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第一章
第4話:守護神
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凍てつくような寒さの氷牢の中にとじこめられ、水をかけられるた辛さは、筆舌に尽くし難いものがある。
水が身体にかかった部分から一瞬で体温が奪われ、止めようとしても止められない激しい震えに襲われ、ガタガタと音がするかと思われるほどだ。
更に息をするだけで鼻の中から頭に激痛が走る。
いや、水がかかった身体中が激しい痛みを訴える。
「ああ、このままでは死んでしまいます。
駄目です、次代の聖女がいないのに、死ぬわけにはいきません」
これほどの虐待暴行を受けながら、聖女オリビアは他人を恨むよりも他人の心配をする、本当に心優しい聖女だった。
彼女が思う事はただ一つ、厳しい環境で何とか守護神様の加護で生きている極北の民を護る事、その為に守護神様に祈る事だった。
だが、どれほど聖女オリビアが民の事を想おうとも、それは一方通行だった。
そんな聖女オリビアが可愛くて仕方ないモノが、突然氷牢に現れた。
「やれ、やれ、本当に困った子だ、純粋なのにも程度があるだろう。
だが、まあ、なんだ、そこが可愛くて、守ってやりたいと思うのだがな。
しかしだ、その分下劣非道な人族が汚らわしく見える。
さてどうしたものか、聖女オリビアが気を失っているうちに滅ぼすか?」
現れたのは守護神ロキであった。
だがこの神、とても善神とは呼べない存在だった。
邪悪で移り気、狡猾で嘘つき、どちらかと言えば悪神といった方がいい性格だ。
しかし神としての力は非常に強く、平均的な神では全く歯が立たない。
人どころか神すら騙す変身能力があり、自分だけでなく他人まで変身させる。
「ふっ、そうだな、我が愛しい聖女にこれほどの危害を加えたのだ。
簡単に殺すなんて、生ぬるいな、絶望に泣き叫ぶような殺し方をしてやろう」
顔は笑ってたものの、ロキの腹の中は怒りが渦巻いていた。
胸には怒りの炎が燃え盛り、叩きつける相手を探し回っていた。
渦巻く怒りの炎を抑え込み、残虐にいたぶる方法を考えるロキの表情は、見ただけで人をショック死させるほど恐ろしいモノだ。
「まずは手始めに聖女の代わりとなるモノが必要だな。
双子も王太子も楽に殺すのは面白くないし、聖女の手を穢した近衛兵でいいか」
極北の国の守護神だったロキだが、この瞬間から守護神ではなくなった。
まずは聖女オリビアの手をとって穢した近衛兵を魔法で引き寄せ、人の皮に血を詰めたかと思われる状態になるほど殴った。
血豆ができる状態があるが、死なない程度に、だが激痛が身体中を駆け抜けるように神経を刺激しながら、身体中を殴りつけたのだ。
「もうピクリとも動かないか。
この状態では、殴っても面白くもなければ憂さ晴らしにならんな。
お前には死ねない魔法をかけてやる、聖女オリビアの代わりにここで寝ていろ」
水が身体にかかった部分から一瞬で体温が奪われ、止めようとしても止められない激しい震えに襲われ、ガタガタと音がするかと思われるほどだ。
更に息をするだけで鼻の中から頭に激痛が走る。
いや、水がかかった身体中が激しい痛みを訴える。
「ああ、このままでは死んでしまいます。
駄目です、次代の聖女がいないのに、死ぬわけにはいきません」
これほどの虐待暴行を受けながら、聖女オリビアは他人を恨むよりも他人の心配をする、本当に心優しい聖女だった。
彼女が思う事はただ一つ、厳しい環境で何とか守護神様の加護で生きている極北の民を護る事、その為に守護神様に祈る事だった。
だが、どれほど聖女オリビアが民の事を想おうとも、それは一方通行だった。
そんな聖女オリビアが可愛くて仕方ないモノが、突然氷牢に現れた。
「やれ、やれ、本当に困った子だ、純粋なのにも程度があるだろう。
だが、まあ、なんだ、そこが可愛くて、守ってやりたいと思うのだがな。
しかしだ、その分下劣非道な人族が汚らわしく見える。
さてどうしたものか、聖女オリビアが気を失っているうちに滅ぼすか?」
現れたのは守護神ロキであった。
だがこの神、とても善神とは呼べない存在だった。
邪悪で移り気、狡猾で嘘つき、どちらかと言えば悪神といった方がいい性格だ。
しかし神としての力は非常に強く、平均的な神では全く歯が立たない。
人どころか神すら騙す変身能力があり、自分だけでなく他人まで変身させる。
「ふっ、そうだな、我が愛しい聖女にこれほどの危害を加えたのだ。
簡単に殺すなんて、生ぬるいな、絶望に泣き叫ぶような殺し方をしてやろう」
顔は笑ってたものの、ロキの腹の中は怒りが渦巻いていた。
胸には怒りの炎が燃え盛り、叩きつける相手を探し回っていた。
渦巻く怒りの炎を抑え込み、残虐にいたぶる方法を考えるロキの表情は、見ただけで人をショック死させるほど恐ろしいモノだ。
「まずは手始めに聖女の代わりとなるモノが必要だな。
双子も王太子も楽に殺すのは面白くないし、聖女の手を穢した近衛兵でいいか」
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血豆ができる状態があるが、死なない程度に、だが激痛が身体中を駆け抜けるように神経を刺激しながら、身体中を殴りつけたのだ。
「もうピクリとも動かないか。
この状態では、殴っても面白くもなければ憂さ晴らしにならんな。
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