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第一章
第54話:イーライ城
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「イーライ様には大公城とは別に、イーライ様個人の城を築城していただきます」
セバスチャンが俺にやれと言ったのは、大砂漠の領民を護るための築城だった。
今は数は少ないが、オアシス周辺には孤児たち元奴隷たちがいる。
従魔の護りはあるが、城と言う護りの拠点がない。
用水路を防衛の為の堀に利用しているし、城壁と同じ役割をする岩壁もある。
だが民を収容して護る拠点、中核となり城がないのだ。
普通に人力を利用して築城すれば十年くらいかかるのを、俺か短期で築城する。
「分かった、魔力にはいくらでも余裕があるから大丈夫だ。
だが何人くらいを収容する予定の城を造ればいいのだ」
今大砂漠にいる領民の数はとても少ないのだ。
俺も大砂漠と言っているが、できれば全て耕作地にしたいし、いつかはできる。
いつかはオアシスの水が縦横に広がり、大砂漠ではなくなるのだが、今直ぐは全ての砂漠を耕作地にする事は不可能だ。
公爵家だった時代の大公領にいた奴隷を全てを集めても、大砂漠の万分の一も耕作地として利用できていない状態なのだ。
「左様でございますね、百万人を収容できる城を造って頂きたいですね」
「いくらなんでも百万人は多過ぎるんじゃないか。
そんな城を一つ造るくらいなら、一万人を収容できる城を百造った方がいいんじゃないか、セバスチャン」
「心配は必要ありませんよ、イーライ様。
城の内側を並の城以上に防御力のある区画で分けますから」
「それは、以前セバスチャンが教えてくれた、中国の城塞都市の条坊制か」
「中国だけではありませんよ。
日本も朝鮮半島も、宮城都市はそうゆう建築様式になっております」
「へえ、そうなんだ、それは知らなかったよ。
前世では城を見に行くどころか学校以外は家から出してももらえなかったからな。
日本の城の話しは、セバスチャンが教えてくれた江戸城とか大阪城とかくらいしか知らないよ」
「武士が、いえ、大名が造った城と、王や皇帝が宮城に住む全ての民を護る前提で都市計画した城では違うのです。
日本では京都と奈良に造られた平安京と平城京くらいです」
「それもセバスチャンから教わったけれど、実感ないな」
「実感がなくても大丈夫でございますよ、イーライ様。
これからご自身の手で城をお造り頂くので嫌でも実感していただけます」
セバスチャンがとてもにこやかに話してくれるが、いつも以上にうれしそうだ。
どうやら条坊制の城を造るのが楽しくて仕方がないようだ。
もしかしたら、前世から城や建築が好きだったのかもしれない。
そうだとしたら、少しはセバスチャンの役に立てるかもしれない。
今までずっとセバスチャンに助けてもらってばかりだったから、何か少しでも助けられる事がるのなら、いや、よろこんでもらえることがあるのならうれしいな。
「イーライ様、セバスチャン様、もういいですか」
ベラが孤児たちを代表して声をかけてきた。
セバスチャンとの話が長くなって、孤児たちが愉しみにしている自由時間に食い込んでいて、俺と一緒に遊べなくなっているのだ。
孤児たちをみてあらためて思う、彼らを護りたいと。
そのためなら、全ての魔力を使ってでも堅固な城を造りたいと思う。
もっとも、彼らを護るためにも、魔力を全部使ったりはしないけどな。
セバスチャンが俺にやれと言ったのは、大砂漠の領民を護るための築城だった。
今は数は少ないが、オアシス周辺には孤児たち元奴隷たちがいる。
従魔の護りはあるが、城と言う護りの拠点がない。
用水路を防衛の為の堀に利用しているし、城壁と同じ役割をする岩壁もある。
だが民を収容して護る拠点、中核となり城がないのだ。
普通に人力を利用して築城すれば十年くらいかかるのを、俺か短期で築城する。
「分かった、魔力にはいくらでも余裕があるから大丈夫だ。
だが何人くらいを収容する予定の城を造ればいいのだ」
今大砂漠にいる領民の数はとても少ないのだ。
俺も大砂漠と言っているが、できれば全て耕作地にしたいし、いつかはできる。
いつかはオアシスの水が縦横に広がり、大砂漠ではなくなるのだが、今直ぐは全ての砂漠を耕作地にする事は不可能だ。
公爵家だった時代の大公領にいた奴隷を全てを集めても、大砂漠の万分の一も耕作地として利用できていない状態なのだ。
「左様でございますね、百万人を収容できる城を造って頂きたいですね」
「いくらなんでも百万人は多過ぎるんじゃないか。
そんな城を一つ造るくらいなら、一万人を収容できる城を百造った方がいいんじゃないか、セバスチャン」
「心配は必要ありませんよ、イーライ様。
城の内側を並の城以上に防御力のある区画で分けますから」
「それは、以前セバスチャンが教えてくれた、中国の城塞都市の条坊制か」
「中国だけではありませんよ。
日本も朝鮮半島も、宮城都市はそうゆう建築様式になっております」
「へえ、そうなんだ、それは知らなかったよ。
前世では城を見に行くどころか学校以外は家から出してももらえなかったからな。
日本の城の話しは、セバスチャンが教えてくれた江戸城とか大阪城とかくらいしか知らないよ」
「武士が、いえ、大名が造った城と、王や皇帝が宮城に住む全ての民を護る前提で都市計画した城では違うのです。
日本では京都と奈良に造られた平安京と平城京くらいです」
「それもセバスチャンから教わったけれど、実感ないな」
「実感がなくても大丈夫でございますよ、イーライ様。
これからご自身の手で城をお造り頂くので嫌でも実感していただけます」
セバスチャンがとてもにこやかに話してくれるが、いつも以上にうれしそうだ。
どうやら条坊制の城を造るのが楽しくて仕方がないようだ。
もしかしたら、前世から城や建築が好きだったのかもしれない。
そうだとしたら、少しはセバスチャンの役に立てるかもしれない。
今までずっとセバスチャンに助けてもらってばかりだったから、何か少しでも助けられる事がるのなら、いや、よろこんでもらえることがあるのならうれしいな。
「イーライ様、セバスチャン様、もういいですか」
ベラが孤児たちを代表して声をかけてきた。
セバスチャンとの話が長くなって、孤児たちが愉しみにしている自由時間に食い込んでいて、俺と一緒に遊べなくなっているのだ。
孤児たちをみてあらためて思う、彼らを護りたいと。
そのためなら、全ての魔力を使ってでも堅固な城を造りたいと思う。
もっとも、彼らを護るためにも、魔力を全部使ったりはしないけどな。
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