上 下
8 / 63
第一章

ルーク視点

しおりを挟む
 僕のお姉ちゃんは可愛い。 
 僕のお姉ちゃんは美しい。
 僕のお姉ちゃんは優しい。
 僕のお姉ちゃんは正しい。
 僕のお姉ちゃんは凛々しい

 お姉ちゃんは僕を抱っこしてくれる。
 お姉ちゃんは僕を撫でてくれる
 お姉ちゃんは僕をおんぶしてくれる。
 お姉ちゃんは僕を愛してくれる
 お姉ちゃんは僕を守ってくれる。

 お姉ちゃんは僕と一緒に散歩してくれる。
 お姉ちゃんは僕と一緒に遊んでくれる。
 お姉ちゃんは僕と一緒に寝てくれる。
 お姉ちゃんは僕と一緒に御飯を食べてくれる
 お姉ちゃんは僕と一緒に居てくれるのだ!

 絶対に許さない。
 お姉ちゃんを僕から引き離そうとする奴を許さない
 僕からお姉ちゃんを奪う奴は絶対に許さない。
 殺す。
 誰であろうと殺す。

 でもお姉ちゃんが哀しむのは嫌だ。
 ネイサンは嫌いだ。
 だから殺したい。
 でも殺したらお姉ちゃんが哀しむ。
 だから殺さない。

 エリアスも嫌いだ。
 だから殺したい。
 でも殺したらお姉ちゃんが哀しむ。
 だから殺さない。

「君たちはどう思う。
 王を殺した方がいい?
 王太子を殺した方がいい?
 ナオミを殺した方がいい?
 返事しろよ」

 大疣蛙は返事しない。
 疣豚も返事しない。
 大疣鼠も返事しない。
 大疣蚯蚓も返事しない。
 哀しそうにするだけだ。

 仕方がないから顔だけ元に戻してやる。
 顔があれば返事するだろう。
 殺してもよかったけど、殺すとお姉ちゃんが怒る。
 哀しそうに怒る。
 お姉ちゃんの哀しそうな顔は見たくない。

 だから殺さなかった。
 僕を殺そうとしたけど、殺さなかった。
 本当は殺したかったけど、殺さなかった。
 だから使う。
 役に立たなかったら、ここに捨てる。

「助けてください」
「許してください」
「王太子に命令されたんです」
「好きでやったんじゃないんです」
「仕方なかったんです」
「御願いです、許してください」

 煩い。
 助けてやったのに、煩い。
 顔を作ってやったのに、煩い
 僕が聞きたいのは、それじゃない。
 聞きたいことを言わないなら、顔などいらない。
 元に戻して静かにさせる。

 お姉ちゃんはどうして欲しいのかな?
 どうすればお姉ちゃんは喜ぶかな?
 王太子を殺したら喜んでくれるかな?
 それとも哀しんでしまうかな?
 お姉ちゃんに喜んで欲しいな。

 お姉ちゃんが頼むから、王宮に来たけど、お姉ちゃんと一緒にいられなのは嫌だ。
 もうやめる。
 僕を殺そうとしたモノは変化させる。
 殺すとお姉ちゃんが哀しそうにするから殺さない。
 でもお姉ちゃんを傷つけようとするモノや、哀しませるモノは殺す。
 直ぐお姉ちゃんの所に行きたい。

 お姉ちゃんに頭をなでてもらう。
 お姉ちゃんに抱きしめてもらう。
 お姉ちゃんに膝枕してもらう。
 お姉ちゃんにご飯を食べさせてもらう。
 お姉ちゃんに添い寝してもらう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

馬鹿王子にはもう我慢できません! 婚約破棄される前にこちらから婚約破棄を突きつけます

白桃
恋愛
子爵令嬢のメアリーの元に届けられた婚約者の第三王子ポールからの手紙。 そこには毎回毎回勝手に遊び回って自分一人が楽しんでいる報告と、メアリーを馬鹿にするような言葉が書きつられていた。 最初こそ我慢していた聖女のように優しいと誰もが口にする令嬢メアリーだったが、その堪忍袋の緒が遂に切れ、彼女は叫ぶのだった。 『あの馬鹿王子にこちらから婚約破棄を突きつけてさしあげますわ!!!』

側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。

とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」 成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。 「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」 ********************************************        ATTENTION ******************************************** *世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。 *いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。 *R-15は保険です。

記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。

せいめ
恋愛
 メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。  頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。   ご都合主義です。誤字脱字お許しください。

【完結】婚約破棄にて奴隷生活から解放されたので、もう貴方の面倒は見ませんよ?

かのん
恋愛
 ℌot ランキング乗ることができました! ありがとうございます!  婚約相手から奴隷のような扱いを受けていた伯爵令嬢のミリー。第二王子の婚約破棄の流れで、大嫌いな婚約者のエレンから婚約破棄を言い渡される。  婚約者という奴隷生活からの解放に、ミリーは歓喜した。その上、憧れの存在であるトーマス公爵に助けられて~。  婚約破棄によって奴隷生活から解放されたミリーはもう、元婚約者の面倒はみません!  4月1日より毎日更新していきます。およそ、十何話で完結予定。内容はないので、それでも良い方は読んでいただけたら嬉しいです。   作者 かのん

婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです

秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。 そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。 いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが── 他サイト様でも掲載しております。

【完結】選ばれなかった王女は、手紙を残して消えることにした。

曽根原ツタ
恋愛
「お姉様、私はヴィンス様と愛し合っているの。だから邪魔者は――消えてくれない?」 「分かったわ」 「えっ……」 男が生まれない王家の第一王女ノルティマは、次の女王になるべく全てを犠牲にして教育を受けていた。 毎日奴隷のように働かされた挙句、将来王配として彼女を支えるはずだった婚約者ヴィンスは──妹と想いあっていた。 裏切りを知ったノルティマは、手紙を残して王宮を去ることに。 何もかも諦めて、崖から湖に飛び降りたとき──救いの手を差し伸べる男が現れて……? ★小説家になろう様で先行更新中

病弱な幼馴染と婚約者の目の前で私は攫われました。

恋愛
フィオナ・ローレラは、ローレラ伯爵家の長女。 キリアン・ライアット侯爵令息と婚約中。 けれど、夜会ではいつもキリアンは美しく儚げな女性をエスコートし、仲睦まじくダンスを踊っている。キリアンがエスコートしている女性の名はセレニティー・トマンティノ伯爵令嬢。 セレニティーとキリアンとフィオナは幼馴染。 キリアンはセレニティーが好きだったが、セレニティーは病弱で婚約出来ず、キリアンの両親は健康なフィオナを婚約者に選んだ。 『ごめん。セレニティーの身体が心配だから……。』 キリアンはそう言って、夜会ではいつもセレニティーをエスコートしていた。   そんなある日、フィオナはキリアンとセレニティーが濃厚な口づけを交わしているのを目撃してしまう。 ※ゆるふわ設定 ※ご都合主義 ※一話の長さがバラバラになりがち。 ※お人好しヒロインと俺様ヒーローです。 ※感想欄ネタバレ配慮ないのでお気をつけくださいませ。

完結 若い愛人がいる?それは良かったです。

音爽(ネソウ)
恋愛
妻が余命宣告を受けた、愛人を抱える夫は小躍りするのだが……

処理中です...