土魔法で富国強兵?

克全

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発展の章

同時侵攻2

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「噴火させたよ」
「そうか。
 全滅したのかな」
「はい。
 キッチリ全滅させました」

 桃がグリーンピーチ島を噴火させたことを教えてくれた。
 漁船団が全滅したのかが気になって、思わず質問してしまったら、緑が答えてくれた。
 桃と緑から見れば、大陸大国の漁船団は、自分達が創り出した島に、勝手に入り込む泥棒と変わりない。
 皆殺しにする事に何の罪悪感もないのだろう。

 問題はこの後の大陸大国の出方だ。
 自衛隊の首脳部や、軍事専門家の予想では、アメリカとの戦争も覚悟で、尖閣島に侵攻するという事だった。
 だが、本当にそこまでやるだろうか。
 アメリカとの開戦は、第三次世界大戦につながる可能性がある。
 それを、圧倒的な不利な状況で始めるだろうか。

 自暴自棄となり、形振り構わないのなら、方法がない訳ではない。
 核兵器を使っての抱き合い心中と言うか、グリーンピーチ島と尖閣島の領有を認めなければ、核戦争の火ぶたを切ると脅す事だ。
 自分も滅んでしまうから、何の得もないのだが、この脅しに日本やアメリカが引くと考えて、断行してくる可能性が絶対ないとは言い切れない。

 現実問題として、実際に大陸大国が動かないと分からないので、じりじりとした時間を過ごすことになったが、そんなに待たされることはなかった
 大漁船団を壊滅させて直ぐに、自衛隊とわが社の気象部門から、大陸大国艦隊の領海侵犯が報告されたのだ。
 こんな時の為に設立した気象部門と、金に飽かせて打ち上げた人工衛星が、とても役に立ってくれている。
 攻撃衛星は一基もないが、地球の状況を観測する力は、アメリカに匹敵すると思っている。

「パパ。
 沈めていいの」
「パパ。
 沈めるべきだと思います」
「もう少し様子を見てくれ。
 思いとどまってくれるかもしれない」
「えぇぇぇぇ」
「パパがそう言うのなら、もう少しだけ我慢します」

 出来る事なら、第三次世界大戦は回避したい。
 だから、海上自衛隊とアメリカ海軍には、尖閣島周辺から退避してくれるように依頼した。
 絶対とは言えないけれど、たぶん、依頼は叶えられると思う。
 彼らだって、噴火に巻き込まれて死にたくはないのだ。
 表向きはともかく、本音では、噴火が俺の仕業だと疑っているのだ。

 だから俺の願いは、限りなく命令に近い。
 本来なら、国土を護るために命を賭けるのだが、他の誰かが確実に国土を護ってくれると分かっているのに、先走って犬死したい馬鹿はいない。
 安全圏にいて、犬死を命じるような屑がいるかもしれないが、そんな人間を俺が許さない事は、馬鹿でない限り理解出来るだろう。

 結論から言えば、大陸大国は狂気に囚われているとしか言えない。
 海上自衛隊とアメリカ海軍の後退が、噴火の前兆だと言うのは、馬鹿でも分かるはずなのだが、ひたすら侵攻して尖閣島に近づき、全艦噴火で撃沈された。
 残された艦載機が尖閣島を攻撃しようとしたが、全機が日本とアメリカの迎撃機に撃墜された。

 これで第三次世界大戦が現実の恐怖となった。
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