土魔法で富国強兵?

克全

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始まりの章

廃鉱山

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「ここ愉しいぃぃぃぃ」
「ワクワクします」
「そうか、それは好かったね」
「社長。だいぶ脆くなっていますから、これ以上は危険です」

 廃鉱山の買収を決意してから一ヶ月が経った。
 達樹君の件がよかったのか、現役自衛官や元自衛官の互助組織が協力してくれて、廃鉱山とは廃炭鉱の買収が順調に進んだ。
 それに伴って、予備自衛官をどんどん採用している影響も大きいのだろう。
 誰だって退官後の再就職は気になる。

「どうっだった」
「たくさんあるぅぅぅぅ」
「いっぱいあった」
「そうか、それはよかった」

 新たに採用した予備自衛官が運転してくれるリムジンで、桃と緑にどれくらいの金銀が残っているか聞いてみたが、二人にしたら大量に残っているようだ。
 全部が全部成功することはないと思うが、古銭を創る材料が採取出来れば上等だ。

「社長。基地司令が御会いしたいとの事です」
「予定はどうなっている」
「一時間ほどは余裕があります」
「そのように伝えてくれて、それでもよければ御会いさせていただこう」
「了解いたしました」

 今回視察に来ている鉱山買収は、自衛隊を通して色々協力してもらっていた。
 防衛官僚を務めた事のある地元国会議員にも協力してもらっている。
 法律に違反しない範囲で、十分な寄付をしないといけないだろう。
 基地司令との会談も、出来る限り時間調整する必要がある。

「御忙しい所を立ち寄って頂き、感謝いたします」
「此方こそ急がしてしまって申し訳ありません」
「それでは先ほどの件、宜しく御願い致します」
「御任せ下さい」

 陸上自衛隊の基地司令との会談は、短い時間だったが有意義なモノだった。
 大阪や兵庫では、既に自衛隊協力会に参加さえて頂いているが、ここ北海道でも参加させてもらった方がいい。
 地価の関係で、成功させる廃鉱山や廃炭鉱は北海道のの僻地になる。
 自衛隊の支援があるとないとでは、大きな違いが出るだろう。

「社長。ありがとうございます」
「うん、何だ改まって」
「うちで役に立つとも思えない隊員を雇って下さるので」
「鉱山の試掘と採掘が始まったら、警備の人間はいくらいても足らなくなるよ」
「本当に大丈夫なのですか」
「任せなさい。資金の方も、もう少し家宝を売る事にするから、心配いらないよ」
「……はい」

 新たに採用した予備自衛官は、今度採用することになった予備自衛官の事が心配なのだろう。
 高度な兵器を使用するようになった陸上自衛隊では、扱いに困る中高年の隊員が結構いる。
 俺が若い頃、「御兄ちゃんいい身体しているな、自衛隊入らへんか」と、人出の多い場所で必ず声をかけられたものだ。
 そんな人達の中には、命じられたことも満足に出来ない人がいる。
 何十年訓練しても、命令など出来ない人もいる。
 そんな人の再就職を引き受けたのだから、感謝も心配もされるだろう。

「大丈夫だ。必ず石油とガスと宝石が出る」
「でるよぉぉぉぉ」
「あります」
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