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13話

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 ようやくエレノアが眠ってくれました。
 この十日間がとても楽しかったのでしょう。
 私も愉しかったです。
 ですがそれもそろそろ終わりです。
 王都の状況がこれ以上待てない状況です。
 遠見の鏡で王都の詳細を確認してみました。

 王都の民は王城の城門を打ち破ったようです。
 内部に籠城していた者達から裏切者がでたようです。
 もう王族にはついていけないと思ったのでしょう。
 ですが裏切った者も悲惨です。
 民が約束を守らず、内通者も嬲り殺しにしたのです。

 一番堅牢な城門が一つ破られたら、あとは内部の門になります。
 多くの者が逃げ出して、護る者が少ない城ではあちらこちらに穴があります。
 多勢に無勢では、完全武装の騎士や徒士でも民に勝てないのです。
 そして徐々に、奪った武装を装備した民が強くなっています。
 あちらこちらで凌辱が始まりました。
 女ばかりではなく、男も襲われています。

 フィールド公爵家令嬢キアナが民に捕まりました。
 何十何百もの男に、同時に嬲り者にされています。
 今まで襲われていた令嬢や侍女の最後を考えれば、最後は松明の火で焼かれて、四肢を引き千切られて死ぬことになるでしょう。
 もしかしたら陰部から杭を突きたてられて殺されるかもしれません。

 アキーレヌ王太子も民に捕まったようです。
 数は少ないですが、同じように嬲り者にされています。
 特殊な趣味の男達もそれなりにいるようです。
 私が思っていたよりも数が多いですね。
 ですがキアナを襲う人間よりは少ないので、直ぐに私刑がはじまりました。

 民は長年の憂さ晴らしなのか、嗜虐心を満たしたいのか、とても残虐です。
 ワンパターンですが、松明の火を押し付けて火傷させています。
 身体中を焼いた後で、今度は爪を一枚ずつ剥がしています。
 その後で四肢の指をハンマーで叩き潰しています。
 もう全く動かなくなっています。
 最初に火傷をさせ過ぎて、途中で死んでしまったのでしょう。

 気になるのは王でしたが、王は後宮に立て籠もっているようです。
 後宮の外郭部には、信頼できる騎士や徒士を配備しています。
 魔法使いも全員ここに集めていたようです。
 王太子も大臣もいれず、お気に入りの女達と侍女、後宮を護る戦闘侍女で護りを固め、後宮の美女を手に入れようと何度も襲撃を繰り替えず民を撃退しています。
 もしかしたら、後宮は最後まで待ちこたえるかもしれません。
 魔が溢れるまではの話ですが。
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