土魔法で富国強兵?

克全

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進撃の章

上陸

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 俺達が上陸を決行した島は、とても自然に出来たとは思われない島だった。
 まあ、当然だろう。
 俺の想いを受けて、桃と緑が丹念に創り出してくれた島なのだから。
 多くの者は、ムー大陸やアトランティス大陸の遺跡だと思うだろう。
 それくらい人工的に見える島だった。

 島はエクアドルの沖合にあるガラパゴス諸島の更に沖合にある。
 二百海里の領海でもめないように、ガラパゴス諸島から更に五百海里沖合にある。
 島の周囲は、一面を除いて標高千メートルの切り立った崖になっていて、何者の侵入も津波の影響も受けない鉄壁の防御を誇っている。
 だがガラパゴス諸島の反対面は、絶好の港になっている。

 これが人口の島だと疑われる所で、内側は船を接舷出来る絶好の桟橋のような、二本の腕のように飛び出た山脈がある。
 左の山脈は標高六百メートルで、縦五キロメートル横五キロメートルのL字となっている。
 右の山脈も標高六百メートルで、縦六キロメートル、左の山脈腕を護るように横に六キロメートル、更にのその先も左の山脈腕を護るように、島に戻る形で三キロメートル伸びている。
 どう考えても人工物としか思えない、安全な港に入るための水路だ。

 子供を抱いて護る左右の腕のような山脈の内側は、何の加工もしないで船を接舷する事が出来る。
 しかも、島の崖を内側に突き抜ける洞窟まで、なだらかな道が左右の腕から伸びている。
 その道は、大型バスが楽々行き交う事の出来る二車線道路の幅に加え、自転車道と歩道まで設置する余裕がある。
 誰がどう考えても人工の島だ。
 それも島を造形できるような、現代人を遥かに超える科学文明だ。

 俺はほとほと桃と緑の力に感心した。
 島の形を考える時には、空想を働かせて色々な要求をした。
 だがそれを本当に実現出来るなどとは思っていなかった。
 海底面を隆起させて島を創り出すか、火山を噴火させて島を創り出せるくらいだと思っていた。
 だがその予想はいい意味で覆された。

 何と島の面積は八五四・七八平方キロメートルで、佐渡島に匹敵する。
 佐渡島の江戸時代の石高は二万石だ。
 耕作地として利用できるのなら、江戸時代の食糧事情なら、二万人を養えることになる。
 だがほぼ火山岩で出来た島では、農業など出来るはずもない。
 しかし佐渡と同じようの、金銀が大量に埋もれている宝の山だ。
 いや、金銀だけではなく、あらゆるレアメタルと宝石が埋まっている。

「桃。
 緑。
 本当にありがとう。
 これほど立派な島が出来るとは思っていなかったよ」
「桃えらい」
「ああ、桃は偉いよ」
「緑は役に立った」
「ああ、緑は凄く役に立ってくれたよ」

 自衛隊員と離れて、親子の内緒話をしていると、東郷君が合図を送ってきた。

「どうかしましたか」
「中国の船団が此方に向かって来るようです」
「直ぐに来るのですか」
「漁船団のようですから、途中の給油や補給を含めて、一ヶ月程度だと思われます」
「その間に迎撃の準備を御願いします」
「了解しました」
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