土魔法で富国強兵?

克全

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始まりの章

報復1

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 陸上自衛隊は札幌飛行場からヘリ部隊を派遣してくれた。
 最寄りの基地からも、対戦車攻撃ヘリコプターのAH-1コブラを派遣してくれたのだ。
 しかも国内の諸事情を無視して、便衣兵とテロリストを殺してくれた。
 指揮官も引き金を引いた現場の自衛官も、殺人罪で反日組織から告発されるのを覚悟の上にだ。
 この恩は絶対に返さなければならない。

「社長。今の内に逃げましょう」
「分かった。指揮は任せる」
「はい。社長」

 生き残っていた二台の社用リムジンが、炎上しているパトカーに体当たりして移動させ、逃げるための道を確保してくれた。
 ヘリの攻撃から逃れた便衣兵が、散発的に自動小銃を撃ってくるが、直ぐにAH-1コブラが制圧してくれる。

「パパこわかったぁぁぁあぁぁぁ」
「僕も怖かったです」
「ごめんね。パパが油断していたから、桃と緑に怖い思いをさせてしまったね」
「しかえしするぅぅぅぅ」
「僕もやりかえしたいです」

 自衛隊の方々の支援と、機動隊の方々の犠牲の御陰で、俺達は生き延びる事が出来た。
 恩返しは必ずやるとして、今は報復の時だ。
 自衛隊の方に紹介して頂いた、信頼出来る漁船をチャーターして、北東領土と樺巨島が見える海域までやってきた。
 国が陰から支援してくれているのか、海上自衛隊が独自で動いてくれたのか、自衛艦艇が丁度海域の警備に出張ってくれていた。

「桃。緑。辛かったら止めていいんだよ」
「だいじょうぶぅぅぅぅぅ」
「むりましませんから、大丈夫です、パパ」
「そうか。でもね、人殺しは駄目だから、ゆっくりとやるんだよ」
「わかってるぅぅぅぅぅ」
「わかっています」

 俺達は、人殺しをしない範囲で、北東の大国に報復する事にした。
 同時に国の為になる事をしようと考えた。
 そこで思いついたのが、北東領土の事だった。
 この前の世界大戦で不法に占領された、北東領土を海に沈めてしまう事にしたのだ。
 どうせ強請集りに使うだけで、絶対に返還する気などないのだから。

「パパ。あの島だけ沈めるのは難しい」
「僕も難しいと思います。パパ」
「そうか。だったらこの方法は諦めようね」
「ちがうのぉぉぉぉぉ」
「島を選ぶのが難しいだけで、全部一緒に沈める方が簡単なんです」
「そうか。だったら全部一度に沈めてくれるかい」
「はぁぁぁぁい」
「はい」

 最初は北東領土だけにする心算だったけど、幕末の混乱期に武力で奪い取ったのが万島列島と樺巨島だ。
 もともと樺巨島の最北端には、徳川幕府の代官所が設置されていて、日本の領土だったのだ。
 それを帝国主義の西欧列強が、寄ってたかって武力で脅して不平等な条約を押し付け、領土も富も奪ったのだ。
 今更それを賠償させる事など出来ないが、力を持ったのだから、憂さ晴らしくらいはさせてもらう。
 いや、俺の大切な桃と緑を襲ったんだ、キッチリと落とし前はつけさせてもらう。
 万島列島と樺巨島は海の底に沈めてやる。
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