魔法武士・種子島時堯

克全

文字の大きさ
上 下
37 / 300
本編

上村兵庫允長種再び

しおりを挟む
1536年3月『大隅・国分清水城』種子島左近衛将監時堯・8歳

「若殿、兵庫允でございます、お呼びでございますか?」

「兵庫允、よく来てくれたな、入ってくれ」

「失礼いたします」

「さっそくだがいよいよ時が満ちた」

「相良家を攻め滅ぼすのでございますか?」

「いや滅ぼさんよ」

「降伏させるのでございますか?」

「いやそれも違う」

「どうなされるのでござますか?」

「兵庫允を相良家の当主にする」

「え?!」

「ただし城地は著しく狭くなる」

「承りました、相良家の名跡と血脈を残す事が出来るのなら望むところでございます」

「総大将は余が直々に務める、副将は玄武と兵庫允に任せるが、兵庫允は名目だけと思ってくれ」

「分かっております、私ごときが種子島家の副将を務められるとは思っていません」

「兵庫允には、いずれ1軍を預ける事が出来るだけの才能があると思っているが、今しばらくは学ぶ事があるとも思っている」

「はい、精進いたしまする」

 一旦攻撃を決断すると後は簡単だった。玄武と兵庫允が侵攻する前に、攻める予定の城の上空を飛び廻り城門を打ち壊す。これで全ての国衆が降伏するか城を捨てて逃げる。9割9分は降伏臣従するのだが、中には気骨があり忠誠心の厚い者もいて、そんな漢だけが相良家の居城に向かって落ちて行った。

 慌てず騒がず着実に南肥後の城砦を落とし、国衆・地侍を降伏臣従させていった。余り急ぐと躓いたりこけたりして、戦争もしていないのに怪我する家臣もいるのだ。ろくに戦いもしないのに傷病兵が出てしまっては笑い話なので、ゆっくりゆっくり侵攻した。何より大切にしたのは、種子島軍に領民・特に婦女子に乱暴狼藉させない事だ。

 そのために売春を仕事にしている陣女郎を事前に集めていた。決して理想の姿ではないが、現実を無視して弱い婦女子を傷つけるなどあってはいけない。独身男子兵が常に溢れている種子島領では、割り切って売春を仕事にしている女性が多くいた。そんな女性を活用しない手はない、自分の理想を追い求めて相良領の女性たちが強姦されたら本末転倒となってしまう!

 今回の侵攻は、最終的には相良家だけでは終わらなかった。阿蘇家も名和家も当主争いの内紛が起きており、殆どの家臣や支配下の国衆から見捨てられていたので、俺が侵攻すると草木が風になびくように降伏臣従して来た。

 そして止めに種子島家海軍を投入し、沿岸部の城砦と湊・津も降伏臣従させた。同時に陸軍海軍ともに、種子島領に逃げることが出来なかった貧民のための炊き出しを行い、望む者は種子島家の家臣に採用した。

「種子島家南肥後侵攻軍・陸軍」
総大将・種子島左近衛将監時堯
副将・市丸玄武
副将・上村兵庫允長種
鉄砲隊・ 500兵(士筒)
弓隊 ・1000兵
弩隊 ・2000兵
投石隊・1000兵
投槍隊・1000兵
長槍隊・2000兵
徒侍隊・1000兵
工兵隊・1000兵
看護隊・2000兵
輸送隊・2000兵
総兵力・1万3500兵
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界屋台経営-料理一本で異世界へ

芽狐
ファンタジー
松原 真人(35歳)は、ある夜に自分の料理屋で亡くなってしまう。 そして、次に目覚めた場所は、見たことない木で出来た一軒家のような場所であった。そこで、出会ったトンボという男と異世界を津々浦々屋台を引きながら回り、色んな異世界人に料理を提供していくお話です。 更新日時:不定期更新18時投稿 よかったらお気に入り登録・感想などよろしくお願いします。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)

いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。 --------- 掲載は不定期になります。 追記 「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。 お知らせ カクヨム様でも掲載中です。

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

処理中です...