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進撃の章
苦悩の大陸大国(第三者視点)
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大陸大国の最高指導者は苦慮していた。
全世界を敵に回すことになった。
援助という建前の貸し付けで、多くの発展途上国や中進国の政府を味方に付けてはいたが、民意までは操れていないからだ。
それに拒否権を行使する事は出来るが、国連安全保障理事会で槍玉にあげられるのは当然だ。
それでも、日本人を殺さず捕虜にして、実効支配出来ていれば、利益の方が多かっただろう。
いや、日本人を皆殺しにして、更なる国際非難を浴びようとも、島を実効支配して、莫大な埋蔵資源を確保出来れば、十分利益の方が多かっただろう。
だが、実際には上陸部隊が全滅してしまい、実効支配が出来ていない。
全世界の人は、ライブ映像が途切れたから、大陸大国が日本人を殺すか捕虜にして、島を実効支配したと思っているだろうが、全く出来ていないのだ。
諦めて撤退など出来なかいが、次の手が難しかった。
最高指導者は現地艦隊司令長官と話し合ったが、どれほど強く言っても、艦艇による強襲上陸は不可能だという回答だった。
確かに人工衛星からの映像でも、島周辺は激しい火山活動を起こしていて、艦体を近づけるのは危険だった。
本当に忌々しい日本人だと、最高指導者は苛立ちを募らせていた。
そこで次善の策として、無事な輸送ヘリコプターを活用して、更なる上陸部隊を空輸するように命じたが、それも艦隊司令長官は否定的だった。
専門の揚陸兵士が全滅しており、どうしても強襲揚陸を行うとしたら、一段も二段も質の落ちる、各艦隊の陸戦兵を投入する事になるからだった。
それでも、大陸大国の最高指導者は強行させた。
もう後戻りなど出来ないからだ。
自国の国際評価を地に落としてまで実行した領海領地紛争だ。
実効支配しなければ、国内での指導力が地に落ちてしまう。
完全な独裁体制を敷いた心算ではあったが、どこに反体制派が潜んでいるか分からない。
無理矢理二度目のヘリコプターによる強襲降下を実施させた。
不思議と火山ガスの噴出は止まっていた。
明らかな誘いで、罠以外の何物でもないのだが、焦った最高指導者には判断出来なかった。
当然二度目の強襲降下兵達も、火山ガスの噴出で蒸し殺しにされた。
意地になった最高指導者は、艦隊によるミサイル攻撃を実施するように命じた。
艦隊司令長官は何度も反対したが、艦隊司令長官の解任まで臭わされ、ついに命令に従うことになった。
最初にフリゲートからミサイルによる攻撃が行われ、次いで艦載機から対地ロケットが次々と発射された。
島の平野部は瓦礫の山となり、大陸大国兵士の遺体は跡形も残らなかった。
だがその映像は、各国の人工衛星に撮影され、少し遅れて発信され、大陸大国に対する国際世論を更に強硬にさせる原因となった。
特に佐藤一朗が打ち上げさせた気象衛星からの映像は、とても鮮明であったため、何度も何度も全世界のニュース映像に使われることになった。
全世界を敵に回すことになった。
援助という建前の貸し付けで、多くの発展途上国や中進国の政府を味方に付けてはいたが、民意までは操れていないからだ。
それに拒否権を行使する事は出来るが、国連安全保障理事会で槍玉にあげられるのは当然だ。
それでも、日本人を殺さず捕虜にして、実効支配出来ていれば、利益の方が多かっただろう。
いや、日本人を皆殺しにして、更なる国際非難を浴びようとも、島を実効支配して、莫大な埋蔵資源を確保出来れば、十分利益の方が多かっただろう。
だが、実際には上陸部隊が全滅してしまい、実効支配が出来ていない。
全世界の人は、ライブ映像が途切れたから、大陸大国が日本人を殺すか捕虜にして、島を実効支配したと思っているだろうが、全く出来ていないのだ。
諦めて撤退など出来なかいが、次の手が難しかった。
最高指導者は現地艦隊司令長官と話し合ったが、どれほど強く言っても、艦艇による強襲上陸は不可能だという回答だった。
確かに人工衛星からの映像でも、島周辺は激しい火山活動を起こしていて、艦体を近づけるのは危険だった。
本当に忌々しい日本人だと、最高指導者は苛立ちを募らせていた。
そこで次善の策として、無事な輸送ヘリコプターを活用して、更なる上陸部隊を空輸するように命じたが、それも艦隊司令長官は否定的だった。
専門の揚陸兵士が全滅しており、どうしても強襲揚陸を行うとしたら、一段も二段も質の落ちる、各艦隊の陸戦兵を投入する事になるからだった。
それでも、大陸大国の最高指導者は強行させた。
もう後戻りなど出来ないからだ。
自国の国際評価を地に落としてまで実行した領海領地紛争だ。
実効支配しなければ、国内での指導力が地に落ちてしまう。
完全な独裁体制を敷いた心算ではあったが、どこに反体制派が潜んでいるか分からない。
無理矢理二度目のヘリコプターによる強襲降下を実施させた。
不思議と火山ガスの噴出は止まっていた。
明らかな誘いで、罠以外の何物でもないのだが、焦った最高指導者には判断出来なかった。
当然二度目の強襲降下兵達も、火山ガスの噴出で蒸し殺しにされた。
意地になった最高指導者は、艦隊によるミサイル攻撃を実施するように命じた。
艦隊司令長官は何度も反対したが、艦隊司令長官の解任まで臭わされ、ついに命令に従うことになった。
最初にフリゲートからミサイルによる攻撃が行われ、次いで艦載機から対地ロケットが次々と発射された。
島の平野部は瓦礫の山となり、大陸大国兵士の遺体は跡形も残らなかった。
だがその映像は、各国の人工衛星に撮影され、少し遅れて発信され、大陸大国に対する国際世論を更に強硬にさせる原因となった。
特に佐藤一朗が打ち上げさせた気象衛星からの映像は、とても鮮明であったため、何度も何度も全世界のニュース映像に使われることになった。
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