土魔法で富国強兵?

克全

文字の大きさ
上 下
23 / 90
始まりの章

大坂の大コスプレ祭り3

しおりを挟む
「俺達は何もしていないぞ」
「そうだ」
「これは人権蹂躙だ」
「俺達の親は弁護士だぞ」
「親を呼べ、親を」

 こいつら、親の権力を笠に着た最低の屑だ。
 どうせこいつらの親だから、金儲けの為に人権を振りかざす、左巻きの弁護屋だろう。
 動画を撮影している事は、秘密にしておこう。
 事前に知られたら、対抗策をとられるかもしれない。

(最初から、動画撮影しています。後で確認してください)
(それは助かります)

 その後も糞餓鬼達は親を呼べと喚いていた。
 そのふてぶてしい態度から、これが初犯ではないのだろう。
 何度も同じような事を繰り返しては、親の金と権力で悪行を揉消してきたのだろう。
 何か本気で腹が立ってきた。

「刑事さんでいいのですか」
「ええ、そう言って下さって構いませんよ」
「警察御用達の弁護士さんておられます」
「ええ、警察が訴えられた時の為に、顧問弁護士がいます」
「動画を観てもらって、使えるかどうか確認してもらってください」
「分かりました」

 それと問題は、被害者が金で頬を張られて、示談に持ち込まれる事だ。
 ここで食い止めなければ、同じような事が繰り返される。
 ナイフを所持していたし、殺される人間が出てくるかも知れない。
 弁護屋が親なら、同期の裁判官や検事がいるだろう。
 子供が人を殺しても、実刑にならないように裏から手を回す可能性もある。
 ここで食い止める。

「糞餓鬼共の親が弁護士なら、徹底的に戦うには、裁判費用が必要ですよね」
「本気ですか。実際に戦うのは、あの子ですよ」

 男装している女刑事さんが、ガタガタと震えている青年に視線を送った。
 気が弱そうだし、やり手の弁護屋に脅迫されたら、裁判を諦める可能性が高い。
 無理矢理裁判に持ち込むのは無理かな。
 でも、諦めたくない。

「家宝の宝石さえ売れれば、一億や二億の程度の裁判費用なら、元からなかったと思って使っても構いません。必要なら、あの子に私設のSPを付けてもいい」
「あの子の場合は、暴力団関係ではないので、身辺警戒員を付ける事も出来ないから、そうしてもらえれば助かります」
「だったら、宝石を売ることが出来たら、民間のボディーガードを雇ってあの子に付ける。警察OBや予備自衛官が就職している、警備会社はないのですか」
「宝石が売れたら、天下り先と揶揄されている企業であろうと、警備を依頼してくれるのですか」
「ええ。約束します」
「上司に相談してみます」

 男装の女刑事は、宝石商を紹介してくれるようだ。
 天下り先なのか、警備会社の当てもあるのだろう。
 実際問題、警備会社も、社員教育には警察や自衛隊の協力が必要だろう。

「公権力の横暴だ。不当逮捕だ」
「その服装は、非番か。非番に逮捕する権利があるのか」
「不当逮捕で貴君を訴えるぞ」

 腐れ外道の弁護屋がやってきたな。
 あいつらの言動も、逐一撮影して、裁判で有利になる失言を期待しよう。
しおりを挟む

処理中です...