41 / 56
第1章
38話
しおりを挟む
「すまぬ、寧四郎。
これはお前にしか任せられんのだ」
「なんの、兄上。
大命を授かるは武人の本懐。
兄上が謝られるような事ではございません」
徳川慶恕は次弟の松平慶比に心から詫びていた。
本来なら自分が行くべきなのだが、御三家筆頭の尾張徳川家が、両属になるわけにはいかなかった。
最も自分に近い考えの長弟・松平武成には、自分に万が一の事があった場合に、徳川宗家を支えてもらわなければいけない。
だから、松平慶比に最も危険な役目を負わせることになった。
だが、何の準備もせずに、弟を清国と露国の国境線に派遣する慶恕ではない。
自分に出来る限りの準備を整えていた。
松平慶比を倭軍八旗の旗王と認めさせる条件で、清国派遣軍を林則徐に従軍させたが、全ては徳川家のためだった。
惰弱な旗本御家人を処分するために、実戦で性根を確かめ、必要とあれば戦死させる非情な決断をしていた。
徳川慶恕は、倍増させた幕府番方の半分を清国に送るつもりだった。
そんな事は不可能だと考える人もいるだろうが、武家には家を潰さないための予備の人間、部屋住みがいるのだ。
隠居した前当主がいる場合もあれば、跡を継いでいない世子がいる場合もある。
家を継げずに武士を捨てた叔父や甥もいる。
そんな者を見習出仕させる場合は、役目を継がせる確約の代わりに、無給もしくはわずかな扶持を与えるだけで済むのだ。
まずはどの部隊が一番実戦で役に立つか確かめるために、全戦闘部隊を一個ずつ清国に送った。
次に最も大切な書院番と小姓番を清国に送った。
「清国派遣幕府軍」
書院番:一〇個×六四〇兵=六四〇〇兵
小姓番:一〇個×六四〇兵=六四〇〇兵
大番 :一〇個×五四九兵=五四九〇兵
新番 : 五個×二〇六兵=二〇六〇兵
小十人:一〇個×一〇九兵=一〇九〇兵
徒歩組:二〇個×八四兵=八四〇兵
持組 :一〇個×一九一兵=一九一〇兵
先手組:三五個×一九一兵=六六五〇兵
百人組: 四個×三五七兵=一四二八兵
「八旗制度」
ニル :成人男子三〇〇兵:ニルイ・ジャンギン(佐領)
ジャラン:成人男子一五〇〇兵(五ニル):ジャラニ・ジャンギン(参領)
グサ :成人男子七五〇〇兵(五ジャラン):グサイ・エジェン(都統)
グサイ・エジェン(都統)の補佐として二人の副司令官メイレン・ジャンギン(副都統)が配置されている。
グサの都統の上位に、清朝の皇族、愛新覚羅氏の旗王が置かれ、グサイ・ベイレ省略してベイレ(貝勒)がいる。
「清国末期の鑲黄旗」
駐屯地:今の内蒙古シリンゴル盟の西南部
兵力 :八四個佐領、二個半分佐領、約二万六〇〇〇兵
総人口:約一三万人
旗王 :大清帝国皇帝
これはお前にしか任せられんのだ」
「なんの、兄上。
大命を授かるは武人の本懐。
兄上が謝られるような事ではございません」
徳川慶恕は次弟の松平慶比に心から詫びていた。
本来なら自分が行くべきなのだが、御三家筆頭の尾張徳川家が、両属になるわけにはいかなかった。
最も自分に近い考えの長弟・松平武成には、自分に万が一の事があった場合に、徳川宗家を支えてもらわなければいけない。
だから、松平慶比に最も危険な役目を負わせることになった。
だが、何の準備もせずに、弟を清国と露国の国境線に派遣する慶恕ではない。
自分に出来る限りの準備を整えていた。
松平慶比を倭軍八旗の旗王と認めさせる条件で、清国派遣軍を林則徐に従軍させたが、全ては徳川家のためだった。
惰弱な旗本御家人を処分するために、実戦で性根を確かめ、必要とあれば戦死させる非情な決断をしていた。
徳川慶恕は、倍増させた幕府番方の半分を清国に送るつもりだった。
そんな事は不可能だと考える人もいるだろうが、武家には家を潰さないための予備の人間、部屋住みがいるのだ。
隠居した前当主がいる場合もあれば、跡を継いでいない世子がいる場合もある。
家を継げずに武士を捨てた叔父や甥もいる。
そんな者を見習出仕させる場合は、役目を継がせる確約の代わりに、無給もしくはわずかな扶持を与えるだけで済むのだ。
まずはどの部隊が一番実戦で役に立つか確かめるために、全戦闘部隊を一個ずつ清国に送った。
次に最も大切な書院番と小姓番を清国に送った。
「清国派遣幕府軍」
書院番:一〇個×六四〇兵=六四〇〇兵
小姓番:一〇個×六四〇兵=六四〇〇兵
大番 :一〇個×五四九兵=五四九〇兵
新番 : 五個×二〇六兵=二〇六〇兵
小十人:一〇個×一〇九兵=一〇九〇兵
徒歩組:二〇個×八四兵=八四〇兵
持組 :一〇個×一九一兵=一九一〇兵
先手組:三五個×一九一兵=六六五〇兵
百人組: 四個×三五七兵=一四二八兵
「八旗制度」
ニル :成人男子三〇〇兵:ニルイ・ジャンギン(佐領)
ジャラン:成人男子一五〇〇兵(五ニル):ジャラニ・ジャンギン(参領)
グサ :成人男子七五〇〇兵(五ジャラン):グサイ・エジェン(都統)
グサイ・エジェン(都統)の補佐として二人の副司令官メイレン・ジャンギン(副都統)が配置されている。
グサの都統の上位に、清朝の皇族、愛新覚羅氏の旗王が置かれ、グサイ・ベイレ省略してベイレ(貝勒)がいる。
「清国末期の鑲黄旗」
駐屯地:今の内蒙古シリンゴル盟の西南部
兵力 :八四個佐領、二個半分佐領、約二万六〇〇〇兵
総人口:約一三万人
旗王 :大清帝国皇帝
0
あなたにおすすめの小説
裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する
克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
【架空戦記】狂気の空母「浅間丸」逆境戦記
糸冬
歴史・時代
開戦劈頭の真珠湾攻撃にて、日本海軍は第三次攻撃によって港湾施設と燃料タンクを破壊し、さらには米空母「エンタープライズ」を撃沈する上々の滑り出しを見せた。
それから半年が経った昭和十七年(一九四二年)六月。三菱長崎造船所第三ドックに、一隻のフネが傷ついた船体を横たえていた。
かつて、「太平洋の女王」と称された、海軍輸送船「浅間丸」である。
ドーリットル空襲によってディーゼル機関を損傷した「浅間丸」は、史実においては船体が旧式化したため凍結された計画を復活させ、特設航空母艦として蘇ろうとしていたのだった。
※過去作「炎立つ真珠湾」と世界観を共有した内容となります。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる