土魔法で富国強兵?

克全

文字の大きさ
上 下
80 / 90
発展の章

同時侵攻2

しおりを挟む
「噴火させたよ」
「そうか。
 全滅したのかな」
「はい。
 キッチリ全滅させました」

 桃がグリーンピーチ島を噴火させたことを教えてくれた。
 漁船団が全滅したのかが気になって、思わず質問してしまったら、緑が答えてくれた。
 桃と緑から見れば、大陸大国の漁船団は、自分達が創り出した島に、勝手に入り込む泥棒と変わりない。
 皆殺しにする事に何の罪悪感もないのだろう。

 問題はこの後の大陸大国の出方だ。
 自衛隊の首脳部や、軍事専門家の予想では、アメリカとの戦争も覚悟で、尖閣島に侵攻するという事だった。
 だが、本当にそこまでやるだろうか。
 アメリカとの開戦は、第三次世界大戦につながる可能性がある。
 それを、圧倒的な不利な状況で始めるだろうか。

 自暴自棄となり、形振り構わないのなら、方法がない訳ではない。
 核兵器を使っての抱き合い心中と言うか、グリーンピーチ島と尖閣島の領有を認めなければ、核戦争の火ぶたを切ると脅す事だ。
 自分も滅んでしまうから、何の得もないのだが、この脅しに日本やアメリカが引くと考えて、断行してくる可能性が絶対ないとは言い切れない。

 現実問題として、実際に大陸大国が動かないと分からないので、じりじりとした時間を過ごすことになったが、そんなに待たされることはなかった
 大漁船団を壊滅させて直ぐに、自衛隊とわが社の気象部門から、大陸大国艦隊の領海侵犯が報告されたのだ。
 こんな時の為に設立した気象部門と、金に飽かせて打ち上げた人工衛星が、とても役に立ってくれている。
 攻撃衛星は一基もないが、地球の状況を観測する力は、アメリカに匹敵すると思っている。

「パパ。
 沈めていいの」
「パパ。
 沈めるべきだと思います」
「もう少し様子を見てくれ。
 思いとどまってくれるかもしれない」
「えぇぇぇぇ」
「パパがそう言うのなら、もう少しだけ我慢します」

 出来る事なら、第三次世界大戦は回避したい。
 だから、海上自衛隊とアメリカ海軍には、尖閣島周辺から退避してくれるように依頼した。
 絶対とは言えないけれど、たぶん、依頼は叶えられると思う。
 彼らだって、噴火に巻き込まれて死にたくはないのだ。
 表向きはともかく、本音では、噴火が俺の仕業だと疑っているのだ。

 だから俺の願いは、限りなく命令に近い。
 本来なら、国土を護るために命を賭けるのだが、他の誰かが確実に国土を護ってくれると分かっているのに、先走って犬死したい馬鹿はいない。
 安全圏にいて、犬死を命じるような屑がいるかもしれないが、そんな人間を俺が許さない事は、馬鹿でない限り理解出来るだろう。

 結論から言えば、大陸大国は狂気に囚われているとしか言えない。
 海上自衛隊とアメリカ海軍の後退が、噴火の前兆だと言うのは、馬鹿でも分かるはずなのだが、ひたすら侵攻して尖閣島に近づき、全艦噴火で撃沈された。
 残された艦載機が尖閣島を攻撃しようとしたが、全機が日本とアメリカの迎撃機に撃墜された。

 これで第三次世界大戦が現実の恐怖となった。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

【完結】徒花の王妃

つくも茄子
ファンタジー
その日、王妃は王都を去った。 何故か勝手についてきた宰相と共に。今は亡き、王国の最後の王女。そして今また滅びゆく国の最後の王妃となった彼女の胸の内は誰にも分からない。亡命した先で名前と身分を変えたテレジア王女。テレサとなった彼女を知る数少ない宰相。国のために生きた王妃の物語が今始まる。 「婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?」の王妃の物語。単体で読めます。

最後に言い残した事は

白羽鳥(扇つくも)
ファンタジー
 どうして、こんな事になったんだろう……  断頭台の上で、元王妃リテラシーは呆然と己を罵倒する民衆を見下ろしていた。世界中から尊敬を集めていた宰相である父の暗殺。全てが狂い出したのはそこから……いや、もっと前だったかもしれない。  本日、リテラシーは公開処刑される。家族ぐるみで悪魔崇拝を行っていたという謂れなき罪のために王妃の位を剥奪され、邪悪な魔女として。 「最後に、言い残した事はあるか?」  かつての夫だった若き国王の言葉に、リテラシーは父から教えられていた『呪文』を発する。 ※ファンタジーです。ややグロ表現注意。 ※「小説家になろう」にも掲載。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

従妹を甘やかす婚約者に意趣返しするお話

下菊みこと
恋愛
従兄と結託してやり返すお話。 元サヤではありません。 御都合主義のハッピーエンドです。 小説家になろう様でも投稿しています。

婚約破棄は誰が為の

瀬織董李
ファンタジー
学園の卒業パーティーで起こった婚約破棄。 宣言した王太子は気付いていなかった。 この婚約破棄を誰よりも望んでいたのが、目の前の令嬢であることを…… 10話程度の予定。1話約千文字です 10/9日HOTランキング5位 10/10HOTランキング1位になりました! ありがとうございます!!

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

婚約破棄からの断罪カウンター

F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。 理論ではなく力押しのカウンター攻撃 効果は抜群か…? (すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)

処理中です...