土魔法で富国強兵?

克全

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進撃の章

休日

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「パパ、たのしぃいぃぃ」
「桃、そんなに駆けたら危ないよ」
「だいじょうぶぅぅぅぅぅ」
「パパ、ぼくもたのしいです」
「緑も気を付けるのだよ」
「はい、パパ」

 久しぶりのコスプレ会場に、桃と緑もテンションが上がっている。
 一緒に会場を移動して、露店で買い食いをする。
 何気ない日常がとても貴重だ。
 とは言え、今は色々と問題もある。

「アルファチーム異状ないか」
「アルファ異常なし」
「ベータチーム異状ないか」
「ベータ異常なし」
「ガンマチーム異状ないか」
「ガンマ異状なし」

 此方から依頼したとは言え、要人警護が厳重過ぎる。
 まあ、北東大国が犯人と思われるテロ組織に襲撃されたし、半島国の指示で動いたとみられる、暴力団下部組織による連続強盗の被害にもあっている。
 此方の要請を渡りに船に、全力警護をしてくれているのだろう。

「デルタチーム、集中が甘いぞ」
「申し訳ありません」
「イプシロンチーム、移動が遅い」
「申し訳ありません」
「ゼータチーム異状ないか」
「ゼータ異状なし」

 要人警護、SPは、警視庁警備部警護課に所属する、要人警護任務に専従する警察官の事だ。
 身長一七三センチメートル以上で、柔道・剣道・合気道のいずれかが三段以上。
 拳銃射撃上級以上で、英会話ができることなど、厳しいの条件を満たした警察官であることが必須条件だ。
 そんな警察官が多数派遣され、俺の会社の予備自衛官や元警察官を鍛えてくれている。

 経団連会長の要人警護対象から除外されて以降、初めての民間人適用だと思う。
 一民間人を要人として警護するなど、普通は有り得ない。
 北東大国や大陸大国に媚を売る、朝共や毎共が力を持っていた頃なら、徹底的に叩かれて、要人警護対象から除外されていただろう。
 そうなれば、再度北東大国や大陸大国の手先に、襲撃を受けていた可能性が高い。
 だが今は、両グループともに青息吐息だ。

 俺が大金を使って懸賞をかけた事で、朝共や毎共の犯罪や不正が次々と暴露されている。
 そんな事もあって、新聞社本体の販売部数が大幅に落ち込み、テレビ局の視聴率も激減している。
 国民の誰もが、両社の記事が捏造だと信じなくなっていた。
 やっといい流れになってきた。

「パパこれかってぇぇぇぇ」
「僕も買って欲しいです」
「分かったから、慌てなくてもいいよ」
「やったぁぁぁぁ」
「パパ、ありがとうございます」

 このコスプレ大会自体が、俺の警備会社の訓練の為に開催された、社内レクリエーションであろうと、大した問題ではない。
 政府や自衛隊が、それに全面協力してくれている事が大切だ。
 俺のやっている事は、政府に支持されている。
 それで十分だ。
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