土魔法で富国強兵?

克全

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進撃の章

大陸大国海軍

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 大陸大国海軍の陣容は、衛星情報で早くから分かっていた。
 六万トン級原子力空母が二艦、二万五〇〇〇トン級輸送揚陸艦四艦、三四五〇トン級フリゲート艦十六艦だ。
 これに海に潜む原子力潜水艦が何艦随行しているかは分からない。
 はっきり言って、護衛に付いて来てくれた、海上自衛隊の一個護衛群の倍以上の戦力だ。
 正直言って、勝てる戦力差ではない。

 陸上から発射出来る、最新式の一二式地対艦誘導弾(改)はもちろん、旧式の一二式地対艦誘導弾を搭載した車両も配備されていない。
 いや、本来ならその前に配備されるべき、〇三式中距離地対空誘導弾(改)はもちろん、〇三式中距離地対空誘導弾も配備されてない。
 こんな事では、大陸大国海軍の艦載機すら迎撃出来ない。

 だが実際の問題として、それほど困っている訳でも恐怖している訳でもない。
 いや、困惑も恐怖もあるのだが、それは自分や桃や緑はもちろん、残ってくれた社員達が殺されたり負傷したりするというモノではなく、桃と緑にまた殺人をさせてしまうという困惑と恐怖だ。
 本当に諦めてくれればいいのに。

 だがそんな俺の願いが届く訳もなく。
 大陸大国海軍は着々と島に近づいて来る。
 だから家族や社員を殺されないように、地下大洞窟に避難した。
 桃と緑が創り出してくれていた、鉄壁の地下大ダンジョンだ。

「パパ。
 大きいでしょう」
「ああ、とても大きくて広いね
 桃」
「パパ。
 きれいでしょう」
「ああ、とても綺麗で丈夫だね。
 緑」

 桃と緑が、自分達が創り出した地下大ダンジョンを誇るように話しかけてきた。
 本当に立派な物を創り出してくれた。
 高さは十数メートルあると思う。
 地下なのに全く圧迫感がない。
 所々に巨木のような柱があるから、崩落の心配も思い浮かばない。

 この大空間に、何十何百もの仮設住宅を設営して、居住性を高めている。
 消費する水や食糧も、一年以上籠城出来るだけの量を運び込んでいる。
 十六トントラックのままで入り込めるからこそ出来た事だ。
 問題は糞尿の始末だったが、落下事故が起こらない程度の幅の、深い深い地下穴を掘り、その上に便所を設置する事で解決した。
 試験的に大量のバイオトイレも持ち込んだ。

 安全対策としては、地下大洞窟に来るには、何十もの十字路を攻略しなければいけない。
 まさにダンジョン仕様の隠れ家なのだ。
 地下通路は、普通の道のトンネルとほぼ同じ構造なのだが、違うのは大空間に辿り着くまでに、十字路がある事だ。
 しかも、その内の二方向は行き止まりで、特に直進路は絶対にダミーになっている。
 何故そうなっているかというと、敵の銃撃はもちろん、ミサイル攻撃でも味方に被害を出させないためだ。
 しかも十字路に十六トントラックを横付けすれば、絶好の迎撃拠点に出来る。

「実際に派兵された大陸大国海軍」
六万トン原子力空母       :二艦
二万五〇〇〇トン輸送揚陸艦   :四艦
三四五〇トンフリゲート     :十六艦
七〇〇〇トン級攻撃型原子力潜水艦:四艦
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