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解放

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 余のチャーム・ドレインは、急激にダイから魔力を奪っていく。
 ダイも必死で魔力を錬ろうとしているが、余が奪う速度の方が早い。
 魔王であろうと、これほどの速度で魔力を奪う事は出来ないだろう。
 いや、そもそも魔王ごときが、圧倒的な実力差があるダイから魔力を奪う事など出来ない。
「ウガァルルゥ」
 ダイが今ある魔力でブレスと攻撃魔法を数百放ってきた。
 龍級ブレス一発と、緋緋色金級攻撃魔法を三百五十七も放ったのだ。
 余とガビが創り出す、重層防御魔法陣による隔離空間を破壊するには、一点突破よりも、同時多発的な攻撃が有効だと判断したのだろう。
 もしくは、このままでは全ての魔力を奪われると判断して、今ある魔力に全てを賭けて、行ったことのない攻撃に賭けたのだろう。
 だが、このような攻撃も予測済みだ。
 龍級ブレスは当然防いだが、同時に三百五十七発の緋緋色金級攻撃魔法も防ぎ切った。
 各属性に分けて攻撃すると言う、ダイの工夫には応じず、属性のない純粋な防御魔法で受けきった。
 全ての属性攻撃に対して、五行思想に応じた有利な属性で受ける事も出来たが、そんな事に気を使う余裕などないのだ。
「ウガァルルゥ」
 案の定ダイが体当たりを仕掛けてきた。
 圧倒的な強者である龍形態のダイが、身体能力の全てを使い、全ての物質の中で一番強固な角を振りかざし、重層防御魔法陣を打ち破ろうと、体当たりを仕掛けてきたのだ。
 これを予測していたからこそ、属性対応をせずに、臨機応変に対応する余裕を残していたのだ。
グシャギャシャガリバシャァァァァ
 余裕を持って、重層防御魔法陣を次々と展開する。
 ダイの突進力を削ぐために、体当たりを仕掛けてくるのを感じて直ぐに、ダイの直ぐ前に重層防御魔法陣を展開したのだ。
 助走距離が取れないので、ダイは龍形態を上手くくねらせ回転させることで、勢いをつけて体当たりを仕掛けてきた。
 次々と重層防御魔法陣を破壊して、隔離空間から出ようとした。
 余が奪い続ける残り少ない魔力を使い、身体強化を行い、重層防御魔法陣を破壊し続けた。
 余も負けることなく、重層防御魔法陣を創り出し続けた。
 気持ち的には永遠の時間かと思える攻防だったが、実際はチャーム・ドレインによる魔力奪取が効果をあげていて、意外に早くダイが弱くなった。
 全く弱くなったわけではなく、純粋な龍の身体能力は残ったままだから、魔王よりも強いと思う。
 だが魔力による身体強化はないし、攻撃魔法も防御魔法も使えない。
 好機を逃さず、狂気から解放させるべく、残る魔力を駆使して、超龍級治癒魔法を放った。
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