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第一章
第6話:正直に
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皇太子セスラは自分の心に正直に生きることにした。
親友と婚約者に裏切られた時は、報復したいという個人的な感情と、皇太子として国民のために我慢しなければいけないとう義務感に、心が押し潰されたしまった。
だが今なら、自分が悪くもないのに、自分が潰れる義務はない割り切れた。
同時に、泣いて心配してくれる友達に、素直に弱さを見せられるようになった。
死にかけた事で、本当の友が誰なのか、皇太子であっても弱さを見せられる、真の親友を見極めることができた。
「殿下、ここは復讐すべき相手を見極めましょう。
復讐すべきなのが、元勇者ベンジャミンと元婚約者エレーンだけなのか、勇者神殿とラゼルン諸侯王家もグルなのか」
侍従の一人が献策してくれたのだが、ベンジャミンとエレーンを皇室不敬罪として、全ての官職を剥奪し、皇国追放刑にするという。
もし勇者神殿とラゼルン諸侯王家がこれに従えば、二人だけを処分すればよく、従わなければ、勇者神殿とラゼルン諸侯王家も全ての官職を剥奪し、皇国追放刑にするという。
「勇者神殿とラゼルン諸侯王家も、処刑ではなく追放刑ならば従いやすいです。
いえ、これだけの不忠不義理、恥知らずな行いをした二人を追放刑にもしないのなら、それは皇室に対する明らかな叛意です、即座に討伐しなければいけません」
皇太子の許可を受けた侍従は、即座に勇者神殿とラゼルン諸侯王家勅使を送った。
同時に近衛騎士団と相談して、可能な限りの騎士団と徒士団に動員令をかけ、ラゼルン諸侯王領への討伐準備を始めた。
既に聖女が召喚され、断食自害を図った皇太子が救われたという噂が、大陸中に流れていた。
そしてその聖女が、ベンジャミンとエレーンを悪しざまに罵ったという噂も。
「殿下、ベンジャミンとエレーンが、勇者達とラゼルン諸侯王軍に殺されました!」
皇国軍と召喚聖女を恐れた勇者神殿とラゼルン諸侯王家が、ベンジャミンとエレーンには追放刑ですんだと偽り、誘い出し殺してしまった。
皇太子の側近達が考えた筋書き通りになった。
そんな側近達に皇太子は重大な事を打ち明け相談した。
「今日は皆に教えてもらいたい事がある。
どうすれば召喚聖女ミネルバ様にこの国に留まってもらえるだろうか?
私は召喚聖女ミネルバ様を愛してしまった。
このような想いは、エレーンとでは一度もなかった。
私はエレーンの事を愛していなかったのだと分かった。
皇太子として、国のために愛そうとしていただけだった。
だが、召喚聖女ミネルバ様の事は、本当に心から愛している。
どのような努力も惜しまないから、どうか私を、召喚聖女ミネルバ様に愛してもらえる男にして欲しい」
親友と婚約者に裏切られた時は、報復したいという個人的な感情と、皇太子として国民のために我慢しなければいけないとう義務感に、心が押し潰されたしまった。
だが今なら、自分が悪くもないのに、自分が潰れる義務はない割り切れた。
同時に、泣いて心配してくれる友達に、素直に弱さを見せられるようになった。
死にかけた事で、本当の友が誰なのか、皇太子であっても弱さを見せられる、真の親友を見極めることができた。
「殿下、ここは復讐すべき相手を見極めましょう。
復讐すべきなのが、元勇者ベンジャミンと元婚約者エレーンだけなのか、勇者神殿とラゼルン諸侯王家もグルなのか」
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もし勇者神殿とラゼルン諸侯王家がこれに従えば、二人だけを処分すればよく、従わなければ、勇者神殿とラゼルン諸侯王家も全ての官職を剥奪し、皇国追放刑にするという。
「勇者神殿とラゼルン諸侯王家も、処刑ではなく追放刑ならば従いやすいです。
いえ、これだけの不忠不義理、恥知らずな行いをした二人を追放刑にもしないのなら、それは皇室に対する明らかな叛意です、即座に討伐しなければいけません」
皇太子の許可を受けた侍従は、即座に勇者神殿とラゼルン諸侯王家勅使を送った。
同時に近衛騎士団と相談して、可能な限りの騎士団と徒士団に動員令をかけ、ラゼルン諸侯王領への討伐準備を始めた。
既に聖女が召喚され、断食自害を図った皇太子が救われたという噂が、大陸中に流れていた。
そしてその聖女が、ベンジャミンとエレーンを悪しざまに罵ったという噂も。
「殿下、ベンジャミンとエレーンが、勇者達とラゼルン諸侯王軍に殺されました!」
皇国軍と召喚聖女を恐れた勇者神殿とラゼルン諸侯王家が、ベンジャミンとエレーンには追放刑ですんだと偽り、誘い出し殺してしまった。
皇太子の側近達が考えた筋書き通りになった。
そんな側近達に皇太子は重大な事を打ち明け相談した。
「今日は皆に教えてもらいたい事がある。
どうすれば召喚聖女ミネルバ様にこの国に留まってもらえるだろうか?
私は召喚聖女ミネルバ様を愛してしまった。
このような想いは、エレーンとでは一度もなかった。
私はエレーンの事を愛していなかったのだと分かった。
皇太子として、国のために愛そうとしていただけだった。
だが、召喚聖女ミネルバ様の事は、本当に心から愛している。
どのような努力も惜しまないから、どうか私を、召喚聖女ミネルバ様に愛してもらえる男にして欲しい」
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