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第一章
第5話:報復
しおりを挟む「王太子殿下、本当にあのような貧弱な娘を正室にされるのですか?」
激しい性交の果てに、淫臭に満ちた室内で、妖艶な女が王太子に囁く。
この言葉には王太子を惑わす色香が含まれている。
いや、耳に言葉を囁きながら、身体中を使って王太子に快楽を与え、反論も疑問も思い浮かべられないようにしていた。
「しかたあるまい、あのようなチンケな娘を正妻にしたくはないが、神々の祝福が少なくなり、融水の量が減ってしまっているのだ。
神殿長の話も、王家の記録でも、こういう時は王家に聖女を迎えろとある」
悪女の誘惑に負けず、いや、負けたいのだが、幼い頃から教えられたこの国のしきたりは、そう簡単に捨てられない王太子だった。
「まあ、賢明な王太子殿下とも思えない事もおっしゃいます。
今の王国には、黒油があるではありませんか。
黒油を使って氷を溶かせば、聖女の力など不要でございます」
最初に王太子を愛撫していた女とは別の女が、巨大なベットの一角からにじり寄り、最初の女と共に王太子を愛撫し始めた。
驚くほど最初の女と似た女、それは双子の妹クララだった。
コサック侯爵家の双子の姉妹ハイディとクララは、その妖艶な姿態と鍛え抜いた性技を駆使して、王太子を籠絡しようとしていた。
そしてそれはほぼ達成されようとしていた。
「だが、だがそれでは、この国のしきたりが……」
「大丈夫でございますよ、王太子殿下。
しきたりなどは徐々に変わってゆくものでございます」
姉のハイディが、王太子を自分の上に受け入れながら耳元でささやく。
それだけではなく、妹のクララが王太子の背後からのしかかっている。
最初は優しく、徐々に強く、王太子を責める。
責められながら責める快感に、王太子は思わずうめいてしまう。
「だが、だが、父上が、国王陛下が反対されたら……」
「そのような心配は不用でございますよ、王太子殿下。
私達の叔母、王妃殿下が国王陛下を説得してくださいます。
私達と同じように、このようにして」
「「ふっふっふっふっふっふっ」」
双子の姉妹は妖艶に、でも、どこか蔑み嘲笑うかのように。
二人から見れば、王太子も国王も自堕落な馬鹿に過ぎない。
女の身体と性技に溺れ、政を放棄して後宮に籠るなど、為政者として失格だ。
だが、たいていの男は女の誘惑には抗えない。
王家を乗っ取り意のままに操る、コサック侯爵家の女系二代に渡る謀略が完成しようとしていた。
「では、では、ではこうしよう。
聖女は形だけの正妻にして神殿に飾り、実権は全て二人に与えよう」
王太子の最後の抵抗に、双子の悪女は顔を見合わせて最後の確認をした。
そしてある手段を取ることにした。
コサック侯爵家が多くの奴隷を犠牲にして完成させた秘薬、人を廃人にして意のままに操るための毒薬だ。
二人の悪女は、激しい交合で喉が渇いた王太子に、毒薬入りの酒を飲ませた。
激しい性交の果てに、淫臭に満ちた室内で、妖艶な女が王太子に囁く。
この言葉には王太子を惑わす色香が含まれている。
いや、耳に言葉を囁きながら、身体中を使って王太子に快楽を与え、反論も疑問も思い浮かべられないようにしていた。
「しかたあるまい、あのようなチンケな娘を正妻にしたくはないが、神々の祝福が少なくなり、融水の量が減ってしまっているのだ。
神殿長の話も、王家の記録でも、こういう時は王家に聖女を迎えろとある」
悪女の誘惑に負けず、いや、負けたいのだが、幼い頃から教えられたこの国のしきたりは、そう簡単に捨てられない王太子だった。
「まあ、賢明な王太子殿下とも思えない事もおっしゃいます。
今の王国には、黒油があるではありませんか。
黒油を使って氷を溶かせば、聖女の力など不要でございます」
最初に王太子を愛撫していた女とは別の女が、巨大なベットの一角からにじり寄り、最初の女と共に王太子を愛撫し始めた。
驚くほど最初の女と似た女、それは双子の妹クララだった。
コサック侯爵家の双子の姉妹ハイディとクララは、その妖艶な姿態と鍛え抜いた性技を駆使して、王太子を籠絡しようとしていた。
そしてそれはほぼ達成されようとしていた。
「だが、だがそれでは、この国のしきたりが……」
「大丈夫でございますよ、王太子殿下。
しきたりなどは徐々に変わってゆくものでございます」
姉のハイディが、王太子を自分の上に受け入れながら耳元でささやく。
それだけではなく、妹のクララが王太子の背後からのしかかっている。
最初は優しく、徐々に強く、王太子を責める。
責められながら責める快感に、王太子は思わずうめいてしまう。
「だが、だが、父上が、国王陛下が反対されたら……」
「そのような心配は不用でございますよ、王太子殿下。
私達の叔母、王妃殿下が国王陛下を説得してくださいます。
私達と同じように、このようにして」
「「ふっふっふっふっふっふっ」」
双子の姉妹は妖艶に、でも、どこか蔑み嘲笑うかのように。
二人から見れば、王太子も国王も自堕落な馬鹿に過ぎない。
女の身体と性技に溺れ、政を放棄して後宮に籠るなど、為政者として失格だ。
だが、たいていの男は女の誘惑には抗えない。
王家を乗っ取り意のままに操る、コサック侯爵家の女系二代に渡る謀略が完成しようとしていた。
「では、では、ではこうしよう。
聖女は形だけの正妻にして神殿に飾り、実権は全て二人に与えよう」
王太子の最後の抵抗に、双子の悪女は顔を見合わせて最後の確認をした。
そしてある手段を取ることにした。
コサック侯爵家が多くの奴隷を犠牲にして完成させた秘薬、人を廃人にして意のままに操るための毒薬だ。
二人の悪女は、激しい交合で喉が渇いた王太子に、毒薬入りの酒を飲ませた。
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