3 / 7
2話
しおりを挟む
「お爺さん、お爺さん、だいじょぶですか?」
コボルトは必至で看病しました。
コボルトが目覚めた時、心優しいお爺さんは意識を失っていました。
三日間飲まず喰わず、不眠不休でコボルトを看病していた心優しいお爺さんは、コボルトが意識を取り戻すのを確かめたその場で、気を失ってしまったのです。
コボルト自分の姿を確認して、直ぐに助けられたことに気がつきました。
受けた恩には命懸けで報いるのがコボルトの掟です。
いえ、習性と言っていいくらい本能的な事です。
まあ、コボルト内にも種族があって、傲岸不遜な種族もいるのですが、少なくとも心優しいお爺さんに助けられたコボルトは、恩を返す事に命をかける性格です。
今度はコボルトが心優しいお爺さんを助けようとしました。
「大丈夫だ。
心配はいらないよ。
薬草を集めてある。
それを煎じて飲めば、君も私も元気になる。
今は眠らせてくれ」
心優しいお爺さんは一瞬意識を取り戻し、そう言ってまた昏倒しました。
コボルトは心配でしたが、まだ両の脚の骨が治っていません。
しかたなく心優しいお爺さんの言う通りにしました。
心優しいお爺さんは色々な準備をしてくれていました。
雨が降っても大丈夫な場所にコボルトを運び、炉も組んでくれていました。
沢山の竹を切り出し、水も蓄えてくれていました。
言葉通り、ケガ用の薬草だけでなく、滋養強壮になる薬草も集めてくれていましたが、唯一ないのが食糧でした。
しかたなくコボルトは、脚の負担をかけないですむ範囲の地面を掘り、ミミズや昆虫の幼虫を集め、食糧としました。
昏倒した心優しいお爺さんは、直ぐに高熱を発してしまいました。
コボルトは心優しいお爺さんが用意した薬草を調合して、舌を上手に使って口移しで飲ませてあげました。
それはミミズと幼虫のスープも同じです。
ミミズは熱さましの薬にもなるので、コボルトは一生懸命探しました。
お爺さんは丸一日眠っていましたが、半日程度で熱が下がりました。
薬草とミミズの効果でした。
それに加えてコボルトの豊かな毛並みが、心優しいお爺さんを寒さから救い、健康を取り戻す助けとなりました。
コボルトの骨折は急速に治りました。
人間なら六週間かかるところが、このコボルトは一週間で治りました。
コボルト族の中でも能力が高いのか、神の恩寵があるのかもしれません。
「お爺さん、お名前を教えてくださいますか?
恩人の名前を知らないではいられません。
それと私に名前を付けてください。
恩を返すまではその名を名乗らせていただきます」
コボルトは必至で看病しました。
コボルトが目覚めた時、心優しいお爺さんは意識を失っていました。
三日間飲まず喰わず、不眠不休でコボルトを看病していた心優しいお爺さんは、コボルトが意識を取り戻すのを確かめたその場で、気を失ってしまったのです。
コボルト自分の姿を確認して、直ぐに助けられたことに気がつきました。
受けた恩には命懸けで報いるのがコボルトの掟です。
いえ、習性と言っていいくらい本能的な事です。
まあ、コボルト内にも種族があって、傲岸不遜な種族もいるのですが、少なくとも心優しいお爺さんに助けられたコボルトは、恩を返す事に命をかける性格です。
今度はコボルトが心優しいお爺さんを助けようとしました。
「大丈夫だ。
心配はいらないよ。
薬草を集めてある。
それを煎じて飲めば、君も私も元気になる。
今は眠らせてくれ」
心優しいお爺さんは一瞬意識を取り戻し、そう言ってまた昏倒しました。
コボルトは心配でしたが、まだ両の脚の骨が治っていません。
しかたなく心優しいお爺さんの言う通りにしました。
心優しいお爺さんは色々な準備をしてくれていました。
雨が降っても大丈夫な場所にコボルトを運び、炉も組んでくれていました。
沢山の竹を切り出し、水も蓄えてくれていました。
言葉通り、ケガ用の薬草だけでなく、滋養強壮になる薬草も集めてくれていましたが、唯一ないのが食糧でした。
しかたなくコボルトは、脚の負担をかけないですむ範囲の地面を掘り、ミミズや昆虫の幼虫を集め、食糧としました。
昏倒した心優しいお爺さんは、直ぐに高熱を発してしまいました。
コボルトは心優しいお爺さんが用意した薬草を調合して、舌を上手に使って口移しで飲ませてあげました。
それはミミズと幼虫のスープも同じです。
ミミズは熱さましの薬にもなるので、コボルトは一生懸命探しました。
お爺さんは丸一日眠っていましたが、半日程度で熱が下がりました。
薬草とミミズの効果でした。
それに加えてコボルトの豊かな毛並みが、心優しいお爺さんを寒さから救い、健康を取り戻す助けとなりました。
コボルトの骨折は急速に治りました。
人間なら六週間かかるところが、このコボルトは一週間で治りました。
コボルト族の中でも能力が高いのか、神の恩寵があるのかもしれません。
「お爺さん、お名前を教えてくださいますか?
恩人の名前を知らないではいられません。
それと私に名前を付けてください。
恩を返すまではその名を名乗らせていただきます」
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
王女殿下の秘密の恋人である騎士と結婚することになりました
鳴哉
恋愛
王女殿下の侍女と
王女殿下の騎士 の話
短いので、サクッと読んでもらえると思います。
読みやすいように、3話に分けました。
毎日1回、予約投稿します。
選ばれたのは美人の親友
杉本凪咲
恋愛
侯爵令息ルドガーの妻となったエルは、良き妻になろうと奮闘していた。しかし突然にルドガーはエルに離婚を宣言し、あろうことかエルの親友であるレベッカと関係を持った。悔しさと怒りで泣き叫ぶエルだが、最後には離婚を決意して縁を切る。程なくして、そんな彼女に新しい縁談が舞い込んできたが、縁を切ったはずのレベッカが現れる。
【完結】27王女様の護衛は、私の彼だった。
華蓮
恋愛
ラビートは、アリエンスのことが好きで、結婚したら少しでも贅沢できるように出世いいしたかった。
王女の護衛になる事になり、出世できたことを喜んだ。
王女は、ラビートのことを気に入り、休みの日も呼び出すようになり、ラビートは、休みも王女の護衛になり、アリエンスといる時間が少なくなっていった。
紫灰の日時計
二月ほづみ
恋愛
帝位継承の証である菫色を片眼に宿すエリンは、運命による死から逃れ皇女の従者となる。
玉座を約束された少女を護る「剣」としての日々の始まりは、儚い主君への思慕の序章でもあった──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる