土魔法で富国強兵?

克全

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進撃の章

石油卸売

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「社長。
 石油の卸売り価格はどうなされますか」
「政府はどう言っているんだ」
「先日の話では、OPECの最安値に合わせて欲しいそうです」
「では今まで通りだな」
「はい」

 俺の資金源は、ダイヤモンド以外にも石油と天然ガスがある。
 もっともこれは、採掘装置が必要だし、輸送の為に周辺環境も整えなければいけなかった。
 それでも国内に有力な油田が発見された事は、国策を左右する大事件だったので、政府の肝入りで周辺環境は超特急で整えられた。
 もっとも、俺に触発された業者が、再試掘を繰り返して大損したし、原油が採掘できるかもと廃炭鉱が高値で売買されたりもしたのは笑い話だ。

 最初の油田は北海道だったが、廃炭鉱を買収出来た九州・四国・中国・近畿・中部・関東・東北と、万遍無く各地方に油田が発見された。
 これだけ広範囲に独立した油田があれば、破壊工作を事前に諦める可能性が高い。
 これが一カ所だけだと、日本に大打撃を与えるために、少々無理を押し通してでもテロを実行するかもしれない。
 そしてそれだけの石油と天然ガスの油田が採掘されることになり、日本のエネルギー輸入金額が激減した。

 エネルギー安全政策の為に、長期契約していた分は仕方がないが、それ以外は国内産に切り替えることになった。
 切り替えた全額が俺の利益となる。
 その額は石油で四兆円であり、天然ガスで三兆円だった。
 石油と天然ガスの価格は三割安となり、電気代はもちろん、各工場の経費が大幅に安くなった。

 それだけにとどまらず、それこそ沸くように石油と天然ガスが産出されるので、今では輸出に転じるようになっている。
 輸出を始めた理由は、OPECの石油価格を下落させ、日本が輸入する石油価格を下げるためだった。
 政府が契約している石油価格はどうしようもないが、石油元売り企業が契約している価格は無視できる。
 むしろ石油元売り企業が、仕入金額より安い価格で石油を売らなければいけないように仕向け、倒産させてから買収すればいい。

 悪辣に見えるが、今迄ぼろ儲けしていたのだから、恨まないでもらいたい。
 倒産することが分かっていたから、大量の株を信用売りしてやった。
 株の方でも大儲けできたが、インサイダーにならないように十分注意してやった。
 政府の方も、今迄産油国の横暴には苦しめられていたので、産油国のひも付き企業や、アメリカ石油メジャーのひも付き企業を、国にないから排除したかったのだろう。
 俺のやることを黙認してくれた。
 アメリカ政府も、大陸大国と北東大国を牽制するためにも、日本政府の方針を認めてくれた。

「エネルギー輸入金額」
石油輸入金額  :八兆五〇〇〇億円
天然ガス輸入金額:五兆一〇〇〇億円
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