魔法武士・種子島時堯

克全

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本編

伊予侵攻

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1539年6月『筑前国・大宰府』種子島大弐時堯・11歳

 伊予切り取り勝手の言質を一条親子から得た俺は、台湾侵攻に必要な予防薬と治療薬を、身体内で大量に合成生産しつつ、伊予国内の全ての城砦の城門・土塁を破壊して回った。

 同時に種子島海軍交易艦隊・種子島家御用商人・種子島家と取引のある商人を通じて、伊予の国衆・地侍を降伏臣従させようとした。

 ありとあらゆる方法を使っての俺からの降伏勧告は、圧倒的な力で受け入れられることになった。まずは種子島家と交易関係にある村上水軍のうち、因島村上家と能島村上家は直ぐに種子島家に降伏臣従を誓って来た。だが河野通直の娘を正室に迎えている来島村上家の村上出雲守通康は、河野家に忠誠を尽す姿勢をしめした。

 だがそれはごく一部であって、河野家が海際から山手に居城を移した事で生じた水軍衆との溝も影響し、殆どの艦船をもった国衆・地侍が種子島家に降伏臣従を誓って来た。その中には来島村上家配下の海賊衆も多く、中には来島村上家の枝連衆で甘崎城主・大山祇神社の地頭神主でもある村上吉継もいた。

 更に大三島大山祇神社第31代大祝職・大祝安用や、その息子や有名な娘の大祝鶴姫も降伏して来た。早い話が海側からぐるりと伊予の国衆・地侍は種子島家に降伏して来たし、奴隷や小作農は種子島家に嫁いだ一条於富の化粧領・幡多郡に続々と逃げて来ていた。

 結局のところ、河野家五家老・河野十八将と呼ばれたり、御一門三十二将と呼ばれる河野家の家臣団は、ほとんど全て種子島家に降伏臣従してしまった。これは当主である河野弾正少弼通直が、嫡男であり一条房家の娘を正室に迎えている河野通政ではなく、娘婿の村上出雲守通康に河野家の家督を継がそうとしたことによる、内紛も大きく影響していた。

 一方西園寺家では、河野家の一門で中野通宗の男・中野(河野)新蔵人通賢が、西園寺十五将(5400石)の1人でもあったので、早々に西園寺十五将の一角が降伏臣従してしまった。

 また兄・長曽我部国親と不仲で、家を飛び出し黒川家の下に身を寄せ、時の黒川家当主・山城守通矩に見込まれ妹婿となった黒川民部少輔通堯も進んで種子島家に降伏臣従してきたので、時と場合によったら長曽我部家を乗っ取る手駒とする為に、比較的優遇して降伏臣従を受け入れた。

 最終的に1カ月で軍を侵攻させる事無く伊予国を切り取ったが、一条房家卿との約束を守り以下の家を残す事になった。

河野通政・湯築城主・河野通直の嫡男・正室は一条房家の娘・2万1000石
西園寺公宣・宇和郡黒瀬城主・2万1300石
原渕(渡辺)越後守政忠・松丸川後森城主・西園寺十五将筆頭1万6500石
       嗣子無く、土佐一条一門東小路法行の次男を養子
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