として生きて行くには弱く、愛玩種として生きて行くには魅力に乏しかった。それでも戦闘で生きて行こうと冒険者になったが、結局冒険では食べて行けずに傭兵になった。しかし参加した戦争で負け組となり、捕虜奴隷として売り払われたのだそうだ。

 全体的に痩せ衰えているものの、アーデルハイトたちが購入した後は、奴隷商人の下にいる時とは比べ物にならない量の食事が与えれれていた。そして今は、目の前にある魔道具と俺の映像を見て、生きる希望を取り戻したようだ。

 犬人は俺の命令通り服を脱ぎだしたが、色気も情緒も全くない。冒険者・傭兵と生きて来たのだから、当然男と一緒に命懸けの戦場にいたのだ、裸になる事くらい平気で当然だ。だがそれでは魅力に欠けてしまい、動画再生回数を稼ぐには不利だ。

「よし、今日はそれでいい、だが明日からは踊りながら脱ぐ練習をしてもらう」

「はい、分かりました」

「後ろで休んでいてくれ」

「はい」

「次」

「はい」

 次の娘は狸人族で、本来は丸顔に丸々とした身体で中々愛らしい種族だそうだ。この子は小さな集落で家族と平和に暮らしていたそうだが、奴隷狩りの人族に襲われたそうだ。狸人族は人間と比べれば身体戦闘能力が高い上に、変身魔法が使えるので密偵や内部工作が得意だ。

 集落を襲った人間たちもその事は重々承知しており、獣人族が1番力を発揮できない新月に襲撃したそうだ。それでも狸人族はできる限りの抵抗をしたそうだが、事前に十二分の準備をし、十重二十重の包囲網を敷いた人間には敵わなかった。

 襲撃当時この子はまだ幼く、両親を無理矢理密偵にして、命懸けで敵地に送り込むための人質にされた。幼くして両親と引き離され変身魔法を学ぶ事ができなかった上に、13歳になる頃に両親が相次いで敵地で正体が暴かれ、無残にも処刑されてしまった。

 人質なので逃げ出せないように変身魔法も戦闘術も教えてもらえず、役に立つ両親が死んでしまったので、役立たずの無駄飯食いになってしまった。主家にとっては、新たに変化魔法や戦闘を教えても逃げ出す可能性が高く、獣人をメイドにするような下級階級では無いので、情け容赦なく奴隷館に売り払われたのだ。

「よし、もういいぞ」

 やはり全員に盆踊りやフォークダンスの動画を見せた方がいい、そうすれば少しは魅力的な動画が撮れるかも知れない。姉ちゃんが言ってくれているように、今回手にいれた金貨を日本に送り換金してもらい、手に入れた現金を使って大量輸送が可能なドローンを購入してもらおう。10kgの輸送できるドロンが手に入ったら、もっと大型の蓄電池を輸送することができる。
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