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第一章
第1話:婚活舞踏会・クラリス王女視点
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テンポのよい、皆の心が浮き立つような音楽が奏でられています。
最初は憂鬱だった私の気持ちさえ、湧き立たせてくれる音色です。
去年までは、人族が加わることができなかった、異種の出会いの場。
獣人族がつがいと出会うために、種族の垣根を超えて行われる舞踏会。
でも、性根が悪いと評判の人族だけは、参加することができませんでした。
まあ、つがいの影響力に公平さを欠く人族は、危険だと考えられたのもあります。
獣人族同士でつがいとなった場合は、互いに影響力を行使して、どちらかが支配したり支配されたりという関係にはなりません。
フェロモンの影響を受けますので、女性の状態によって影響を受ける事は免れないのですが、だからといって女性の命令に男性が唯々諾々と従う事はありません。
ですが人間と獣人がつがいになった場合は、人間が支配権を持ってしまうのです。
その理由は、笑い話にもならないのですが、人間の嗅覚が鈍いためです。
つがいのフェロモンを感じることができずに、つがいの影響を受けないのです。
そのくせ、自分のフェロモンで獣人を支配してしまうのです。
これは獣人にとっては屈辱でしかありません。
ですから、昨年まではこの舞踏会に人族は参加できませんでした。
しかし、近年大きな問題が起きてしまっています。
舞踏会を頻繁に開催しているにもかかわらず、つがいの発生率が極端に低下しており、種族の維持に問題が起きるくらい出生率が低下しているのです。
つがいでなければ子供を生むことができないのに、十割あったつがい率が急速に低下し、一割を切ってしまうなど、種族絶滅の恐れさえあるのです。
異種族同士の結婚でも、混血が生まれる事はありません。
必ず両親のどちらかの種族に分かれます。
多産のオーク女性が生む子供などは、二人がオークで六人が夫の竜人族という事すらありますから、この舞踏会では多産系の獣人女性が注目の的になります。
まあ、多産系の女性であっても、つがいに選ばれなければ子供に恵まれないので、つがいと出会えるかどうかが何よりも重要です。
嫌われ者の人族の参加が認められるくらいですから、獣人達の危機感はとても大きいのでしょうが、無理矢理参加させられるこちらは迷惑以外の何物でもありません。
今まで人族は獣人と結婚などした事がないのです。
獣人と夫婦の営みをしなければいけないと思うだけで、そのおぞましさに吐き気がするのです。
別に獣人族とつがいにならなくても、人族は順調に増えています。
まあ、それも獣人族たちの危機感を煽ったのでしょう。
このままでは、弱く性悪の人族に、全獣人族が支配されてしまうかもしれないと。
人族の中には、獣人と夫婦の営みがしたい特殊な性癖のひともいるのですが、私にそんな趣味嗜好はないのです。
私はこんな所に来たくなかったのに、王女の義務で来るしかありませんでした。
私がつがいに選ばれませんようにと、心から神様に願い祈っています。
先程から感じる刺すような視線は、何かの間違いだと信じています。
全種族合わせて十人に一人以下のつがい率です。
性悪で嫌われている人族など、つがいに選ばれるとは思いません。
つがいだと思っても、向こうが言い出さなければ鈍感な人族は気が付きません。
どうかこの視線の主が、人族を嫌う誇り高い獣人でありますように。
最初は憂鬱だった私の気持ちさえ、湧き立たせてくれる音色です。
去年までは、人族が加わることができなかった、異種の出会いの場。
獣人族がつがいと出会うために、種族の垣根を超えて行われる舞踏会。
でも、性根が悪いと評判の人族だけは、参加することができませんでした。
まあ、つがいの影響力に公平さを欠く人族は、危険だと考えられたのもあります。
獣人族同士でつがいとなった場合は、互いに影響力を行使して、どちらかが支配したり支配されたりという関係にはなりません。
フェロモンの影響を受けますので、女性の状態によって影響を受ける事は免れないのですが、だからといって女性の命令に男性が唯々諾々と従う事はありません。
ですが人間と獣人がつがいになった場合は、人間が支配権を持ってしまうのです。
その理由は、笑い話にもならないのですが、人間の嗅覚が鈍いためです。
つがいのフェロモンを感じることができずに、つがいの影響を受けないのです。
そのくせ、自分のフェロモンで獣人を支配してしまうのです。
これは獣人にとっては屈辱でしかありません。
ですから、昨年まではこの舞踏会に人族は参加できませんでした。
しかし、近年大きな問題が起きてしまっています。
舞踏会を頻繁に開催しているにもかかわらず、つがいの発生率が極端に低下しており、種族の維持に問題が起きるくらい出生率が低下しているのです。
つがいでなければ子供を生むことができないのに、十割あったつがい率が急速に低下し、一割を切ってしまうなど、種族絶滅の恐れさえあるのです。
異種族同士の結婚でも、混血が生まれる事はありません。
必ず両親のどちらかの種族に分かれます。
多産のオーク女性が生む子供などは、二人がオークで六人が夫の竜人族という事すらありますから、この舞踏会では多産系の獣人女性が注目の的になります。
まあ、多産系の女性であっても、つがいに選ばれなければ子供に恵まれないので、つがいと出会えるかどうかが何よりも重要です。
嫌われ者の人族の参加が認められるくらいですから、獣人達の危機感はとても大きいのでしょうが、無理矢理参加させられるこちらは迷惑以外の何物でもありません。
今まで人族は獣人と結婚などした事がないのです。
獣人と夫婦の営みをしなければいけないと思うだけで、そのおぞましさに吐き気がするのです。
別に獣人族とつがいにならなくても、人族は順調に増えています。
まあ、それも獣人族たちの危機感を煽ったのでしょう。
このままでは、弱く性悪の人族に、全獣人族が支配されてしまうかもしれないと。
人族の中には、獣人と夫婦の営みがしたい特殊な性癖のひともいるのですが、私にそんな趣味嗜好はないのです。
私はこんな所に来たくなかったのに、王女の義務で来るしかありませんでした。
私がつがいに選ばれませんようにと、心から神様に願い祈っています。
先程から感じる刺すような視線は、何かの間違いだと信じています。
全種族合わせて十人に一人以下のつがい率です。
性悪で嫌われている人族など、つがいに選ばれるとは思いません。
つがいだと思っても、向こうが言い出さなければ鈍感な人族は気が付きません。
どうかこの視線の主が、人族を嫌う誇り高い獣人でありますように。
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