徳川慶勝、黒船を討つ

克全

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第1章

36話戦闘部隊整備

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 徳川慶恕は幕府軍の実戦部隊、番方の編成に力を入れた。
 五番方と呼ばれる小十人、新番、大番、書院番、小姓番。
 それ以外の実戦部隊、徒歩組、持組、先手組、鉄砲百人組。
 それらの部隊を倍増する勢いて無役の者達に役をつけた。
 平和の時代の役目と、清国派遣部隊が交代できるようにするためだった。

 本当は役料と鉄砲兵のバランスが一番いい、鉄砲百人組だけを増員したかったが、それでは将軍の近衛部隊ともいえる、書院番や小姓番に実戦経験を積ませられない。
 それでは戦闘中に書院番や小姓番から逃げ出す者がでてしまうかもしれない。
 それに無役の者の中には高禄の旗本も結構多かった。
 彼らにも役目を与える、場合によっては改易召し放ちする必要があった。

 そして徳川慶恕の予想通り、隠居する者や陣代届を出す者が続出した。
 博徒や不良旗本が怖くて、任地に行けない甲府勤番支配がいるくらい、大身旗本の惰弱ぶりは酷かったのだ。
 だがそれでは、各頭として配下を指揮させるわけにはいかない。
 陣代が指揮する大身旗本家は、優秀な指揮官の下に寄騎としてつけられた。
 そして目先の利く者は、実子を廃嫡して、尾張派が毎日行う実戦訓練で優秀な成績を収める者を養嗣子に迎えた。

 ただ実戦力を向上させるために、旗本、御家人、与力、同心の区別なく、士分は一兵一丁の銃を貸与して射撃訓練を行わせた。

『五番方』
「小十人」
小十人頭 :役高一〇〇〇石×一騎
小十人組頭:役高三〇〇俵×一騎
小十人頭衆:役高一〇〇俵十人扶持×二〇兵
陪臣を含めれば一〇九兵
「新番」
新番頭 :役高二〇〇〇石×一騎
新番組頭:役高六〇〇石×一騎
新番衆 :役高二五〇石×二〇騎
(騎乗資格はあるも軍馬を用意する義務なし)
陪臣を含めれば二〇六兵
「大番」
大番頭 :役高五〇〇〇石×一騎
大番組頭:役高六〇〇石×四騎
大番衆 :役高二〇〇石×五〇騎
与力  :役高玄米八〇石×一〇騎
同心  :役高玄米三〇俵二人扶持×二〇兵
陪臣を含めれば五四九兵
「書院番」
書院番頭 :役高四〇〇〇石×一騎
書院番組頭:役高一〇〇〇石×一騎
書院番衆 :役高三〇〇石×五〇騎
与力   :役高玄米八〇石×一〇騎
同心   :役高玄米三〇俵二人扶持×二〇兵
陪臣を含めれば六四〇兵
「小姓番」
小姓番頭 :役高四〇〇〇石×一騎
小姓番組頭:役高一〇〇〇石×一騎
小姓番衆 :役高三〇〇石×五〇騎
与力   :役高玄米八〇石×一〇騎
同心   :役高玄米三〇俵二人扶持×二〇兵
陪臣を含めれば六四〇兵

『五番方以外の実戦部隊』
「徒歩組」
徒歩頭 :役高一〇〇〇石×一騎
徒歩組頭:役高一五〇石×二兵
徒歩衆 :役高七〇俵五人扶持×二八兵
陪臣を含めれば八四兵
「持組(鉄砲または弓)」
持之頭:役高一五〇〇石×一騎
与力 :役高玄米八〇石×一〇騎
同心 :役高玄米三〇俵二人扶持×五〇兵
陪臣を含めれば一九一兵
「先手組(鉄砲または弓)」
持之頭:役高一五〇〇石六十人扶持×一騎
与力 :役高玄米八〇石×一〇騎
同心 :役高玄米三〇俵二人扶持×五〇兵
陪臣を含めれば一九一兵
「鉄砲百人組(二十五騎組、伊賀組、根来組、甲賀組の四組)」
持之頭:役高三〇〇〇石×一騎
与力 :役高玄米八〇石×二〇騎(二十五騎組は二五騎)
同心 :役高玄米三〇俵二人扶持×一〇〇兵
陪臣を含めれば三五七兵
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