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第二章

31話

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「ルーク、村々に近い大魔境に、税を治める為の安全な場所は設けられないかしら?」

 私は狩人や冒険者の事が心配でした。
 ルークに税を納めないで大魔境から出てしまうと、彼らはでんでん虫にされてしまいます。
 しかし私達しか国民がいないオリビア王国です。
 彼らに都合のいい時間や場所で税を徴収するなど不可能です。
 大魔境の中を歩いてこの城に来いと言うのは、死ねと言うのと同じです。

 ですから、ルークが見回りに行くまでの間、安全に過ごせる場所を与えてやりたかったのです。
 ルークの力なら、各村に近い大魔境内に小さな砦を築く事ができると思ったのですすが、それは私の思い違いでした。
 ルークの力はそんなモノではありませんでした。
 
「できるよ。この城くらいの大きさでいいの?
 それともトーレス城くらいの大きさにする?
 どうせならお姉ちゃんの御城も創ろうよ!
 とっても大きくて、とっても高くて、とっても綺麗なお城にするよ!」

「ありがとう、ルーク。
 でも私はこのお城が気に入っているから大丈夫よ。
 それに御願いしているのは猟師や冒険者が使う物よ。
 そんなに大きくなくていいのよ。
 あ、でも、ルークには税を集めに行ってもらわないといけないから、ルークが過ごし易いくらいの大きさと設備は必要になるわ」

「えぇぇぇぇ!
 嫌だよ。
 そんな余計なことしたくないよ」

 困りました。
 ルークが駄々をこね始めました。
 ですがよく考えれば、ルークに直接税を集めてもらうのは問題があります。
 ルークに自覚はありませんが、ルークは王様なのです。
 その王様が直接狩人や冒険者から税を徴収するのでは、威厳が欠けてしまいます。
 徴税役の家臣を召し抱えないといけません。

「だったら徴税の役人を召し抱えましょう。
 その者をルークが創ってくれる砦に置いて、税を集めさせましょう」

「えぇぇぇぇ!
 僕とお姉ちゃん以外の人間なんていらないよ!
 僕は嫌だからね。
 絶対嫌だからね。
 このお城も、新しく創り出す砦も、僕とお姉ちゃんだけ!
 狩人や冒険者は、このお城のようにお城の外に集めればいいよ」

 困りました。
 本当に困ってしまいます。
 本当は税など不要なのですが、国と言う形態にした以上、けじめが必要です。
 ですが、ちょっとおかしいですね?
 ルークと私だけと言っていますが、半人間は城の中にいます。
 以前私が考えていたように、ルークの中では人間ではないのですね。

「半人間達が城の中にいるけれど、彼らは大丈夫なの?」

「こいつらは大丈夫だよ。
 こいつらは悪意がないもの。
 こいつらは僕の可愛い子分だよ」

 そうですか。
 だったら遣り様があるかもしれません。
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