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第1章
第46話:噓と誠
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ロック鶏に海まで連れていてもらった朝もゆっくり眠った。
肉や卵を食べる家族に気を使わせないようした。
「お父さん、お母さん、おはよう」
「ああ、おはよう、今日も手伝ってくれるのか?」
「うん、僕が実らせたら家の分は休んで共同分だけですればいいのでしょ?」
「そうだな、もう食べ切れないくらいの大麦とライ麦が蓄えてある。
小麦だって家の分は無理に売る事もない。
ケーンが家のいる間は共有仕事以外は休むよ」
「私も今日は畑東門の当番があるだけよ」
村で戦う役をしているお父さんとお母さんは、共有の畑仕事は少ないが、その分里山での狩りや内山の巡回が多かった。
今では巡回が無くったかれど、その分が門番仕事になっている。
主な門は村の忠臣に入る1つと果樹林の2つ、畑の2つを合わせて5つだ。
他の門は閉めっぱなしでもどうにかなる。
田舎の開拓村だから、1月に1度やってくる行商隊以外は誰も来ない。
普通なら門番などいらないのだが、エリクサー薬草を育てられるようになったので、多少は警戒しなければいけなくなった。
「お父さんとお母さんに話さなければいけない事があるんだ。
これまで秘密にしていた事だけで、夢をかなえるために明かす事にしたんだ」
前世では嘘をついてはいけないと言われていた。
でもこの世界では、互いを守るための嘘は必要だと言われた。
それも、神々に使える神官に言われたのだから、僕が嘘ついても怒られない。
ただ、どうしても前世の考えに引っ張られてしまう。
嘘をつくのも秘密を作るのも胸が痛くなる。
特にお父さんとお母さんに嘘をつき秘密を作るのは苦しかった。
自分の夢をかなえるためという理由があれば、これまで秘密にしていた事を口にする事ができる。
「無理をしなくても良いのだぞ、隠しておいた方が、ケーンのためになるのなら、いくらでも嘘をついていいし、隠していても良いのだぞ」
「そうよ、これからも行商を続けるのなら、同じ行商人にも油断をしては駄目。
特に神与スキルに関する事は、隠し続けないといけないわよ」
お父さんとお母さんには、身体強化ができる事を話している。
それに関連した秘密なら、特に明かす必要はないと言ってくれているのかな?
それとも、3つ目の神与スキルを明かすと思っているのかな?
「これまでは、誰かに知られてしまって、また怖いモノを見るような顔をされたくなくて、黙ってた。
お父さんとお母さんなら、僕を嫌いになったりしないと思っているけど、妹たちはまだ小さいから、何かの拍子に聞かれる事の無いように教えなかった
でも、どうしてもやりたいことが有るから、お父さんとお母さんだけは明かすよ」
「そこまで言うのなら聞かせてもらおう。
エヴィーたちに聞かれないように、家でもどこでも、お母さんとも話さないようにするから安心しろ」
「ケーンがそこまで心配するような秘密なら、お父さんとも話さないから安心して」
「うん、ありがとう、誰にも聞かれないように、西里山に造った家の中で話すよ」
そう言ってお父さんとお母さんを西里山に造った家に案内した。
5重の蔦壁だけでなく、その外側に広がる家畜を住まわせる2重の蔦壁ができているが、牛や馬が暴れられるくらい高く広くしてある。
「ケーンの神与のスキルがとんでもないモノだと知っている心算だったが、改めてとんでもないモノだと思う」
「本当ね、これだけの広さがある厩なら、500頭、いえ、1000頭は飼えるわ」
「それに、周囲が全て餌代わりになる蔦壁だ、こちらが餌をやる必要もない」
「この中なら誰にも聞かれる心配がないから正直に話すよ。
僕の神与スキルのなかに、鶏を進化させるモノがあったんだ」
「はぁあ、鶏を進化させるスキルだと?!」
「ケーン、それは3つ目のスキルでしょ?」
「違うんだ、分かるんだ、木属性魔術の中に鶏を進化させるスキルが含まれるんだ。
風魔術が木属性魔術に含まれるのと同じだよ」
「なるほど、確かに前もって知っていなければ、風魔術が木属性魔術の中に含まれると思わないかもしれないな」
「そうね、よく考えてみたら、風魔術だけでなく雷魔術が木属性魔術に含まれるのも、当たり前だと思っていなかれば不思議よね。
7大属性ではなく、9大属性でも良いのに、風と雷が木属性の中にあるし、どちらか1つが火や水に含まれてもおかしくないモノね」
「お父さんとお母さんが分かってくれてよかったよ。
覚えているかな、僕が可愛がっていた鶏が、大きくなって飛ぶようになったのを」
「ああ、覚えているぞ、ツバメのように村を一周するから驚いた」
「ええ、大きくなっていたから、魔鳥が来たのかと剣を抜きそうになったわ」
「あいつらは逃げたと言ったけど、嘘なんだ。
あまりに大きく強くなり過ぎて、このまま村に置いていたら、また嫌な顔をされると思って、奥山で育てる事にしたんだ」
「……村の衆だけではなく、お父さんとお母さんに隠さなければいけないほと、大きく強く進化したと言うのだな?」
「うん」
「ケーン、貴男が育てたのだから、貴男には逆らわないのよね?」
「うん、絶対に逆らわないよ」
「よかった、だったらどれだけ大きく強くなっても気にしないわ。
何かあったらケーンを守ってくれるのよね?」
「うん、何かあったら必ず守ってくれるよ」
「じゃああたしからは何も言う事はないわ、アラミスはある?」
「ケーン、その鶏は、牛や馬くらい大きくなっているのか?」
「……その程度ではなく、伝説の怪鳥、ロックくらいの大きさだよ」
肉や卵を食べる家族に気を使わせないようした。
「お父さん、お母さん、おはよう」
「ああ、おはよう、今日も手伝ってくれるのか?」
「うん、僕が実らせたら家の分は休んで共同分だけですればいいのでしょ?」
「そうだな、もう食べ切れないくらいの大麦とライ麦が蓄えてある。
小麦だって家の分は無理に売る事もない。
ケーンが家のいる間は共有仕事以外は休むよ」
「私も今日は畑東門の当番があるだけよ」
村で戦う役をしているお父さんとお母さんは、共有の畑仕事は少ないが、その分里山での狩りや内山の巡回が多かった。
今では巡回が無くったかれど、その分が門番仕事になっている。
主な門は村の忠臣に入る1つと果樹林の2つ、畑の2つを合わせて5つだ。
他の門は閉めっぱなしでもどうにかなる。
田舎の開拓村だから、1月に1度やってくる行商隊以外は誰も来ない。
普通なら門番などいらないのだが、エリクサー薬草を育てられるようになったので、多少は警戒しなければいけなくなった。
「お父さんとお母さんに話さなければいけない事があるんだ。
これまで秘密にしていた事だけで、夢をかなえるために明かす事にしたんだ」
前世では嘘をついてはいけないと言われていた。
でもこの世界では、互いを守るための嘘は必要だと言われた。
それも、神々に使える神官に言われたのだから、僕が嘘ついても怒られない。
ただ、どうしても前世の考えに引っ張られてしまう。
嘘をつくのも秘密を作るのも胸が痛くなる。
特にお父さんとお母さんに嘘をつき秘密を作るのは苦しかった。
自分の夢をかなえるためという理由があれば、これまで秘密にしていた事を口にする事ができる。
「無理をしなくても良いのだぞ、隠しておいた方が、ケーンのためになるのなら、いくらでも嘘をついていいし、隠していても良いのだぞ」
「そうよ、これからも行商を続けるのなら、同じ行商人にも油断をしては駄目。
特に神与スキルに関する事は、隠し続けないといけないわよ」
お父さんとお母さんには、身体強化ができる事を話している。
それに関連した秘密なら、特に明かす必要はないと言ってくれているのかな?
それとも、3つ目の神与スキルを明かすと思っているのかな?
「これまでは、誰かに知られてしまって、また怖いモノを見るような顔をされたくなくて、黙ってた。
お父さんとお母さんなら、僕を嫌いになったりしないと思っているけど、妹たちはまだ小さいから、何かの拍子に聞かれる事の無いように教えなかった
でも、どうしてもやりたいことが有るから、お父さんとお母さんだけは明かすよ」
「そこまで言うのなら聞かせてもらおう。
エヴィーたちに聞かれないように、家でもどこでも、お母さんとも話さないようにするから安心しろ」
「ケーンがそこまで心配するような秘密なら、お父さんとも話さないから安心して」
「うん、ありがとう、誰にも聞かれないように、西里山に造った家の中で話すよ」
そう言ってお父さんとお母さんを西里山に造った家に案内した。
5重の蔦壁だけでなく、その外側に広がる家畜を住まわせる2重の蔦壁ができているが、牛や馬が暴れられるくらい高く広くしてある。
「ケーンの神与のスキルがとんでもないモノだと知っている心算だったが、改めてとんでもないモノだと思う」
「本当ね、これだけの広さがある厩なら、500頭、いえ、1000頭は飼えるわ」
「それに、周囲が全て餌代わりになる蔦壁だ、こちらが餌をやる必要もない」
「この中なら誰にも聞かれる心配がないから正直に話すよ。
僕の神与スキルのなかに、鶏を進化させるモノがあったんだ」
「はぁあ、鶏を進化させるスキルだと?!」
「ケーン、それは3つ目のスキルでしょ?」
「違うんだ、分かるんだ、木属性魔術の中に鶏を進化させるスキルが含まれるんだ。
風魔術が木属性魔術に含まれるのと同じだよ」
「なるほど、確かに前もって知っていなければ、風魔術が木属性魔術の中に含まれると思わないかもしれないな」
「そうね、よく考えてみたら、風魔術だけでなく雷魔術が木属性魔術に含まれるのも、当たり前だと思っていなかれば不思議よね。
7大属性ではなく、9大属性でも良いのに、風と雷が木属性の中にあるし、どちらか1つが火や水に含まれてもおかしくないモノね」
「お父さんとお母さんが分かってくれてよかったよ。
覚えているかな、僕が可愛がっていた鶏が、大きくなって飛ぶようになったのを」
「ああ、覚えているぞ、ツバメのように村を一周するから驚いた」
「ええ、大きくなっていたから、魔鳥が来たのかと剣を抜きそうになったわ」
「あいつらは逃げたと言ったけど、嘘なんだ。
あまりに大きく強くなり過ぎて、このまま村に置いていたら、また嫌な顔をされると思って、奥山で育てる事にしたんだ」
「……村の衆だけではなく、お父さんとお母さんに隠さなければいけないほと、大きく強く進化したと言うのだな?」
「うん」
「ケーン、貴男が育てたのだから、貴男には逆らわないのよね?」
「うん、絶対に逆らわないよ」
「よかった、だったらどれだけ大きく強くなっても気にしないわ。
何かあったらケーンを守ってくれるのよね?」
「うん、何かあったら必ず守ってくれるよ」
「じゃああたしからは何も言う事はないわ、アラミスはある?」
「ケーン、その鶏は、牛や馬くらい大きくなっているのか?」
「……その程度ではなく、伝説の怪鳥、ロックくらいの大きさだよ」
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