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第8話:断罪の炎

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 戦後の調査で私の力のついて色々分かりました。
 呪文通り、極悪非道な人間が焼き殺されるのは間違いありません。

 ですが、共に炎に焼かれても、罪のない者は痛みの熱も感じないそうです。
 徴発と称して行軍中に略奪、暴行、強姦を行った者は当然焼き殺されましたし、見て見ぬふりをした者も焼き殺されましたが、止めようとした者は殺されなかった。

 罪のない者、善良な者が焼かれない事は、騎士が跨っていた軍馬、物資を運んでいた駄馬や驢馬が一頭も焼き殺されていない事でも明らかでした。
 この調査結果を知り、私の決意が完全に固まりました。

「父上、王家王国を滅ぼしましょう、民の生活を少しでも良くしましょう」

「私が王となったら、跡を継ぐのはお前になる。
 何年何十年も民の生活と命を背負うのは辛いぞ、それでも良いのか?」

「誰かがやらなければいけない事なのに、適任者が私しかいないのなら、どれほど辛くてもやり遂げて見せます」

「分かった、だったら王家王国を滅ぼして我が家が新たな国を建てよう」

 父上と私は王家王国に叛旗を翻しました。
 堕落した教会を改めて背教徒と断じ、滅ぼす事を宣言しました。

 私達は破竹の勢いで進軍しました。
 最初に王家王国軍と義教軍を皆殺しにした事が大きかったのでしょう。

 普通なら前軍の戦力が半分も失われたら、中央軍や後軍から逃亡者が現われ、裏崩れや友崩れが起きてしまいます。

 全戦力の三割が死傷したら全滅と判定されるのに、本当に皆殺しになっているのですから、これまでの戦いを知っている者が恐怖するのも当然です。

 多くの貴族士族が、戦うことなく父上に降伏臣従しました。
 極稀に狂信的な領主がいる城が籠城しましたが、私の力で瞬殺しました。

 敵味方に余計な死傷者を出したくありませんでしたし、我が家が王国を打ち立てた時に、余計な争いを起こさないように、私の力を見せつけておきたかったのです。

 王家王国を滅ぼす前に、主要な教会から滅ぼしました。
 王家が他国の逃げ出すのなら、それはそれで構いません。
 ですが、腐った神官が他国に逃げる事だけは許せなかったのです。

 他国に逃げた王族に力などありませんが、他国に逃げた神官、特に異端審問官は、他国でもこの国と同じように悪行重ねると思ったからです。

 国内にある全ての教会を滅ぼしてから王都を取り囲みました。
 僅かな直轄騎士や徒士以外は皆逃げ出しているようです。
 それでも、堅固な王都の護り、王城の護りを信じて逃げなかったのでしょう。

 ですが、私の力からは逃げられません。
 何人死ぬのか分かりませんが、王都全てに力を振るいます。
 もしかしたら、王都に住む三万人が皆殺しになるかもしれません。

 もう私の手は血塗れなので、今更躊躇ったりはしません。
 これからも神の御意志に従って、悪事を働く者は焼き殺すだけです。
 国が落ち着いたら、他国に逃げた神官の引き渡しを要求しなければいけません。

「悪魔よ、魔王よ、悪逆非道な者を焼き尽くす力を与えよ、地獄の業火!」
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