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第一章
第2話:婚活舞踏会・グリード皇太子視点
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なんたることだ、信じられない、いや、信じたくない!
全獣人族の指導者たるべき我が、性悪の人族に惹かれているだと?
まさか、我のつがいが人族だとでも言うのか?!
有り得ない、絶対にあり得ない、いや、許されない事だ。
この大陸に悪を広める性悪人族は、滅ぼす対象であって愛を語らう対象ではない。
ここは無視だ、断じて無視だ、これは間違いで、他に我のつがいはいる。
我こそは最強の獣人、竜人族の皇太子グリードだ。
我に最もふさわしいのは、同じ竜人族だが、皇国で毎日何度も舞踏会を開いたが、残念ながら我に相応しい相手は見つからなかった。
仕方なくこの舞踏会に参加したが、見目麗しいと思える者など一人もいない。
まあ、美しい女性が抱きたいのなら、愛妾を置けばいい。
我には皇太子として、子孫を残さなければいけない責任がある。
この責任を超える役目などないのだから、ここは我慢するしかない。
尊い役目のためなら、おぞましい見た目のオーク族であろうと、正妃に迎える覚悟がある、いや、むしろ多産のオーク族なら望むところだ。
「皇太子殿下、いかがでございますか、つがいは見つかりましたか?」
側近の竜人が心配そうに話しかけてくる。
こやつも皇国ではつがいを見つけられなくて、我の護衛も兼ねてここにきている。
いや、こやつだけでなく、多くの竜人がつがいを見つけられないでいる。
今皇国内だけでつがい率を計算すると、二パーセントを切っている。
この異種婚活舞踏会を各国各種族が毎日頻繁に各地で開かれることで、ようやく一〇パーセント超えるか超えないかなのだ。
「いや、残念ながら今回は縁がなかったようだ」
そうは口にするが、どうしても人族の女が気になる。
この舞踏会に参加している以上、王族が大貴族、もしくはその護衛だ。
人族の中では身分高いモノなのだろうが、むしろその分性悪だろう。
人族は獣人族と違って、身分が高くなるほど性悪になると聞く。
「では皇太子殿下、他の婚活舞踏会に移動しませんか?
殿下のつがい相手を見つけるのは、皇室存亡の大問題でございます。
舞踏会を連戦してでも確立をあげるべきです」
側近が真剣には献策してくれるが、こいつもここではつがいが見つけられなかったようだから、自分がつがいを見つけたいのかもしれない。
今までなら、直ぐにこの場を後にして別の会場に行くのだが、どうにも足が動かず、外そうとしても視線が人族の女に向かってしまう。
人族を女など絶対に選びたくないのに、この場を離れ難い気持ちで一杯だ。
なんだ、あいつは誰だ、ずっと我のつがいを見ているぞ。
いけ好かない天虎族の王太子か?!
何故奴が我のつがいを殺さんばかりの強い視線で見つめている?
まさか、嘘だろ、あいつは人族の女を狙っているのか?
許せん、断じて許せん、あの女は我のつがいだ!
全獣人族の指導者たるべき我が、性悪の人族に惹かれているだと?
まさか、我のつがいが人族だとでも言うのか?!
有り得ない、絶対にあり得ない、いや、許されない事だ。
この大陸に悪を広める性悪人族は、滅ぼす対象であって愛を語らう対象ではない。
ここは無視だ、断じて無視だ、これは間違いで、他に我のつがいはいる。
我こそは最強の獣人、竜人族の皇太子グリードだ。
我に最もふさわしいのは、同じ竜人族だが、皇国で毎日何度も舞踏会を開いたが、残念ながら我に相応しい相手は見つからなかった。
仕方なくこの舞踏会に参加したが、見目麗しいと思える者など一人もいない。
まあ、美しい女性が抱きたいのなら、愛妾を置けばいい。
我には皇太子として、子孫を残さなければいけない責任がある。
この責任を超える役目などないのだから、ここは我慢するしかない。
尊い役目のためなら、おぞましい見た目のオーク族であろうと、正妃に迎える覚悟がある、いや、むしろ多産のオーク族なら望むところだ。
「皇太子殿下、いかがでございますか、つがいは見つかりましたか?」
側近の竜人が心配そうに話しかけてくる。
こやつも皇国ではつがいを見つけられなくて、我の護衛も兼ねてここにきている。
いや、こやつだけでなく、多くの竜人がつがいを見つけられないでいる。
今皇国内だけでつがい率を計算すると、二パーセントを切っている。
この異種婚活舞踏会を各国各種族が毎日頻繁に各地で開かれることで、ようやく一〇パーセント超えるか超えないかなのだ。
「いや、残念ながら今回は縁がなかったようだ」
そうは口にするが、どうしても人族の女が気になる。
この舞踏会に参加している以上、王族が大貴族、もしくはその護衛だ。
人族の中では身分高いモノなのだろうが、むしろその分性悪だろう。
人族は獣人族と違って、身分が高くなるほど性悪になると聞く。
「では皇太子殿下、他の婚活舞踏会に移動しませんか?
殿下のつがい相手を見つけるのは、皇室存亡の大問題でございます。
舞踏会を連戦してでも確立をあげるべきです」
側近が真剣には献策してくれるが、こいつもここではつがいが見つけられなかったようだから、自分がつがいを見つけたいのかもしれない。
今までなら、直ぐにこの場を後にして別の会場に行くのだが、どうにも足が動かず、外そうとしても視線が人族の女に向かってしまう。
人族を女など絶対に選びたくないのに、この場を離れ難い気持ちで一杯だ。
なんだ、あいつは誰だ、ずっと我のつがいを見ているぞ。
いけ好かない天虎族の王太子か?!
何故奴が我のつがいを殺さんばかりの強い視線で見つめている?
まさか、嘘だろ、あいつは人族の女を狙っているのか?
許せん、断じて許せん、あの女は我のつがいだ!
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