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プロローグ
ベル王家
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「父王陛下、私が国を出ましょう」
「それは駄目だよルイ、王宮を出たとたん魔族に殺されてしまうよ」
「ですがマックス兄さん。僕が王宮を出なければ、エステ王国は攻め込んできますよ」
「例えエステ王国が軍を派遣してきても、我が国は負ないよ」
「ですが兄さん、勝つことは出来ても多くの国民が傷付き死んでしまいます」
「そうだぞマックス、ただ勝てばいいと言う訳でなないよ。戦争にすることなく、ルイを護る方法を考えるんだ」
「はい、父王陛下」
「しかしあの根性悪王女は、何を考えて嘘八百並べ立てて、戦争の理由にするんだ。ルイには既に美しい婚約者がいるし、我が国の王族は他国に人間との婚姻を禁じられているのに」
「それなのだがオットー、気分の悪い話なのだが、エミネ王女は自分よりも美しい人間を、魔族を使って殺しているようなのだ」
「何と下劣な! ではエステ王国が我が国に無理難題を言ってきたのは、ルイがエミネ王女よりも美しいと言うだけの事なのですか。ルイがエミネ王女に無礼で破廉恥な文を送ったと言うのは、ただの言いがかりなのですか!?」
「忍びの調べではそのようだ、マックス」
「父王陛下、そのようは身勝手な理由で戦争を起こすような王女を見過ごしにはできませんわ。私が直接殺しに行きます」
「まあ待て、マティ。エミネ王女の言い分を認めるわけにはいかないが、戦争を始めて国民を苦しめるわけにもいかないのだ」
「では父王陛下は、このままルイをエミネ王女の身勝手の犠牲にしろと言われるのですか」
「そんなことは言わないよ。だけどねマティ、エミネ王女が魔族に操られている可能性もあるのだよ」
「だったらなおさら、エミネ王女を倒してしまった方がいいのではありませんか」
「敵の国に入ると言うのは不利だよ」
「ではどうしろと言うのですか?」
「誘い出すのだよ」
「どうやって誘い出すのですか」
「ルイが既に武者修行の旅に出ていないと言って、文を出すこともないときっぱりとエステ王国には言い切る」
「ルイを王宮から出すと言われるのですか?! それは危険です!」
「それは大丈夫ですよ、マティ姉さん。父王陛下が王家指折りの忍者を護衛につけてくれるそうです」
「それでも危険です!」
「待ちなさい、マティ」
「母上様までルイを危険にさらそうと言われるのですか!」
「ルイを南にやると言う事は、敵は自国を出て我が国を通過してルイを狙うと言う事です。我が国を通るなら、余裕をもって敵の刺客を排除できると言うものです」
「なるほど、敵の戦力を削るのですね」
「そうですよ、マックス」
ベル王家は、大切な家族を殺そうとしたエミネ王女と魔族を許す気などなかった。
だがその為に罪もない国民を戦争に巻き込むことは出来なかった。
それは自国民だけではなく、エステ王国の国民をも思いやっての事だった。
王女の中には、自らエステ王国に乗り込んでエミネ王女を打ち倒すと言う者もいたが、何も危険を押して敵国に乗り込まなくても、自国で迎え討つ方が安全だと父王陛下にも王妃殿下にも言い聞かされ、渋々了承することになった。
一方標的にされた第三王子:ルイトポルト・カール・ルートヴィヒ・ベルは、むしろ堅苦しい王宮から出られて、自由を謳歌できる機会を楽しみにしていた。
その自信は、すでに何度もエミネ王女が放った魔族の刺客を返り討ちしたことから来ていた。
そうなのだ、ルイトポルト王子は刺客を生業とするような強い魔族を返り討ち出来るほど、強い力を持った王子なのだ!
「ベル王家」
国王 :ルートヴィヒ・カール・アウグスト・ベル
王妃 :テレーゼ・シャルロッテ・ルイーゼ・ベル
王太子 :マクシミリアン・ヨーゼフ・ルードヴィヒ・ベル
第一王女:マティルデ・カロリーネ・ベル
第二王子:オットー・フリードリヒ・ルートヴィヒ・ベル
第二王女:テオドリンデ・シャルロッテ・ルイーゼ・ベル
第三王子:ルイトポルト・カール・ルートヴィヒ・ベル
第三王女:アーデルグンデ・アウグステ・シャルロッテ・ベル
第四王女:ヒルデガルト・ルイーゼ・シャルロッテ・ベル
第五王女:アレクサンドラ・アマーリエ・テレジア・ベル
第四王子:アーダルベルト・ヴィルヘルム・ルートヴィヒ・ベル
「それは駄目だよルイ、王宮を出たとたん魔族に殺されてしまうよ」
「ですがマックス兄さん。僕が王宮を出なければ、エステ王国は攻め込んできますよ」
「例えエステ王国が軍を派遣してきても、我が国は負ないよ」
「ですが兄さん、勝つことは出来ても多くの国民が傷付き死んでしまいます」
「そうだぞマックス、ただ勝てばいいと言う訳でなないよ。戦争にすることなく、ルイを護る方法を考えるんだ」
「はい、父王陛下」
「しかしあの根性悪王女は、何を考えて嘘八百並べ立てて、戦争の理由にするんだ。ルイには既に美しい婚約者がいるし、我が国の王族は他国に人間との婚姻を禁じられているのに」
「それなのだがオットー、気分の悪い話なのだが、エミネ王女は自分よりも美しい人間を、魔族を使って殺しているようなのだ」
「何と下劣な! ではエステ王国が我が国に無理難題を言ってきたのは、ルイがエミネ王女よりも美しいと言うだけの事なのですか。ルイがエミネ王女に無礼で破廉恥な文を送ったと言うのは、ただの言いがかりなのですか!?」
「忍びの調べではそのようだ、マックス」
「父王陛下、そのようは身勝手な理由で戦争を起こすような王女を見過ごしにはできませんわ。私が直接殺しに行きます」
「まあ待て、マティ。エミネ王女の言い分を認めるわけにはいかないが、戦争を始めて国民を苦しめるわけにもいかないのだ」
「では父王陛下は、このままルイをエミネ王女の身勝手の犠牲にしろと言われるのですか」
「そんなことは言わないよ。だけどねマティ、エミネ王女が魔族に操られている可能性もあるのだよ」
「だったらなおさら、エミネ王女を倒してしまった方がいいのではありませんか」
「敵の国に入ると言うのは不利だよ」
「ではどうしろと言うのですか?」
「誘い出すのだよ」
「どうやって誘い出すのですか」
「ルイが既に武者修行の旅に出ていないと言って、文を出すこともないときっぱりとエステ王国には言い切る」
「ルイを王宮から出すと言われるのですか?! それは危険です!」
「それは大丈夫ですよ、マティ姉さん。父王陛下が王家指折りの忍者を護衛につけてくれるそうです」
「それでも危険です!」
「待ちなさい、マティ」
「母上様までルイを危険にさらそうと言われるのですか!」
「ルイを南にやると言う事は、敵は自国を出て我が国を通過してルイを狙うと言う事です。我が国を通るなら、余裕をもって敵の刺客を排除できると言うものです」
「なるほど、敵の戦力を削るのですね」
「そうですよ、マックス」
ベル王家は、大切な家族を殺そうとしたエミネ王女と魔族を許す気などなかった。
だがその為に罪もない国民を戦争に巻き込むことは出来なかった。
それは自国民だけではなく、エステ王国の国民をも思いやっての事だった。
王女の中には、自らエステ王国に乗り込んでエミネ王女を打ち倒すと言う者もいたが、何も危険を押して敵国に乗り込まなくても、自国で迎え討つ方が安全だと父王陛下にも王妃殿下にも言い聞かされ、渋々了承することになった。
一方標的にされた第三王子:ルイトポルト・カール・ルートヴィヒ・ベルは、むしろ堅苦しい王宮から出られて、自由を謳歌できる機会を楽しみにしていた。
その自信は、すでに何度もエミネ王女が放った魔族の刺客を返り討ちしたことから来ていた。
そうなのだ、ルイトポルト王子は刺客を生業とするような強い魔族を返り討ち出来るほど、強い力を持った王子なのだ!
「ベル王家」
国王 :ルートヴィヒ・カール・アウグスト・ベル
王妃 :テレーゼ・シャルロッテ・ルイーゼ・ベル
王太子 :マクシミリアン・ヨーゼフ・ルードヴィヒ・ベル
第一王女:マティルデ・カロリーネ・ベル
第二王子:オットー・フリードリヒ・ルートヴィヒ・ベル
第二王女:テオドリンデ・シャルロッテ・ルイーゼ・ベル
第三王子:ルイトポルト・カール・ルートヴィヒ・ベル
第三王女:アーデルグンデ・アウグステ・シャルロッテ・ベル
第四王女:ヒルデガルト・ルイーゼ・シャルロッテ・ベル
第五王女:アレクサンドラ・アマーリエ・テレジア・ベル
第四王子:アーダルベルト・ヴィルヘルム・ルートヴィヒ・ベル
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