16 / 70
第一章
第16話:コボルトと魔狼とゴブリン
しおりを挟む
ウォオオオオオン
ギャアアアアア。
ギャッヒン。
大魔境の奥に進んでいくと、雄叫びと悲鳴と断末魔が聞こえてきた。
探知魔術で多くの魔物が争っているのは分かっていたが、修羅場そのものだった。
ゴブリンの大軍団が、コボルトと魔狼の集団を襲っていた。
個々の戦闘力はコボルトや魔狼の方が強いと思う。
だがゴブリンの数一万に対して、コボルトと魔狼は合わせて四百ほどだ。
二十対一でも厳しいのに、ゴブリンにはゼネラルやファンターまでいるのだ。
「イーライ様、負けているコボルトや魔狼が可哀想だと言って助けないでください。
一応王家が貸与した魔物暴走魔道具は確保して、イーライ様にお預けしました。
ですが魔物暴走魔道具が一つとは限らないのです。
万が一の事を考えると、大魔境の魔物は少ない方がいいのです。
魔物同士で殺し合ってくれるのなら、我々人間には好都合です。
イーライ様には勝った方を皆殺しにしていただきます」
「いや、幾らなんでも見殺しは駄目だろう。
それに魔狼は俺の魔獣にする予定だったじゃないか。
ゴブリンの方にも灰色狼や赤色狼がいるじゃないか。
ゴブリンとコボルトだけ皆殺しにして、狼と魔狼は狩ってもいいだろ」
「さきほども申し上げましたが、灰色狼や赤色狼などイーライ様には相応しくありませんので、却下でこざいます……」
セバスチャンは却下だと言いながら、最後の方で考えていた。
セバスチャンの事だから何かとんでもない事を考えている気がする。
「イーライ様、少々考えを改めさせて頂きました。
イーライ様には相応しくない灰色狼と赤色狼ですが、孤児たちが飼うことができるようになって猟犬に使えれば、生きていくのに大きな助けになります。
最初はイーライ様が魅了された狼を貸与して、ゆくゆくは生まれた子狼を幼い頃から仕付けて、孤児たちで繁殖から調教、狩りまでできるようにするのです」
「それはいいね、そうしよう、そうしよう」
俺はそう言いながら、もうすでに魔術攻撃の準備に入っていた。
超広範囲火弾と超広範囲火炎弾と超広範囲強火炎弾の三魔術を同時に放ったのだ。
最弱の普通種ゴブリンやコボルトは超広範囲火弾で後頭部から脳髄を焼く。
ホブゴブリンやホブコボルトも超広範囲火炎弾で後頭部から脳髄を焼く。
ファイターゴブリンやゼネラルゴブリンなどの強力な奴は鼻から肺を焼く。
それでも狩れないような強者には、超広範囲蒼火炎で全身や毛穴だらけにする。
ギャッフッ
ゴブリンやコボルトが一斉に大魔境の大地に倒れた。
一体一体は軽いのだが、二万の数が一斉に倒れると地響きがした。
生き残る強者を警戒していたが、何の問題もなかった。
圧縮して燃焼力と貫通力を高めた火炎魔術の殺傷力はとても高い。
超火炎弾や蒼火炎弾といった強力な魔術を使う機会などないかもしれない。
それにしても、人間は殺せないのに人型の魔物なら平気で殺せる自分が不思議だ。
「イーライ様、感傷に浸る前に魅了をお願いします」
セバスチャンに急かされてしまった。
別に感傷に浸っている訳ではないので、直ぐに魅了の魔術を使った。
ギャアアアアア。
ギャッヒン。
大魔境の奥に進んでいくと、雄叫びと悲鳴と断末魔が聞こえてきた。
探知魔術で多くの魔物が争っているのは分かっていたが、修羅場そのものだった。
ゴブリンの大軍団が、コボルトと魔狼の集団を襲っていた。
個々の戦闘力はコボルトや魔狼の方が強いと思う。
だがゴブリンの数一万に対して、コボルトと魔狼は合わせて四百ほどだ。
二十対一でも厳しいのに、ゴブリンにはゼネラルやファンターまでいるのだ。
「イーライ様、負けているコボルトや魔狼が可哀想だと言って助けないでください。
一応王家が貸与した魔物暴走魔道具は確保して、イーライ様にお預けしました。
ですが魔物暴走魔道具が一つとは限らないのです。
万が一の事を考えると、大魔境の魔物は少ない方がいいのです。
魔物同士で殺し合ってくれるのなら、我々人間には好都合です。
イーライ様には勝った方を皆殺しにしていただきます」
「いや、幾らなんでも見殺しは駄目だろう。
それに魔狼は俺の魔獣にする予定だったじゃないか。
ゴブリンの方にも灰色狼や赤色狼がいるじゃないか。
ゴブリンとコボルトだけ皆殺しにして、狼と魔狼は狩ってもいいだろ」
「さきほども申し上げましたが、灰色狼や赤色狼などイーライ様には相応しくありませんので、却下でこざいます……」
セバスチャンは却下だと言いながら、最後の方で考えていた。
セバスチャンの事だから何かとんでもない事を考えている気がする。
「イーライ様、少々考えを改めさせて頂きました。
イーライ様には相応しくない灰色狼と赤色狼ですが、孤児たちが飼うことができるようになって猟犬に使えれば、生きていくのに大きな助けになります。
最初はイーライ様が魅了された狼を貸与して、ゆくゆくは生まれた子狼を幼い頃から仕付けて、孤児たちで繁殖から調教、狩りまでできるようにするのです」
「それはいいね、そうしよう、そうしよう」
俺はそう言いながら、もうすでに魔術攻撃の準備に入っていた。
超広範囲火弾と超広範囲火炎弾と超広範囲強火炎弾の三魔術を同時に放ったのだ。
最弱の普通種ゴブリンやコボルトは超広範囲火弾で後頭部から脳髄を焼く。
ホブゴブリンやホブコボルトも超広範囲火炎弾で後頭部から脳髄を焼く。
ファイターゴブリンやゼネラルゴブリンなどの強力な奴は鼻から肺を焼く。
それでも狩れないような強者には、超広範囲蒼火炎で全身や毛穴だらけにする。
ギャッフッ
ゴブリンやコボルトが一斉に大魔境の大地に倒れた。
一体一体は軽いのだが、二万の数が一斉に倒れると地響きがした。
生き残る強者を警戒していたが、何の問題もなかった。
圧縮して燃焼力と貫通力を高めた火炎魔術の殺傷力はとても高い。
超火炎弾や蒼火炎弾といった強力な魔術を使う機会などないかもしれない。
それにしても、人間は殺せないのに人型の魔物なら平気で殺せる自分が不思議だ。
「イーライ様、感傷に浸る前に魅了をお願いします」
セバスチャンに急かされてしまった。
別に感傷に浸っている訳ではないので、直ぐに魅了の魔術を使った。
0
お気に入りに追加
293
あなたにおすすめの小説
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
ユニークスキルの名前が禍々しいという理由で国外追放になった侯爵家の嫡男は世界を破壊して創り直します
かにくくり
ファンタジー
エバートン侯爵家の嫡男として生まれたルシフェルトは王国の守護神から【破壊の後の創造】という禍々しい名前のスキルを授かったという理由で王国から危険視され国外追放を言い渡されてしまう。
追放された先は王国と魔界との境にある魔獣の谷。
恐ろしい魔獣が闊歩するこの地に足を踏み入れて無事に帰った者はおらず、事実上の危険分子の排除であった。
それでもルシフェルトはスキル【破壊の後の創造】を駆使して生き延び、その過程で救った魔族の親子に誘われて小さな集落で暮らす事になる。
やがて彼の持つ力に気付いた魔王やエルフ、そして王国の思惑が複雑に絡み大戦乱へと発展していく。
鬱陶しいのでみんなぶっ壊して創り直してやります。
※小説家になろうにも投稿しています。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~
平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。
三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。
そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。
アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。
襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。
果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。
ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。
yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。
子供の頃、僕は奴隷として売られていた。
そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。
だから、僕は自分に誓ったんだ。
ギルドのメンバーのために、生きるんだって。
でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。
「クビ」
その言葉で、僕はギルドから追放された。
一人。
その日からギルドの崩壊が始まった。
僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。
だけど、もう遅いよ。
僕は僕なりの旅を始めたから。
【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる