土魔法で富国強兵?

克全

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始まりの章

襲撃(第三者視点)

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『廃炭鉱前』

「音を立てるな」
「すみません」
「安全装置は外したな」
「はい」

 闇に隠れて、襲撃者達は徐々に前進していた。
 百人を超える人間が、廃炭鉱の入り口を目指していた。
 自動小銃は持っていないものの、全員がサイレンサーの付いた拳銃とナイフで武装していた。
 百億を超えるパープルダイヤモンドの原石が発見されたと言う噂に、北東の大国の手先を務める野党国会議員が我慢出来なくなったのだ。

「行け」
「はい」

 襲撃者達は、言葉ではなく手ぶりで命令を伝えていた。
 軍事訓練を受けているキビキビした動きだった。
 彼らは、パープルダイヤモンド鉱山前を警備している、予備自衛官を殺す心算だった。
 相手が予備自衛官であろうと、北東の大国で厳しい軍事訓練を受けているので、簡単に勝てると思っていた。

「襲撃者が近付いて来る」
「撤収。奥に逃げ込め」
「「「「「はい」」」」」

 だが、予備自衛官達に油断はなかった。
 会社に採用された予備自衛官の内、一個中隊百二十名が完全防備をして待ち構えていた。
 鉱山の入り口近くに無数に配置された、カメラとドローンによって、事前に襲撃を察知していた。
 自衛隊の衛星情報も使って、襲撃を事前に察知できたのが大きかった。

「鉱山警備隊」
組 :  二名
分隊:  八名
小隊:二十四名
中隊:百二十名

「警察ですか」
「はい、○○警察です」
「百人を超える強盗の襲撃です」
「直ぐに機動隊を送ります」
「御願いします」

 本当は完全武装の自衛隊を応援してもらいたかったが、今の日本でそれは不可能だった。
 そのために、事前に機動隊が配置されていた。
 退職した元警察官を大量に雇用していた事と、北海道に新たな基幹産業を産み出す可能性が、非常識な機動隊の動員を可能にしていた。
 銃器対策部隊を含む、北海道警察の全機動隊が動員準備を整えていただけでなく、警察庁からも二個部隊が応援に来ていた。

『某事務所』

「船の手配はすんでいるのだな」
「御任せ下さい。息のかかった漁船を待機させています」
「国境警備隊は大丈夫なのだな」
「受け渡し時間は指定していますので、その時間なら威嚇射撃はありません」

 野党国会議員は、北東の大国から派遣されている工作員と事務所で会っていた。
 奪ったパープルダイヤモンドの原石を、北東の大国に送るためだ。
 普通に強盗などすれば、絶対に捕まってしまう。
 まして金額にして百億円のパープルダイヤモンド原石など、持ち運ぶのも困難だ。
 だが国会議員の力と、北東の大国の力を使えば、無理が押し通せると考えていた。
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