125 / 300
本編
種子島家陸軍の活用
しおりを挟む
1540年3月『筑前国・大宰府』種子島大弐時堯・12歳
「それで生産部隊を開墾耕作方と生産工作方に分けた結果はどうなんだ?」
「先ほどの自作農の時の話につながるのですが、作物、特に米の取れ高が裏作も考えると8倍になります。ですから購入した奴隷や逃げ込んできた流民を使って、放棄された田畑や新たに開墾した田畑に投入することが最優先事項となりました」
「そうだな、250万石程度だった九州の生産力が1000万石になるのなら、4倍の民を養っていくことができる。単に4倍の戦力が持てるのにとどまらず、多くの飢えた人々を助けることができるのだな?」
「はい、それに連動して、ただ単に穀物を輸出するのではなく、各種の酒に加工して輸出すれば多くの奴隷を購入して助けることができます」
「それが生産工作方の1つの役割なのだな?」
「はい、南蛮船の建造も日々多くなっていますし、新式鉄砲や大砲の改良生産もできております」
「大砲は馬や牛に牽かせるものや艦船に載せるものを開発配備しておるが、連発式の銃はまだ秘匿しておくのか?」
「今はまだ士筒級の火縄銃でも圧倒できております。あまり早く新式連発銃を投入すると、種子島家の優位が短い期間で終わってしまいます」
「なるほどそれは理解できた、では戦工隊を堰(せき)(ダム)や堤防造りにまわしているのは、先に言っていた開墾のためなのだな?」
「はい、洪水や干ばつで飢饉を起こすわけにはまいりません!」
「そうだな、義倉を義務付けて災害に備えているとはいえ、そもそも災害が起こらないようにするのが国主としての種子島家の役割であるな」
「はい、わが種子島家は御上や朝廷からは国司職を賜り、足利将軍家からは守護に任じられております。その役目を徒や疎かにするわけには行けません!」
「そうだな、その通りだ。それと少し疑問に思ったのだが、新式連発銃を秘匿するのに馬車や馬車鉄道を秘匿しないのはなぜだ? あれのお陰で領内の生産力や交易量が飛躍的に増大している、他国が真似をするのではないか?」
「確かに他国も真似をすることが出来れば交易量が増大します。しかし国内の国衆や寺社が設けた関所を廃止しなければなりません。まして、敵が攻めてこないように道を整備することを禁じている守護が多くおります」
「なるほどな、敵に攻め込まれたときに迎撃が間に合わない危険を冒さなければ、道を普請することはできないのだな」
「はい」
「さらに言えば、領内の有力な国衆や寺社の関所を無理やり廃すれば、反感を買うどころか反乱すら覚悟せねばならんのだな」
「はい、やりたくても出来ないと思われます」
「戦闘部隊の弩隊や投槍隊が増えていないのは、自作農自警団用に武器を回しているからなのか?」
「はい、実戦部隊に回す量が確保できません、実戦部隊は士筒を優先的に回すことにしております」
「まあ実戦部隊といっても、今は訓練か農作物を荒らす獣を狩ることが仕事だな」
「農作物を荒らす獣が減れば、それだけ民を飢えから救うことができます」
「そうだな、大切な役目だな」
「それで生産部隊を開墾耕作方と生産工作方に分けた結果はどうなんだ?」
「先ほどの自作農の時の話につながるのですが、作物、特に米の取れ高が裏作も考えると8倍になります。ですから購入した奴隷や逃げ込んできた流民を使って、放棄された田畑や新たに開墾した田畑に投入することが最優先事項となりました」
「そうだな、250万石程度だった九州の生産力が1000万石になるのなら、4倍の民を養っていくことができる。単に4倍の戦力が持てるのにとどまらず、多くの飢えた人々を助けることができるのだな?」
「はい、それに連動して、ただ単に穀物を輸出するのではなく、各種の酒に加工して輸出すれば多くの奴隷を購入して助けることができます」
「それが生産工作方の1つの役割なのだな?」
「はい、南蛮船の建造も日々多くなっていますし、新式鉄砲や大砲の改良生産もできております」
「大砲は馬や牛に牽かせるものや艦船に載せるものを開発配備しておるが、連発式の銃はまだ秘匿しておくのか?」
「今はまだ士筒級の火縄銃でも圧倒できております。あまり早く新式連発銃を投入すると、種子島家の優位が短い期間で終わってしまいます」
「なるほどそれは理解できた、では戦工隊を堰(せき)(ダム)や堤防造りにまわしているのは、先に言っていた開墾のためなのだな?」
「はい、洪水や干ばつで飢饉を起こすわけにはまいりません!」
「そうだな、義倉を義務付けて災害に備えているとはいえ、そもそも災害が起こらないようにするのが国主としての種子島家の役割であるな」
「はい、わが種子島家は御上や朝廷からは国司職を賜り、足利将軍家からは守護に任じられております。その役目を徒や疎かにするわけには行けません!」
「そうだな、その通りだ。それと少し疑問に思ったのだが、新式連発銃を秘匿するのに馬車や馬車鉄道を秘匿しないのはなぜだ? あれのお陰で領内の生産力や交易量が飛躍的に増大している、他国が真似をするのではないか?」
「確かに他国も真似をすることが出来れば交易量が増大します。しかし国内の国衆や寺社が設けた関所を廃止しなければなりません。まして、敵が攻めてこないように道を整備することを禁じている守護が多くおります」
「なるほどな、敵に攻め込まれたときに迎撃が間に合わない危険を冒さなければ、道を普請することはできないのだな」
「はい」
「さらに言えば、領内の有力な国衆や寺社の関所を無理やり廃すれば、反感を買うどころか反乱すら覚悟せねばならんのだな」
「はい、やりたくても出来ないと思われます」
「戦闘部隊の弩隊や投槍隊が増えていないのは、自作農自警団用に武器を回しているからなのか?」
「はい、実戦部隊に回す量が確保できません、実戦部隊は士筒を優先的に回すことにしております」
「まあ実戦部隊といっても、今は訓練か農作物を荒らす獣を狩ることが仕事だな」
「農作物を荒らす獣が減れば、それだけ民を飢えから救うことができます」
「そうだな、大切な役目だな」
0
お気に入りに追加
238
あなたにおすすめの小説
異世界屋台経営-料理一本で異世界へ
芽狐
ファンタジー
松原 真人(35歳)は、ある夜に自分の料理屋で亡くなってしまう。
そして、次に目覚めた場所は、見たことない木で出来た一軒家のような場所であった。そこで、出会ったトンボという男と異世界を津々浦々屋台を引きながら回り、色んな異世界人に料理を提供していくお話です。
更新日時:不定期更新18時投稿
よかったらお気に入り登録・感想などよろしくお願いします。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)
いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。
---------
掲載は不定期になります。
追記
「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。
お知らせ
カクヨム様でも掲載中です。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました
紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。
国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です
更新は1週間に1度くらいのペースになります。
何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。
自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる