土魔法で富国強兵?

克全

文字の大きさ
上 下
38 / 90
始まりの章

報復1

しおりを挟む
 陸上自衛隊は札幌飛行場からヘリ部隊を派遣してくれた。
 最寄りの基地からも、対戦車攻撃ヘリコプターのAH-1コブラを派遣してくれたのだ。
 しかも国内の諸事情を無視して、便衣兵とテロリストを殺してくれた。
 指揮官も引き金を引いた現場の自衛官も、殺人罪で反日組織から告発されるのを覚悟の上にだ。
 この恩は絶対に返さなければならない。

「社長。今の内に逃げましょう」
「分かった。指揮は任せる」
「はい。社長」

 生き残っていた二台の社用リムジンが、炎上しているパトカーに体当たりして移動させ、逃げるための道を確保してくれた。
 ヘリの攻撃から逃れた便衣兵が、散発的に自動小銃を撃ってくるが、直ぐにAH-1コブラが制圧してくれる。

「パパこわかったぁぁぁあぁぁぁ」
「僕も怖かったです」
「ごめんね。パパが油断していたから、桃と緑に怖い思いをさせてしまったね」
「しかえしするぅぅぅぅ」
「僕もやりかえしたいです」

 自衛隊の方々の支援と、機動隊の方々の犠牲の御陰で、俺達は生き延びる事が出来た。
 恩返しは必ずやるとして、今は報復の時だ。
 自衛隊の方に紹介して頂いた、信頼出来る漁船をチャーターして、北東領土と樺巨島が見える海域までやってきた。
 国が陰から支援してくれているのか、海上自衛隊が独自で動いてくれたのか、自衛艦艇が丁度海域の警備に出張ってくれていた。

「桃。緑。辛かったら止めていいんだよ」
「だいじょうぶぅぅぅぅぅ」
「むりましませんから、大丈夫です、パパ」
「そうか。でもね、人殺しは駄目だから、ゆっくりとやるんだよ」
「わかってるぅぅぅぅぅ」
「わかっています」

 俺達は、人殺しをしない範囲で、北東の大国に報復する事にした。
 同時に国の為になる事をしようと考えた。
 そこで思いついたのが、北東領土の事だった。
 この前の世界大戦で不法に占領された、北東領土を海に沈めてしまう事にしたのだ。
 どうせ強請集りに使うだけで、絶対に返還する気などないのだから。

「パパ。あの島だけ沈めるのは難しい」
「僕も難しいと思います。パパ」
「そうか。だったらこの方法は諦めようね」
「ちがうのぉぉぉぉぉ」
「島を選ぶのが難しいだけで、全部一緒に沈める方が簡単なんです」
「そうか。だったら全部一度に沈めてくれるかい」
「はぁぁぁぁい」
「はい」

 最初は北東領土だけにする心算だったけど、幕末の混乱期に武力で奪い取ったのが万島列島と樺巨島だ。
 もともと樺巨島の最北端には、徳川幕府の代官所が設置されていて、日本の領土だったのだ。
 それを帝国主義の西欧列強が、寄ってたかって武力で脅して不平等な条約を押し付け、領土も富も奪ったのだ。
 今更それを賠償させる事など出来ないが、力を持ったのだから、憂さ晴らしくらいはさせてもらう。
 いや、俺の大切な桃と緑を襲ったんだ、キッチリと落とし前はつけさせてもらう。
 万島列島と樺巨島は海の底に沈めてやる。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

(完)なにも死ぬことないでしょう?

青空一夏
恋愛
ジュリエットはイリスィオス・ケビン公爵に一目惚れされて子爵家から嫁いできた美しい娘。イリスィオスは初めこそ優しかったものの、二人の愛人を離れに住まわせるようになった。 悩むジュリエットは悲しみのあまり湖に身を投げて死のうとしたが死にきれず昏睡状態になる。前世を昏睡状態で思い出したジュリエットは自分が日本という国で生きていたことを思い出す。還暦手前まで生きた記憶が不意に蘇ったのだ。 若い頃はいろいろな趣味を持ち、男性からもモテた彼女の名は真理。結婚もし子供も産み、いろいろな経験もしてきた真理は知っている。 『亭主、元気で留守がいい』ということを。 だったらこの状況って超ラッキーだわ♪ イケてるおばさん真理(外見は20代前半のジュリエット)がくりひろげるはちゃめちゃコメディー。 ゆるふわ設定ご都合主義。気分転換にどうぞ。初めはシリアス?ですが、途中からコメディーになります。中世ヨーロッパ風ですが和のテイストも混じり合う異世界。 昭和の懐かしい世界が広がります。懐かしい言葉あり。解説付き。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

主役の聖女は死にました

F.conoe
ファンタジー
聖女と一緒に召喚された私。私は聖女じゃないのに、聖女とされた。

公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌

招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」 毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。 彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。 そして…。

処理中です...