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神隠し
状況確認
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「取り押さえよ!」
「待て、お待ち下さい姉上、手荒にして魔道具を壊しては取り返しがつきません」
「だがバルバラ、攻撃を受けるかもしれんのだぞ」
「大丈夫です姉上、恐らく遠話の魔法を使ったか、遠話の魔道具を使ったのです。この者が遠話の魔法を使えるにしても、遠話の魔道具を持っているにしても、それはとても貴重な物なのです。それに遠話は直接の脅威はありません、大丈夫です」
「うむ、ならばそのままでよい」
「ちょっと一朗君どうしたの?! えらく騒がしいけど廃墟に行ったんじゃないの?」
「姉ちゃん助けて! 訳の分からない奴らに攫われてしまったんだ」
「え? どういうこと、詳しく説明しなさい!」
騎士の指示で取り押さえられそうになったけど、バルバラとやらの指図があって左右の兵士は動きを止めていた。
「待て、勝手に遠話をする事は許さん、どんな会話をしているか我らに説明をしろ」
バルバラと言う奴が厳しく行動に制限をかけてきた、出し抜こうとして問答無用で殺されるのは嫌だし、ここは言う事を聞いた方がいいだろう。
「スピーカー開始」
「本当に大丈夫?! なんかとんでもない会話のようだけど、私をビックリさせるための演技なら許さないわよ。ああ、ゴメン、一朗君に演技なんか無理だね」
そうだね姉さん、そもそも人間不信の俺に友達なんかいないし、演技できる器用さなんか無い。姉さんに、霧にまかれて蹴り倒された辺りからの事情を話したけど、スピーカーを使った会話に騎士もビアンカもずいぶん驚いていた。赤毛だから外人のはずだけど、流暢な日本語を話しているし、スマホを知らないなんて、よほど戒律の厳しい宗教集団なのだろうか?
「一朗、そっちの親玉と話をさせなさい」
俺の拙い説明を、相槌を打ちながら聞いてくれていた姉ちゃんが、本気の声色で命令してきた!
こういう時の姉ちゃんに逆らうのは危険だ!
「姉ちゃんが貴方に話したいそうだ」
姉ちゃんの声を聞いて安心出来たのか、恐ろしい大女の方を見ながら話すことが出来た。流石に眼を見ることは出来なかったが、それでも意味は通じた。
「むふ、なにが話したいのだ?」
「あんたが親玉かい? 私の弟分に手を出した事を後悔させてやるよ」
「ほう、ローゼンミュラー家の後継者に後悔させると宣言するとは大きく出たな」
「ローゼンミュラー家? それがどうしたんだい、あんたの母国じゃどうかしらないが、ここは日本なんだよ。私も伊達に司法試験に合格した訳じゃない、こんな時に検察に口が利けるように受けたんだ、今からでも警察を動かすぞ」
「何を言っているんだ、ここは聖教皇陛下から騎士に叙勲されたローゼンミュラー家の領地だ。勝手に領地に入った以上、どこのどなた様であろうと処罰する権利は我が家にあるんだぞ!」
「声だけじゃ情報量が少なすぎる、一朗君はノートパソコンをいつも持ち歩いていたね?」
「はい、リュックに入れてあります」
「じゃあそいつの面を見てやるから、用意しな」
「待て、お待ち下さい姉上、手荒にして魔道具を壊しては取り返しがつきません」
「だがバルバラ、攻撃を受けるかもしれんのだぞ」
「大丈夫です姉上、恐らく遠話の魔法を使ったか、遠話の魔道具を使ったのです。この者が遠話の魔法を使えるにしても、遠話の魔道具を持っているにしても、それはとても貴重な物なのです。それに遠話は直接の脅威はありません、大丈夫です」
「うむ、ならばそのままでよい」
「ちょっと一朗君どうしたの?! えらく騒がしいけど廃墟に行ったんじゃないの?」
「姉ちゃん助けて! 訳の分からない奴らに攫われてしまったんだ」
「え? どういうこと、詳しく説明しなさい!」
騎士の指示で取り押さえられそうになったけど、バルバラとやらの指図があって左右の兵士は動きを止めていた。
「待て、勝手に遠話をする事は許さん、どんな会話をしているか我らに説明をしろ」
バルバラと言う奴が厳しく行動に制限をかけてきた、出し抜こうとして問答無用で殺されるのは嫌だし、ここは言う事を聞いた方がいいだろう。
「スピーカー開始」
「本当に大丈夫?! なんかとんでもない会話のようだけど、私をビックリさせるための演技なら許さないわよ。ああ、ゴメン、一朗君に演技なんか無理だね」
そうだね姉さん、そもそも人間不信の俺に友達なんかいないし、演技できる器用さなんか無い。姉さんに、霧にまかれて蹴り倒された辺りからの事情を話したけど、スピーカーを使った会話に騎士もビアンカもずいぶん驚いていた。赤毛だから外人のはずだけど、流暢な日本語を話しているし、スマホを知らないなんて、よほど戒律の厳しい宗教集団なのだろうか?
「一朗、そっちの親玉と話をさせなさい」
俺の拙い説明を、相槌を打ちながら聞いてくれていた姉ちゃんが、本気の声色で命令してきた!
こういう時の姉ちゃんに逆らうのは危険だ!
「姉ちゃんが貴方に話したいそうだ」
姉ちゃんの声を聞いて安心出来たのか、恐ろしい大女の方を見ながら話すことが出来た。流石に眼を見ることは出来なかったが、それでも意味は通じた。
「むふ、なにが話したいのだ?」
「あんたが親玉かい? 私の弟分に手を出した事を後悔させてやるよ」
「ほう、ローゼンミュラー家の後継者に後悔させると宣言するとは大きく出たな」
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「何を言っているんだ、ここは聖教皇陛下から騎士に叙勲されたローゼンミュラー家の領地だ。勝手に領地に入った以上、どこのどなた様であろうと処罰する権利は我が家にあるんだぞ!」
「声だけじゃ情報量が少なすぎる、一朗君はノートパソコンをいつも持ち歩いていたね?」
「はい、リュックに入れてあります」
「じゃあそいつの面を見てやるから、用意しな」
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